2010年5月7日金曜日

Push the envelope. 限界超えてもうひとふんばり!

10年以上前からよく耳にしてきた表現に、

Push the envelope.

というものがあります。直訳すると「封筒を押す」となるのですが、正直、ナンノコッチャ、です。で、具体的にはどういう場合に用いられるかというと、
「うちの部門の業績は良好だ。皆よくやってくれている。しかしこの厳しい競争環境では一時も安心は出来ない。残業続きでいっぱいいっぱいなのは承知の上だが、ここが正念場だ。We have to push the envelope!」

ま、限界だと言われているラインを越えてもうひと踏ん張りせよ、ということですね。しかしまたなぜ「封筒」なのか。いや、もっと深刻な疑問は、「どうして定冠詞のThe がここに来るのか」です。だって定冠詞を使うってことは「特定の」封筒を差しているわけで、突然こんなこと言われても「どの封筒の話をしてるんだ?」となるでしょ。Push an envelope ならまだ文法的に納得できる。意味は分かんないままだけど…。

で、ようやく本日、腰を据えて調べてみました。おかげで十年来の疑問が氷解しました。

このenvelope は、封筒のことじゃなかったのですね。もともとは航空技術用語で、安全航行を確保するためにスピードやエンジン出力などの多様な要素の組み合わせをグラフにすると、どうしても超えられない曲線が描かれる。この線と座標軸とで囲まれた部分をenvelope と呼ぶのだそうです。1979年発表の小説「ライト・スタッフ」の中で、飛行訓練に関してよく使われる表現に“pushing outside of the envelope” というものがある、という記述があり、これが一般の会話に浸透していく中でいつのまにか “outside of” が落ちてしまった、というのが本当の語源らしい。

腑に落ちました。もう使えるぞ、このフレーズ。

0 件のコメント:

コメントを投稿