2012年5月29日火曜日

Renaissance man 博学な人

今日の午後、会議が終わって出席者とひとしきり無駄話を楽しみました。植物学者のジョナサンが、先日メキシコ旅行で釣ってきたキハダマグロを自宅で燻製にした話を披露。なんと、ダンボールで即席燻製装置を作っちゃったのだそうです。

 iPhone に入った写真を見せられて驚く私に、テリーがこうコメントします。

“Jonathan is a renaissance man.”
「ジョナサンはルネサンスな人なのよ(発音は「レナサ~ンス」)。

ん?なんだそれ?

分からないので、その後すぐに同僚ステヴを訪ねます。
「ああ、それはね、ありとあらゆる分野の知識がある人のことだよ。そう言われてみれば、確かにジョナサンは多才だね。」
とステヴ。
「じゃあさステヴ、確か君は人類学者でありながら、ポケモンゲームの全米大会ファイナリストでもあるでしょ。君もルネサンスな人って言えるんじゃないの?」
と私。

“That doesn’t qualify.”
「その程度じゃ不十分だよ。」

とステヴが笑います。
「ルネサンス時代には、第一線の哲学者でもあり科学者でもあり、さらに有名な画家でもある、なんて天才がごろごろいたでしょ。ダヴィンチとかミケランジェロとか。そういう人を指す表現だから、ポケモンゲーム程度じゃ全然ダメだよ。」
と謙遜するステヴ。

う~ん、ダヴィンチか。それはハードルが高いな。日本人だったら、立花隆とか荒俣宏のレベルかしら。とりあえず、私の和訳はこれ。

“He is a renaissance man.”
「彼は博学なのよ。」

2012年5月28日月曜日

Scratch one’s head 頭を掻く

ここのところダウンタウンのオフィスに詰めることが増えていて、自分のオフィスを留守にすることが多かったのですが、今週久しぶりに戻ったところ、その前の週に突然解雇を言い渡された上下水道部門のマットが来ていました。彼は営業畑の重鎮だったのですが、数十億もするプロジェクトを獲得した直後にクビになったのです。おまけに、彼に引導を渡した南カリフォルニア部門の長であるブライアンも、そのわずか数時間後に解雇されました。

会社の上層部で何かとんでもない事が起きているのは間違いなく、我々下っ端たちはただ呆然とするばかり。一時は20人ほどの大所帯だった上下水道部門も、今やグレッグ、リチャード、それにジャックの三人だけ。まさに存亡の危機です。
「皆でマットと昼飯に行くんだけど、一緒にどう?」
とリチャード。ちょうど緊急の仕事が入っていたので遠慮したのですが、その日の夕方、グレッグと話すチャンスがありました。

「僕には理解できないよ。彼はクライアントに通じるConduit (導管、つまり動脈)だったんだぜ。その動脈を切って、この先どれだけ生きられるっていうんだ?」
とグレッグ。
「アーニーが言ってたよ。会社のトップはウォールストリートと対峙するだけのガッツが無い。株価が落ちればパニックになって、ただ今を生き延びるためになりふり構わず大量解雇という愚挙に出るってね。」
と私。
「給料が高い人を沢山切れば、そりゃ一時的には収支が持ち直すけど、その先どうするんだよ?その人たちがしてた仕事は誰が代れるっていうんだ?高給取るにはそれなりの理由があるんだぜ。」

二人でため息をつくことしきり。
「それで、マットはどんな様子だった?」
と私。
「彼はいつも通り、ポジティブな態度だったね。あれほどの男だから、引く手あまただよ。それは間違いない。でも…。」
そう言って、グレッグが次に発したのがこのセリフ。

“He’s still scratching his head.”
「彼はまだ頭を掻いてるよ。」

これは面白い表現だと思いました。日本語で「頭を掻く」と言えば、照れた態度を意味します。「マットがレイオフされて照れている。」まあ有り得ない状況ではないけど、やっぱりなんかおかしい。英語の「頭を掻く」は、「困惑する」という意味です。今回の場合、マットは「なんで俺なわけ?しかもこのタイミングで?」と面食らっているのです。

“He’s still scratching his head.”
「彼はまだ理解に苦しんでるよ。」

2012年5月26日土曜日

愛、悪意エス

つい最近、遅ればせながら、スティーブ・ジョブズの伝記CD版を通勤の車中で聴き終わりました。著者のウォルター・アイザクソンは、ジョブズ自身のご指名でこの大仕事に取り組んだそうで、その語り口はまさに名人芸。前作の「アインシュタイン」でも伝記作家としての手腕は実証済みですが、とにかくぐいぐい引き込まれます。特に、ジョブズの異常なほどのデザインへのこだわりや、製品や自分の会社に対する深い愛情の描写が素晴らしい。

CD19枚目に、iPhone 4の発売直後に受信不良の問題が発生し、窮地に追い込まれるエピソードが出てきます。ハワイで家族とバカンス中だったジョブズが事態の深刻さを悟った時、カリフォルニアに戻る決意をします。彼は息子に、自分について来いと言います。何故か?この時のエピソードには胸が詰まりました。今思い出しても鳥肌立ちます。

この本の本当にスゴいところは、彼のどす黒い一面、「人間として失格なんじゃないの?」と眉をひそめてしまうようなエピソードさえも赤裸々に描かれている点。子供に読ませたい「英雄伝」とは全く異なる代物なのです。しかし、逆にそういう「嫌な野郎」の臭いをふりまくことによって、ジョブズの人物像が立体感を増すのですね。

作品中、何度も登場する表現に、「彼らはアクイエスした」というのがあります。それも、決まって激しい論争の後に使われます。ジョブズは苛烈な性格の持ち主で、気に入らない相手はそれが誰であろうと、瞬きもせずに睨みつけ、完膚なきまでに打ちのめそうとします。同僚ばかりか取締役会のメンバーですらも、ジョブズの横暴さにむかっ腹を立てつつ、遂には折れてしまう。この時、「彼らはアクイエスした。」というフレーズが出てくるのです。

総務のトレイシーに意味を聞いてみました。
「心から同意してはいないけど譲歩する、という時に使うわね。」
そうして両手を広げ、微かに首をすくめて諦めの表情を浮かべ、
「あい、あくいえす。」
と言いました。イントネーションは、
「愛、悪意エス」
です。続いて経理のジョスリンにも同じ質問を投げます。すると彼女もやっぱり同じ説明をしたあと、
「愛、悪意エス」
と首をすくめて目玉をぐるっと回しました。同僚シャノンに綴りを尋ねたところ、少し顔を赤らめて、
「私、その単語知らないわ。」
と答えました。ウェブ辞典で一緒に調べてみたら、

Acquiesce

というスペルでした。

“I acquiesce.”
「言う通りにするよ。」

ジョブズの情熱、そして凝視と罵声に圧倒され、不本意ながら譲歩する人々の内心が、この言葉に滲んでいるような気がするのでした。

2012年5月20日日曜日

What planet are you from? 頭だいじょーぶか?

熟練PMのエリックが、先日プロジェクトマネジメント・トレーニングを受けて来たと話してくれました。これは会社が外部講師を招いて行ったものらしく、基本原則みたいなものを重点的におさえていたとのこと。
「外部講師がこう言うんだよ。プロジェクトのために使った時間は、漏れなくそのプロジェクトにチャージしなくてはいけないって。」
苦笑するエリック。

原理原則はそうだとしても、プロジェクトマネジャーを長年やっていれば、それがいかに非現実的な綺麗ごとかは誰でも知っています。景気の低迷が続く昨今、同業他社との苛酷な競争を勝ち抜いてプロジェクトを手にするのですから、契約額は既に実現不可能なレベルまで抑えられてあるのです。個々のプロジェクト・メンバーに与えられた予算は、笑いが出る程の数字。利益を最大限にせよという上層部からの圧力がかかる中、PMに出来ることはただひとつ。サービス残業です。

“I was like, what planet are you from?”
「どの惑星から来たんですか?って感じだよ。」

とエリック。この、What planet are you from? というのはこういう場面で頻繁に使われるフレーズです。意味は、「気は確かか?」とか「何考えてるんだ?」で、私の訳はこれ。

“What planet are you from?”
「頭だいじょーぶか?」

このフレーズを調べていたら、そういうタイトルの映画が存在することが分かりました(邦題は、「2999年異性への旅」というらしい)。さっそくネットフリックスで借りて観賞。これが予想外に面白かった。男性しかいない惑星があり、生殖器が退化していくことに危機を感じた彼ら(人間そっくり)は、代表者ハロルドに子作りのミッションを課し(人工生殖器を装着し)、地球に送り込む。彼は到着と同時に片っ端から女性を口説き始めるんだけど、大苦戦。女性とのコミュニケーションは難しい、という普遍的なテーマが笑いを起こすのですね。ハロルドが選抜される前のトレーニング場面では、ホログラムで現れる地球人の女性がだらだら長話をする合間に、何百人もの男性が、「アハ~」と相槌を打つ練習風景があります。女性が話を始めたらごちゃごちゃ言わず、とにかく相槌を打ち続けろ、というレッスンなのですね。

この映画、隠れた傑作だと思います。

2012年5月19日土曜日

Get it out 気持ちを吐き出す

先週金曜日の朝一番、オレンジ支社のジョイから一斉メールが入りました。
「緊急ミーティングがあります。9時に集合してください。」
そして最後に、太文字でこう念押しされています。

THIS IS AN IMPORTANT MEETING.

何か嫌な予感がしたのですが、遠く離れたサンディエゴ支社で働いている私には、どうすることも出来ません。そして9時半頃、今度は同じオフィスのジムから一斉メールが入りました。
「エリックが解雇されたそうだ。」

頭を金槌で力一杯殴られたような衝撃が走りました。約150人の部下を抱えるオレンジ支社の長であるエリックが、突然クビになったのです。彼は過去8年間、私の大ボスであっただけでなく、キャリアを後押ししてくれた大恩人です。先日のニューヨーク出張も、厳しい財政事情の中にありながら、「シンスケのこれまでの貢献を考えれば、行かせて当然だろう。」と喜んで承認してくれたのです。柔らかい物腰で社員を激励しながら成果を上げさせる手腕は、他の誰にも真似の出来ない芸術的なものでした。ここのところ業績が伸び悩んでいるとはいえ、アメリカ全体の景気を考えれば、看過されてしかるべき程度のスランプ。よりによって何故、このスタープレーヤーを切り捨てるんだ?他に切らなきゃいけない人はいるだろう?というのが皆の共通意見。後で財務のティルソと話したのですが、
「あの日は誰も仕事が手につかない様子だったわ。まるでmorgue (遺体安置所)みたいに悲しい空気に包まれてたわよ。」
とのこと。皆が一番憤っていたのは、ただ単にエリックを追い出して、背景の説明も後釜の発表も一切無し、という会社のやり方です。彼のボスのジョエルに訳を尋ねても、これは数段上層の幹部が決めたことで、自分の力の及ぶところではない、と苦しげに呻くばかり。

翌週月曜、オレンジ支社へ出向いてマネジャーミーティングに出席しました。当面のオフィスマネジャー代理を任されたナンバー2のクリスが、
「いつまでも悲嘆に暮れていてはいけない。前に進まなければ。」
と淡々とした口調で演説しました。
クールな彼の態度に、ちょっとガッカリな私でした。彼はエリックとの付き合いが格別長い訳ではないからな…。

さて一昨日、サンディエゴ支社で同僚マリアと話していた時、エリック解雇の話題になりました。
「月曜日の朝一番、あるプロジェクトの月次電話会議があったの。30分しかない会議なのに、最初の15分、ずっとクリスが喋ってたの。自分の話で出席者の貴重な時間を奪いたくないんだが、って前置きしながら、いかにエリックが優れたリーダーで自分もどんなに慕っていたか、とか、我々は辛くでも前に進まなければいけないんだ、とか、同じことを繰り返し繰り返し言い続けてた。プロジェクトの話はなかなか始まらなかったのよ。そのうち誰かが、会社の上層部はどうかしてる。気でも狂ったんじゃないか、って爆発し始めて、収拾がつかなくなっちゃった。とにかく、いつも冷静なクリスが、珍しく冗長で支離滅裂に近かったのがすごく印象的だったわ。」

あのクリスも実は動揺してたんだということを知り、なんだか胸が熱くなりました。
「僕の出席した会議では、いつも通り冷静だったんだよ。」
と言うと、マリアが、
「何時ごろ?」
12時半だよ。」
それで納得、という様子でマリアがこう言いました。

“He already got it out.”

この Get it out というのは、「心に溜まったもやもやを外に出す」という意味ですね。シンプルながら、いい表現だと思いました。

“He already got it out.”
「もう気持ちを吐き出しちゃった後だったのよ。」

2012年5月15日火曜日

Throw someone under the bus. (平気で)人を裏切る

先日、熟練PMのダグと廊下でばったり会った際、フロリダのプロジェクトの近況を尋ねられました。万事順調で、もう私が出向く必要も無いんじゃないか、と答えると、出し抜けにこう聞きました。
「クライアントにスティーブって男がいるだろ。」
確かにそういう名前の人が現場にいました。うちの連中が、腫れ物に触るように扱っていたっけ。
「あの男は曲者だぞ。気をつけた方がいい。とんでもなく頭が切れるんだが、絶対敵に回してはいけない人物なんだ。」
「たまたま会議で隣に座ったんですけど、そんな感じは受けませんでしたね。」
ダグが誰かのことを悪く言うのを聞くのは、これが初めてです。意外な展開に、少し驚いていました。

「そこがタチの悪いところなんだよ。仕事は出来るんだが、リーダー面して皆を引っ張っておいて、人の手柄は全部横取りするんだよ。そしていざ都合の悪いことが起きると、何のためらいもなく、」
次に彼の口から飛び出したフレーズが、これ。

“He would through you under the bus.”
「人をバスの下に放り出すんだよ。」

ん?なになに?バスの下に?ど~ゆ~こと?

あまり考えず、「後で調べとこう」と心に留めたつもりが、そのまま忘れてしまいました。さて昨日の昼、オレンジ支社で開かれたマネジャー会議に出席し、過去数週間温めていた提案を発表しました。
「今後ますますプロジェクト・コントロールの重要性が増して来ます。今ある人材だけだと、サポート体制が不十分。サンディエゴのオフィスでやっているように、専門家を採用し、専属でPMの支援をさせたいと思うのですが。」

これに対し、大方は賛成意見だったのですが、会社全体の収益が落ち込んでいる今、新規採用の話を持ち出すにはタイミングが良くない、という懸念もちらほら。同じビルにいる他部門の連中に候補者はいないか、もしもやる気のある人がいたらシンスケが鍛えればいいんじゃないか、と大ボスのクリスが提案します。そして彼が、ニヤリと笑ってこう続けます。

“You can throw them under the bus.”
「バスの下に放り投げられるだろ。」

ん?また出たぞ、このフレーズ。折角私の話題で使われたというのに、肝心な意味が分からない。笑うべきかどうかの判断がつかず、曖昧な表情を作って受け流しました。会議終了後、物知りの同僚グレンのオフィスを訪ねます。
「ああ、そのフレーズね。」
ニヤリと笑うグレン。
「平気で仲間を裏切る奴のことを指す表現だよ。Backstabbing (背中にぐさり、で「裏切り」)をする奴ね。」
「へえ、そうなの。でもどうしてバスが出てくるのかな?」
「う~ん、それは僕にも分からないな。狭い道をバスが走って来て、このままだと轢かれちゃう!っていうピンチがあるとするでしょ。とっさに横にいた友達を突き飛ばしてバスを急停止させ、自分は助かる。そういう話だよ。保身のためには手段を選ばない、狡猾な人間を指すんだ。」
「うわぁ、それはひどいな。」
と、私。
「うん、最低だ。ビジネスの現場でよく使われるね。」
と、グレッグ。
「絶対言われたくないね。」
「ああ、言われたくないね。」

とても恐ろしいフレーズを覚えました。

2012年5月13日日曜日

Gala Dinner 祝賀ディナー

PMIのカンファレンスにはどういう服を着て行くべきなのか、という問題がありました。これまでの経験から、いわゆる「ビジネスカジュアル」でオッケーだろう、と主張する私に、妻は「ネクタイとジャケットくらいは持っていった方がいいんじゃないの?」と忠告します。
「大丈夫だよ。プレゼンする側じゃないんだから。」
と笑って取り合わなかった私。

会場のホテルに到着してみると、やはり私の予想通りでした。発表者の中にすら、ノーネクタイの人がちらほら。私の格好は、ピンクのストライプが入ったボタンダウンのシャツに、白っぽい綿パン。余裕でクリアでしょ。

初日のプログラムが全て終了し、晩飯時が近づきます。主催者のPMIがディナーを企画していたのは知っていたのですが、折角のニューヨーク出張なんだから、どこか有名なレストランにでも出かけてみようと計画していました。しかし、根を詰めて密度の濃い話を一日聴講し疲労困憊の体だったのと、ちょうど雨が降り出したことも重なって、この日はおとなしくホテルに留まってPMIのタダ飯を頂くことに決めました。

ところが、ディナー会場に到着した途端、激しくうろたえる私。なんとこれが、大真面目な晩餐会だったのです。巨大な宴会場に並べられた十人掛けの丸テーブルを囲んで二百人前後の参加者が着席し、ボーイ達がフルコースのディナーを給仕する披露宴スタイル。照明はほの暗く、会場の隅では生ピアノでスローなジャズが演奏されています。さっきまでとは打って変わって、男性はネクタイにスーツ、女性はカクテルドレスを着込んでる。宴会場の入り口で立ちすくむ、思い切り場違いな服装の私。なんだよみんな、晩飯のためにわざわざめかし込んで来たのかよ。聞~てないよ!

出発前にイベント・プログラムをチェックしていて、「初日の夜に Gala Dinner があります」と書いてあるのに「おや」と思った記憶が蘇りました。ガーラって何だ?確か「ガーラ湯沢」とかいうスキー場があったっけ。「ガーラなディナー」って一体何だろう?

今思えば、疑問を抱いたら即辞書を引くべきだったのですが、迂闊にもやり過ごしてしまいました。サンディエゴに戻ってから同僚ディックに聞いてみたところ、
「特別な何かを祝うタイプの、きちんとしたパーティーに使う言葉だね。」
との返答。しかも、発音は「ガーラ」じゃなくて「ゲイラ」だとのこと。

しかしそんなことは、今更判明したところで後の祭り。私は会場入り口付近で行きつ戻りつ三分ほどためらった後、腹を決めて空いた椅子に腰を下ろしました。直後にどやどや現れた男性三人組がいて、いきなり自己紹介しつつ握手を求めて来ます。みなしっかりスーツを着込んでいる。
「どこから来たの?」
顎鬚を入念に切りそろえ、青白い頬との境界線が妙にくっきりと見える白人の青年が、にこやかに尋ねました。
「サンディエゴからだよ。」
と答えると、私の服装をちらっと見やり、

“No wonder you look so relaxed.”
「道理でリラックスしてると思ったよ。」

というコメント。南カリフォルニアの人間は、ラフなスタイルで有名なのです。彼の発言にどれほど皮肉の要素が含まれていたかは謎ですが、帰宅した私から話を聞いた妻は、これを疑いも無く侮辱的なコメントと受け止めたようで、
「恥ずかしい!どういう服装で参加するべきか、ちゃんと事前に調べておかなきゃダメじゃない!」
と激しく反応しました。

教訓:パートナーの忠告は真摯に聞くべし。

2012年5月11日金曜日

PMI 年次カンファレンス報告

四日間もニューヨークにいたのにほとんど観光が出来なかったのは、真面目にプロジェクトマネジメント協会のカンファレンスに出席していたから。出発前は、途中でサボってあちこち遊びに行っちゃおうかな、と企んでたんだけど、あまりの面白さに邪な心が吹っ飛びました。

今回のカンファレンスは、スケジューリングに関する専門家が世界各地から集まり、最先端の情報を交換するのが趣旨。今の会社ではそこそこエキスパート面していられる私ですが、「この道一筋40年」みたいな猛者がウジャウジャ集まるこういうイベントでは、まだまだ「クチバシの黄色いひよっこ」です。

合計で9人の講演を聴いたのですが、中でも異色だったのは、ロシア人のヴラディミールというおじさん。彼は「スパイダー (Spider Project)」というソフトウェアの紹介をしたのですが、あろうことか、建設業界では王者として君臨するスケジュール・ソフト、「プリマベーラ (Primavera)」の短所を次々に挙げ始めたのです。ロシアと東欧諸国では圧倒的なマーケット・シェアを誇るというこのソフト、なるほど聞いてみると優れた点が多数あります。実際、プリマベーラを使いつつ日々疑問に思っていたことが、ズバズバと指摘されて行きました。プリマベーラがアクティビティの所要日数に重きを置くのに対し、スパイダーは「仕事のボリューム」を重視。そして「この仕事は誰が担当するのか。その人の生産効率、労働時間は?」という点を重要な制約条件とみなすところは、さすがに元計画経済圏だなあ、と感心。アメリカのように、人材を「常に補充可能なリソース」とやや軽視する傾向がある国には、あまり響かない価値観だとは思いますが。

兎にも角にも、かつての宇宙開発や核開発競争のような米露の凌ぎ合いが、こんなところでも展開しているのだなあ、と感動したのでした。

さて、三日間も真面目に講義を聞き続けた私ですが、それでも僅かな空き時間を逃さず、ちょこちょこ出かけました。

まずは、建設中のOne World Trade Center ビル。完成間近です。
続いては、エンパイア・ステート・ビルの斜向かいという一等地で頑張っているユニクロ。

 そしておなじみ、タイムズ・スクエア。雨模様の平日にも関わらず、ごった返してました。なんだか新宿アルタ前とか渋谷のスクランブル交差点みたいでした。

2012年5月9日水曜日

一風堂ラーメン

ニューヨーク最終日。ダメ押しに、マンハッタンの一風堂へ。結局、外食3回すべてラーメンでした。「ニューヨークまで行っといて、どうしてラーメンなのよ?日本出張ならまだしも…。」と妻に不思議がられましたが、自分でもどうしてこうなったのか良く分からない。
お店はスペースが大きい上に天井も高く、60人くらい収容できそうな感じ。お昼時だったのに、5分しか待ちませんでした。ビートのきいた音楽が大ボリュームでかかっていて、これがなんと80年代のヒット曲ばかり。Baltimore の Tarzan Boy とか、Stacy Q の Two of Hearts とか。客層結構若かったけど、みんな知ってるのかな?店主は同年代と見たぞ。
一番ベーシックなとんこつラーメンを注文したところ、これが本格的な九州ラーメン。びっくりしました。食べ終わってスープをすすってたら、「麺のおかわり大丈夫ですか?」と聞かれました。う~ん、気が利いてるねえ。しっかり堪能してサンディエゴに戻りました。満足満足!

2012年5月8日火曜日

Totto Ramen, Manhattan NY

Another ramen in New York. Am I obsessed or what?


It was raining and 5 PM. I still had to wait for 20 minutes in the line.







They have incredibly small room in the kitchen. It reminded me of my favorite ramen shops in Tokyo.









I ordered a Chicken Paitan Ramen, the most basic one ($9.50). Home-made noodle in the chicken-broth based soup. This is super-delicious and addictive!

2012年5月7日月曜日

DUMBO, Brooklyn New York

After the first day of the conference, walked around in the district called "DUMBO."









The pier of the Manhattan Bridge is huge but beatiful.








Brooklyn Bridge. It's an awesome view.












A fancy carousel!






2012年5月6日日曜日

Ramen Shop in Brooklyn

Chuko, a ramen shop in Brooklyn. Doesn't look like a Ramen place....

I had to wait for 20 minute outside since it's so crowded!








Tonkotsu-Chashu Ramen, $12. Not bad....











They're using an iPad as a cash register. Cool....

{追記}
食べ切れなかった人のために、残りをタッパーに入れて「お持ち帰り」させてあげてるのを何度も目撃しました。日本人はやらないよなあ…。とてもアメリカ的だと思いました。あ、それから、chuko という店名は、古いビルを改装して使っているために、オーナーが「中古」と名づけたのだと女性店員が教えてくれました。「それってネガティブに聞こえない?」と聞いたのですが、「お客さん、日本人?」と聞き返され、「アメリカ人にはそういうニュアンス伝わってないと思うわよ。」とのこと。

2012年5月5日土曜日

ミッション・インポッシブル

昨夜は家族三人で、アパートの管理棟にあるミニシアターに出かけて映画「ミッション・インポッシブル」の最新作「ゴースト・プロトコル」を観ました。荒唐無稽なアクション・シーン満載、まさにハリウッド映画の真骨頂。息子は頗る楽しんでましたが、な~んにも心に残らない。私はまたも虚しい気分でシアターを去りました。
 正直な話、映画の出来がどうこう言う前に、「英語が聞き取れない」という問題があるのですね。アメリカ人と一緒に観るので当然字幕は無し。リスニング一本勝負なわけです。今回はイギリス英語の登場人物もいたので、更に難度アップ。帰宅してから妻に尋ねられました。

「英語、分かった?」
「いや、ダメだ。」
「え~?だって毎日英語で会議したりしてるんでしょ?それでも分からないの?」

 そう、その日も何十人という同僚たちと話し込んで来たところだったのです。自分の英語も結構イケてるんじゃないか、と自信がついてたところだったのに…。

「もう無理なのかな、あたしたち…。」

としょげる妻。まあ私はそこまで悲観的じゃないんだけど、ネイティブ・スピーカーへの道は途方も無く長いことを実感した夜でした。

明日からニューヨーク出張です。今回は、世界中からスケジューリングの専門家が集まるカンファレンス。三日間、最新事情のプレゼンが繰り広げられます。果たしてどこまで英語を理解出来るのか?楽しみです。