2012年5月15日火曜日

Throw someone under the bus. (平気で)人を裏切る

先日、熟練PMのダグと廊下でばったり会った際、フロリダのプロジェクトの近況を尋ねられました。万事順調で、もう私が出向く必要も無いんじゃないか、と答えると、出し抜けにこう聞きました。
「クライアントにスティーブって男がいるだろ。」
確かにそういう名前の人が現場にいました。うちの連中が、腫れ物に触るように扱っていたっけ。
「あの男は曲者だぞ。気をつけた方がいい。とんでもなく頭が切れるんだが、絶対敵に回してはいけない人物なんだ。」
「たまたま会議で隣に座ったんですけど、そんな感じは受けませんでしたね。」
ダグが誰かのことを悪く言うのを聞くのは、これが初めてです。意外な展開に、少し驚いていました。

「そこがタチの悪いところなんだよ。仕事は出来るんだが、リーダー面して皆を引っ張っておいて、人の手柄は全部横取りするんだよ。そしていざ都合の悪いことが起きると、何のためらいもなく、」
次に彼の口から飛び出したフレーズが、これ。

“He would through you under the bus.”
「人をバスの下に放り出すんだよ。」

ん?なになに?バスの下に?ど~ゆ~こと?

あまり考えず、「後で調べとこう」と心に留めたつもりが、そのまま忘れてしまいました。さて昨日の昼、オレンジ支社で開かれたマネジャー会議に出席し、過去数週間温めていた提案を発表しました。
「今後ますますプロジェクト・コントロールの重要性が増して来ます。今ある人材だけだと、サポート体制が不十分。サンディエゴのオフィスでやっているように、専門家を採用し、専属でPMの支援をさせたいと思うのですが。」

これに対し、大方は賛成意見だったのですが、会社全体の収益が落ち込んでいる今、新規採用の話を持ち出すにはタイミングが良くない、という懸念もちらほら。同じビルにいる他部門の連中に候補者はいないか、もしもやる気のある人がいたらシンスケが鍛えればいいんじゃないか、と大ボスのクリスが提案します。そして彼が、ニヤリと笑ってこう続けます。

“You can throw them under the bus.”
「バスの下に放り投げられるだろ。」

ん?また出たぞ、このフレーズ。折角私の話題で使われたというのに、肝心な意味が分からない。笑うべきかどうかの判断がつかず、曖昧な表情を作って受け流しました。会議終了後、物知りの同僚グレンのオフィスを訪ねます。
「ああ、そのフレーズね。」
ニヤリと笑うグレン。
「平気で仲間を裏切る奴のことを指す表現だよ。Backstabbing (背中にぐさり、で「裏切り」)をする奴ね。」
「へえ、そうなの。でもどうしてバスが出てくるのかな?」
「う~ん、それは僕にも分からないな。狭い道をバスが走って来て、このままだと轢かれちゃう!っていうピンチがあるとするでしょ。とっさに横にいた友達を突き飛ばしてバスを急停止させ、自分は助かる。そういう話だよ。保身のためには手段を選ばない、狡猾な人間を指すんだ。」
「うわぁ、それはひどいな。」
と、私。
「うん、最低だ。ビジネスの現場でよく使われるね。」
と、グレッグ。
「絶対言われたくないね。」
「ああ、言われたくないね。」

とても恐ろしいフレーズを覚えました。

1 件のコメント:

  1. この記事を読むと、ダグはキミに「そして後ろ指さされる奴になればイイじゃんか」と言っているように思えるのだが(笑)

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