そして最後に、太文字でこう念押しされています。
THIS IS AN IMPORTANT MEETING.
何か嫌な予感がしたのですが、遠く離れたサンディエゴ支社で働いている私には、どうすることも出来ません。そして9時半頃、今度は同じオフィスのジムから一斉メールが入りました。
「エリックが解雇されたそうだ。」
頭を金槌で力一杯殴られたような衝撃が走りました。約150人の部下を抱えるオレンジ支社の長であるエリックが、突然クビになったのです。彼は過去8年間、私の大ボスであっただけでなく、キャリアを後押ししてくれた大恩人です。先日のニューヨーク出張も、厳しい財政事情の中にありながら、「シンスケのこれまでの貢献を考えれば、行かせて当然だろう。」と喜んで承認してくれたのです。柔らかい物腰で社員を激励しながら成果を上げさせる手腕は、他の誰にも真似の出来ない芸術的なものでした。ここのところ業績が伸び悩んでいるとはいえ、アメリカ全体の景気を考えれば、看過されてしかるべき程度のスランプ。よりによって何故、このスタープレーヤーを切り捨てるんだ?他に切らなきゃいけない人はいるだろう?というのが皆の共通意見。後で財務のティルソと話したのですが、
「あの日は誰も仕事が手につかない様子だったわ。まるでmorgue
(遺体安置所)みたいに悲しい空気に包まれてたわよ。」とのこと。皆が一番憤っていたのは、ただ単にエリックを追い出して、背景の説明も後釜の発表も一切無し、という会社のやり方です。彼のボスのジョエルに訳を尋ねても、これは数段上層の幹部が決めたことで、自分の力の及ぶところではない、と苦しげに呻くばかり。
翌週月曜、オレンジ支社へ出向いてマネジャーミーティングに出席しました。当面のオフィスマネジャー代理を任されたナンバー2のクリスが、
「いつまでも悲嘆に暮れていてはいけない。前に進まなければ。」と淡々とした口調で演説しました。
クールな彼の態度に、ちょっとガッカリな私でした。彼はエリックとの付き合いが格別長い訳ではないからな…。
さて一昨日、サンディエゴ支社で同僚マリアと話していた時、エリック解雇の話題になりました。
「月曜日の朝一番、あるプロジェクトの月次電話会議があったの。30分しかない会議なのに、最初の15分、ずっとクリスが喋ってたの。自分の話で出席者の貴重な時間を奪いたくないんだが、って前置きしながら、いかにエリックが優れたリーダーで自分もどんなに慕っていたか、とか、我々は辛くでも前に進まなければいけないんだ、とか、同じことを繰り返し繰り返し言い続けてた。プロジェクトの話はなかなか始まらなかったのよ。そのうち誰かが、会社の上層部はどうかしてる。気でも狂ったんじゃないか、って爆発し始めて、収拾がつかなくなっちゃった。とにかく、いつも冷静なクリスが、珍しく冗長で支離滅裂に近かったのがすごく印象的だったわ。」
あのクリスも実は動揺してたんだということを知り、なんだか胸が熱くなりました。
「僕の出席した会議では、いつも通り冷静だったんだよ。」と言うと、マリアが、
「何時ごろ?」
「12時半だよ。」
それで納得、という様子でマリアがこう言いました。
“He already got it out.”
この
Get it out というのは、「心に溜まったもやもやを外に出す」という意味ですね。シンプルながら、いい表現だと思いました。
“He already got it out.”
「もう気持ちを吐き出しちゃった後だったのよ。」
イイ人や男気のある人が疎まれて、ゴマすり野郎や事なかれ主義野郎が重用されたりするのは、日本ではありがちだけどね。今回の真の事情はなんなんだろうね。まあ、エラい人の報酬が桁違いだったりするから、経営的な判断もあるのかもしれないが。
返信削除ELOのこんなジャケットよく捜してきたね、感心。オイラは「O
ut of the blue 」がお気に入りなんだが、良くかかる Turn to storn はそんなに好きじゃない。Sweet talking woman とか Mr blue sky だよねやっぱり。最近のジェフ・リンは何してんだろうね。。。
あのアルバムではWild West Hero だな、僕は。早朝出勤した時は必ずOut of the Blue をBGMとして仕事してます。
返信削除ガランとしたオフィスにフレディばりのテノールが響き渡る様が目に浮かぶね(笑)
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