アメリカで働き始めた頃は、朝が苦手でした。寝起きが悪いというのじゃなく、挨拶がしんどかったのです。日本だったら「おはようございます。」と投げかけ、「おはようございます。」と返って来る。あまり考えずに口をついて出るフレーズだし、目や手ぶりで答えてもOKな場面だってある。ですが、こっちだと
“Hey, Shinsuke! How are you?”
と名前つきで、しかも疑問形でやってくるのです。質問されてるんだから答えなきゃならないし、相手の名前を憶えていない場合はそうと感づかれないように振舞わなきゃいけない。
中学時代の英語教科書で、
“How are you?”
“I’m fine, thank you. And you?”
という会話文が出てきたように思うのですが、現実には、こんな一本調子のリアクションばかりじゃ、段々気詰まりになってしまいます。
“Doing great! How are YOU?”
とか
“Excellent! Happy Friday!”
などと数種類の返答を用意しておくことで、何とか苦手意識を克服したのですが、最近すごい新手が登場してきました。
“What are you up to?”
最初に同僚のマークからこれを言われた時はその意図が分からず、何度も聞き返して意味を教えてもらいました。これは、「今何やってんの?」とか「何に取り組んでるの?」という挨拶らしい。
これには弱りました。私は大抵4,5件のプロジェクト分析を同時並行で進めていて、それをいちいち全部説明すると長くなるし、相手が朝っぱらからそんな話をだらだら聞きたいとは到底思えない。もごもご言っている間にうやむやに終わる、というケースが続くうち、何とか短くバシッと切り返せないもんだろうか、と悩み始めました。でも「喉もと過ぎれば」というやつで、答えの無いまま何ヶ月も過ごして来ました。
先週の木曜、朝8時過ぎ。南カリフォルニア地区の上下水道部門長であるクリス(この名前、多いです)が、会議のためにロサンゼルスからやって来ました。私のオフィスを一旦通り過ぎてから戻ってきて、
“Good morning, Shinsuke! What are you up to?”
と笑顔で握手を求めました。
あちゃ~!こんなことならもっと前に模範解答を本気で探っておけばよかったな、と思いながら、またもや口をもごもご。するとクリスが、
“Working hard? (バリバリやってる?)”
と有難い二の矢を放ってくれたので、
“Yeah! Working hard! (バリバリやってますよ~!)”
と答えて難を逃れました。彼は機嫌良く私のオフィスを後にしました。
なんだ、そんなんでいいのか。便利なフレーズをアリガト、クリス。
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