2010年8月5日木曜日

Cliffs Notes アンチョコ

去年の夏、元ボスのエドが中心となってプロジェクトマネジメントのためのコンピュータ・プログラムが開発されました。今年中には世界中の支社のPMに使用が義務付けられる予定なのですが、昨秋使用を始めた環境グループのPM達には、あまり評判が芳しくありません。インハウスのプログラムにありがちな話なのですが、デザインが荒削りで、どのボタンが何をしてくれるのか、直感的に分からないのです。苛立ちを募らせたPM達は、時に「Fワード」まで織り込んでこのプログラムを罵ります。そこで私が登場するというわけ。Can I help you?

プログラムと格闘を続けた末に、疲れ果ててギブアップした人を鮮やかに救ってあげると、とても感謝されます。なんだかエドと組んでマッチポンプを演じているようでちょっと心苦しいのだけど、「困った人のいるところに飯の種あり」で、今の私はこのプログラムの恩恵に大いに浴しているのです。

先日、中堅PMのスティーブから、「ちょっと俺のオフィスに来てくれ」と電話がありました。数日前に、どうやってプロジェクトのデータ更新をすれば良いか、箇条書きにしたメールを送ったところでした。彼のオフィスを訪ねてみると、極めて初歩的な質問をされました。実際PM達のほとんどは、その初歩的な知識が無いためにプログラムを操れないのです。質問に丁寧に答えると、ようやく得心したように礼を言い、

“Then I’ll follow your cliffs notes.”

と私のメールをモニター画面に映しました。このCliffs Notes というのは、Cliffが「崖」ということから、以前は「崖から飛び降りる人の書置き」だと思い込んでいました。調べてみると、これはアメリカの学生なら誰でも知っていると言っても良いほど広く使われている、教科書の要約版冊子のことなのでした。Cliff という名の人が始めたビジネスだからこういう名前になったので、崖とは関係ありません。本屋に行くと、大抵専用の回転棚に沢山収まっているのですが、同じような商品は日本にもあるのでしょうか?和訳は「教科書ガイド」、または「アンチョコ」だと思います。スティーブはこう言ったというわけ。

「じゃ、あんたのアンチョコ見てやってみるよ。」

もっとも、「アンチョコ」という単語が今の日本で一般に使われているかどうかも怪しいんだけど。

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