2010年7月29日木曜日

Dry sense of humor 「乾いた」ユーモアセンス

世界中の支社に散らばるスケジュラー約150人の頂点に立つ男、ボブがシカゴからやって来ました。過去二年間、数え切れないくらい電話で喋って来たのですが、顔合わせはこれが初。人懐っこくて気さくな男で、多分年齢は同じくらいでしょう。今夜は何も予定が無いというので、「和ダイニングおかん」に連れて行きました。

カウンターで肩を並べ、卵焼き、牛タン、焼きうどんなどに舌鼓を打ちながら、彼がかつて担当したプロジェクトのことや、シカゴの大火災や洪水の話などを楽しみました。
「ところで、今のボスは誰なの?」
と尋ねると、
「クリスだよ。」
との答え。このクリスという人には私は何度も会っているのですが、どこか格闘家を思わせる迫力があります。彼の繰り出す鋭い質問には定評があって、一番探って欲しくないところに迷いも無く包丁を突き立てるような冷酷さが売り。しかしその内面はとても穏やかで、下らない冗談もポンポン言うのです。しかし困ったことに、そういう時もふざけているのか真面目なのか、表情からは読み取れないのです。顔が怖いんだよなあ。
「クリスのこと、どう思う?」
と聞いてみると、
「いい人だよ。僕は好きだね。」
と答えた後、ボブがこう言いました。

“He’s got a dry sense of humor.”

直訳すると、「乾いたユーモアのセンス」ですが、これはまさにクリスのような人のためにある表現。冗談と本気の境界があまりに微妙で時に戸惑わされるような人。振り返ると、日本で最後に仕えた部長もそうでした。殺気漂う視線にすくみながら「ここで笑うべきかどうか」を真剣に悩むのは、ちょっとした恐怖体験でした。

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