2010年7月19日月曜日

ラスベガスはバーゲン中

同僚エリカのご主人マークは、プロのヘリコプター操縦士を目指して搭乗時間を稼ぐ毎日です。搭乗時間が多くなればなるほど報酬も良く仕事の質も上がるそうで、目指しているのは救命ヘリの操縦士。このレベルに行き着くにはあと三年くらいは乗らなければならないみたい。その下のレベルが、メキシコ湾での石油採掘プラントへ人員を輸送する仕事。これは住むところも左右されるし危険も伴うので、家族は犠牲を強いられます。現在の経験量で最短距離にあるのが、ラスベガスで観光客を乗せて遊覧する仕事。

この週末、彼が仲間数人と集まって食事した際、その話をしたそうなのですが、そのうちの一人が、
「そりゃいいな。今ならラスベガスじゃ住宅の売れ残りや差し押さえ物件が溢れてるから、住まい探しには困らないぞ。」

“There are a lot of good deals there.”

最近読んだ雑誌でも、あの街は全米で最も住宅価格の下落率が大きい都市のひとつとして紹介されていました。ところでこの “Deal” という単語ですが、この文脈では「バーゲン品」という意味になります。「取引」とか「商談」という意味に使われることが多いのですが、私が鮮烈な印象を受けたのが、映画「グッドモーニング ベトナム」で使われた一言です。

「君のせいで、バーで二人死んだんだぞ。」
と責める主人公に対し、ベトナム人のファンという青年が答えます。
“Big f〇〇king deal!” (そりゃ気の毒だったね!)
そして泣きながら続けるのです。
「僕の母さんは死んだ。そして兄さんも。アメリカ人に殺されたんだぞ!隣の家の人も殺された。その奥さんもだ。何故かって?奴らにとっちゃ、僕らは人間じゃないからさ。単なるちびのベトナム人なんだよ!」

“Big deal!” というのは、「それがどうした?」と皮肉で言う時使うのですね。胸を引き裂かれるような辛い場面だったのですが、初級レベルの英語学習者だったはずのファン青年がこんな高度な英語表現を習得していたということに、度肝を抜かれたことを憶えています。

さて、ラスベガスの “Good deals” についてポジティブな意見をもらったマークですが、彼はこう答えたそうです。

“The problem is that those deals are getting better every day.”
「問題は、そのグッド・ディールが毎日良くなっているってことさ。」

つまり、今でもどんどん値下がりしているしてるから、手を出すのはヤバイという皮肉ですね。こういう「味のある」切り返し、かっこいいなあ。

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