2010年7月17日土曜日

Beyond a shadow of a doubt 疑惑の影

同僚のパトリシアは、向上心の旺盛な女性です。見習いたいのは、どんな偉い人が相手でも、その人の決裁が必要なら臆せず執拗に催促すること。忙しい人というのは大抵、そうでもしてもらわないとなかなか時間が作れないのです。

更に彼女の見上げた所は、こうと思ったらしっかり断定すること。これが私にはなかなか出来ない。自分が正しいと思っても、つい「こう思うんだけど」と一歩引いてしまうのです。それによって相手が意見を言いやすくなるから、と考えてやっていることなのですが、穿って見れば、単に逃げ道を作っているだけかもしれません。

一昨日、彼女が話をしたいというので30分だけ時間を作ったところ、
「本題に入る前に、ちょっと聞いていい?」
と私の顔をじっと見つめます。わずかに怯みつつ先を促すと、
「ここだけの話にして欲しいんだけど、最近私の仕事ぶりについて何か悪い評判聞いてない?」
悪い評判どころか、彼女の仕事は常に群を抜いてスピーディーで正確です。苦情など聞いたことがないし、あったとしてもそんなのは取るに足りない中傷でしょう。私の見解を伝えると、
「良かった。一応チェックしときたかったの。」
アグレッシブな言動が目立つ彼女にも、そんな繊細な一面があったのだと思うと新鮮でした。
「さっそく本題に入るわね。」
彼女が持ち出したのは、どうしても数字が合わなくてこの二ヶ月ほど四苦八苦している案件。先日私も手伝って見事解決したと思いきや、再度システムに弾かれてしまったというのです。そこで私たちは、過去にさかのぼって数字を一つずつ眺め、必要な修正は全て済ませたことを確認しました。その時彼女がこう言ったのです。

“Beyond a shadow of a doubt, we’ve made all the necessary changes.”
「ほらね。私たち、必要な修正はすべて完璧にやったでしょう。」

Beyond a shadow of a doubt は「疑惑の影もかからないほど明白に」、つまり「疑問の余地なく」という表現です。さすがパトリシア。断定の仕方が人並み外れてるぜ!ホレボレしました。

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