2011年2月2日水曜日

Elephant in the Room 触れてはいけない話題

同僚マリアに薦められ、映画「Exit through the Gift Shop」という映画を観ました。これは誰にも顔を知られていないストリート・アーティスト(というか落書きアーティスト)である Bansky (バンスキー)という人物の活動を追いかけたドキュメンタリー。世の中に蔓延る不正や欺瞞を、極めて直接的な手法で指摘し続ける彼の所業は、時に痛快ではあるものの、思わず目を覆いたくなるほど過激です。例えば、グワンタナモの収容所で裁判も経ずに人々を拘留し拷問にかけている米政府を糾弾するように、オレンジ色の囚人服を纏った等身大の風船人形をディズニーランドの真ん中に放置して逃げたり…(これにはドキドキしたなぁ)。

さて、映画の一場面で、壁紙と同じ模様に全身をデコレートされた象が登場します。これは彼一流の皮肉らしく、

Elephant in the Room

と銘打たれてあちこちのメディアで紹介されています。で、このイディオムですが、「部屋の中に象がいるのに、誰もあえてこれを指摘しない」状態を意味しています。つまり、動かしがたい事実を、大勢の人が見て見ぬふりをしているという、極めて居心地悪い状況のことですね。バンスキーはこのエキシビションによって、自分がやっていることの意義を人々に問いかけたのだと思います。

映画の感想を話しにマリアの部屋を訪ねた時、彼女がこう言いました。

“I have a huge elephant in the room right now.”
「今ね、巨大な象が部屋にいるのよ。」

コンドミニアムの隣人で、長年友達付き合いして来た夫婦がいるのですが、三日前に奥さんが出て行ってしまったというのです。近所の人は皆この事実を知っているのですが、当の旦那が全然そのことを口にしません。廊下で会ってもただ世間話をするだけ。彼女の方からこの話題を切り出すわけにはいかないので、どうにもこうにも居心地が悪いのだと。う~ん、それは大きな象だねえ。

2 件のコメント:

  1. なるほど。・・・・
    「会社」の中にも巨大な象が、たくさんいそうです。

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  2. いるいる。象の数が増えすぎて息苦しくなって来たら、転職を考えなきゃな、と思ってます。

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