水曜の午後、同僚シェリルがやって来て、その朝の出来事を話してくれました。ニューポートビーチ支社のティムと二人で、クライアントとのミーティングに出かけたのですが、会議後、ティムが彼女に悩みを打ち明けたというのです。
ティムのいる上下水道部門は業績が低迷していて、秋に一度レイオフの嵐が吹いたのですが、さらにクリスマス前、相当数の社員に「週30時間シフト」を言い渡したところです。アメリカの不況は深刻で、役所がこぞってインフラ整備のための財布の紐を締めているため、上下水道部門はそのあおりをモロに食らっているのです。
「彼、小学生の子供が二人いて、両方私立に行かせてるんだって。給料が7割くらいに減っちゃったから、このままだとやっていけないっていうのよ。それに、近いうちにまたレイオフがあるんじゃないか、その時は自分が切られる可能性が高いって。」
ティムは中堅のエンジニアだし、彼よりももっとレイオフに会いそうな人はたくさんいると思う、きっと大丈夫よ、と彼を励ましたそうです。
「でもね、ニューポートビーチ支社は総本山でしょ。」
とシェリル。そう、あそこには上下水道部門の重役が密集しているのです。
「案外彼の直感が正しいかもなって思ったの。」
次に彼女が言ったのがこれ。
“I guess he has his finger on the pulse of the corporate issues.”
「彼は会社の内情をしっかり把握してると思うの。」
この “have one’s finger on the pulse of” というのは、文字通り「脈に指を置いている」ということで、身体の状態を正確に把握するという意味ですね。何度も聞くフレーズなのですが、いつもあることに引っかかって使えずにいました。それは、「Finger が単数扱い」だってことです。若い頃に3ヶ月入院したことがある私は、毎朝看護婦さんに脈をとってもらってたのですが、彼女達は必ず指二本使ってたんです。その方が脈を逃す確率が低い、と言われて納得してました。やってみると分かるけど、指一本だと難しいんです。十秒ほどして気がつくと、脈を見失ってたりするのですね。不思議。
そんな訳でこのイディオム、なんだか「内情をつかんでるけどつかめなくなる時もある」と言ってるようで、心許ないのです。
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