同僚マリアから、彼女の女友達が体験した話を聞きました。その友達は、幼馴染の男性と二十代前半で結婚したのですが、妊娠5ヶ月目に逃げられてしまったそうです。「父親になることの重荷」に耐えられない、というのが理由。体調が思わしくなかったことも重なってすっかり打ちのめされた彼女ですが、何とか残りの5ヶ月持ちこたえました。
そして遂に破水。友達に頼んで病院へ連れて行ってもらったのですが、その時医者からこう尋ねられ、仰天します。
「ご主人と名乗る男性が訪ねて来ています。立会いを望まれているようですが、どうしますか?」
友人が気を利かせて連絡したのかもしれませんが、もちろん絶対会いたくありません。部屋に入れないでくれ、と頼むと、
「血圧を上げるような要因は排除しなければなりませんね。」
と彼を追い返してくれたそうです。
「一番不安で大変な時期に、放り出されたのよ。許せるわけないじゃない。出産後もアプローチして来て一生懸命謝ったらしいんだけど、遅すぎるわよね。」
この時マリアが使ったフレーズが、
“The damage is done.”
です。直訳すれば「損傷は生じてしまった。」つまり、もう取り返しはつかない、後の祭りだ、という意味ですね。これは実際、よく耳にする表現なのですが、ずっと飲み込めずにいました。でも今回はエピソードの強烈さゆえ、よ~く頭に染み込みました。
このマリアの友達は女の子を出産後、正式に旦那と離婚します。しかしここで話は終わらず、彼が娘に頻繁に会いに来るようになるのです。そして6年が過ぎたある日、こう思ったというのです。
「彼がプレッシャーに弱いことも、父親になる準備も出来ていないってことも、よく分かっていた。でもあの頃、自分は子供がすごく欲しかったから、なかば強引に妊娠した。だから彼にあんな行動をさせた責任の一端は自分にあるんだって、ようやく気付いたんですって。それから、彼を憎む気持ちが少しだけ薄らいだって言ってたわ。」
ちょっとフランス映画みたいだなぁ…。
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