“How are you?”
と尋ねました。「調子どう?」くらいの軽いノリだったんだけど、彼女は幾分暗い表情で、
“I don’t know.”
「わかんない。」
と答えます。「自分の調子が分かんないなんて困ったね。」と私が茶化すと、どんよりした目でこう付け加えました。
“Every time I feel like taking
control, someone would throw a monkey wrench.”
「うまく行き始めたぞって思うと、決まって誰かがモンキーレンチを投げ込むのよ。」
この “throw a monkey wrench (into)” というフレーズ、良く聞きます。ちょっと調べたところでは、「低賃金の工場労働者が工具のレンチを機械に投げ込んで仕事を止める」サボタージュ(破壊行動)を指す、という解説が多いようです。英辞郎には、「妨害する、混乱させる、台無しにする、めちゃくちゃにする、ぶち壊す」などという訳が載ってました。この中から選ぶとすれば、「ぶち壊しにする」かな?よく分からないので、弁護士の同僚ラリーに尋ねてみました。
「モンキーレンチが何かは知ってるの?」
とラリー。「ボルトをつかむところの幅が調節出来るレンチのことでしょ。」
「その通り。サルでも使えるレンチだよね。」
「え?そういう意味でのモンキーだったの?」
「いや、確かなことは分からないけど、僕はそう解釈してるよ。その人が言いたかったのはきっと、ようやく仕事のカタがついたと思ってたところに、何かしら厄介ごとを持ち込まれて何度もやり直しになるってことだと思うよ。レポートを提出したすぐ後に、書き直しの指示が4回、5回と続くようなことってあるだろ。」
「あるある。ラリーの仕事でも、レンチを放り込まれることってあるの?」
そう尋ねたところ、彼が突然、気は確かか?と言わんばかりの大声になり、
「毎日じゃんじゃん放り込まれてるよ。朝から晩まで。契約書のレビューを済ませるだろ。はいこれで決着が付いた、と一息つくと、決まって誰かが、あ、この部分を聞くの忘れてた、とか添付書類を送り損なってたからもう一度見直してくれ、とか言い出すんだよ。モンキーレンチを放り込むのは、この会社の得意芸さ。」
と笑いました。
なるほどね。分かったような気がします。
でもこのフレーズを使おうとすると、何故か決まってモンキーが飛んでくる映像が頭に浮かんでしまうんだよなあ…。
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