2011年3月29日火曜日

Lose sleep over 気がかりで眠れない

今日はロングビーチ支社のPMマークと、あわせて2時間くらい電話でやり取りしました。彼のメキシコでのプロジェクトが予想以上の大出血をしていて、クライアントから追加予算の約束をとりつけたばかりだというのに、さらに大規模な損失が予想されているのです。

今日の打ち合わせで分かったのは、私が毎週提供していた進捗速報を彼が「読み違え」、必要額をかなり下回る追加要求をしてしまったのだということ。今更、「実はもっと必要だったので、要求額を上乗せさせて下さい。」とは言えません。彼は瞬間湯沸かし器みたいな男で一旦怒ると手がつけられなくなるんだけど、それでもじっと耐えて、こんな事態に至った経緯を冷静に説明してくれました。はっきりとは口にしないけれど、それでも
「お前のレポートが分かりにくいからこんなことになっちまったんだよ!」
という憤りをビンビン感じます。

私が彼のためにまとめていたレポートは、プロジェクト・マネジメントの観点からは過不足ないのですが、彼が求めている物とは違ったのだ、ということが良く分かりました。
「でもマーク、そういう数字の出し方だと、利益率が不透明になるでしょう。」
「利益率なんか、俺にとってはどうでもいいことだ。いくら予算が不足しそうなのか、それだけ分かりゃ充分なんだよ!」
PMが利益率を無視するなんてあってはいけない話だけど、彼の気持ちは理解出来ました。
「悪かった。マークの求めていたことがようやく分かったよ。レポートの形式を変えて、君の欲しい情報が真っ先に分かるようにする。すまなかった。謝るよ。」
これで彼は少し気持ちが静まったようで、今後の対策を練るためにさらに話し合いを進めました。

ここで彼がボソリと漏らした一言がこれ。

“I lost sleep over this issue.”

Lose sleep で、「眠りを失う」という意味なので、

「この件では眠れなくなるほど気を揉んだよ。」

ということですね。財務部門から責められ、財布の紐が固いクライアントのご機嫌を取り、と胃の痛くなる日々を過ごしている彼の、苦しい本心でしょう。しかしすぐに気を取り直し、

“Well, it’s just money.”
「ま、所詮は金の話だけどな。」

と笑いました。

相手の要求を正しく理解し、(それがたとえ多少的外れでも)きっちり応えて行く、という「プロジェクトマネジメントの基本」を見失っていた自分に、今回の事件で気付かされたのでした。

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