五日前のこと。数十年来の付き合いである日本の友人夫婦に、とてつもない不幸がありました。何の前触れも無く、かけがえのない我が子との永遠の別れがやって来たのです。知らせを受けてからというもの、気持ちが沈んでなかなか普段のペースに戻れません。想像を絶する悲しみに吞み込まれているであろう友人夫妻のことを思うと、泣けて来て仕方ないのです。
一人オフィスで仕事をしていると、時々ぼおっとしている自分に気付きます。彼らの心中を想像すると、ハラワタが抉られるような苦しさを覚えるのです。誰かに話さないと耐えられないと思い、同僚リチャードを訪ねました。そしてこの心境を英語で何と表現すべきか悩んだ時、熟練PMで日本通のダグが、今回の津波が夥しい数の犠牲者を出したことについて発したコメントを思い出しました。
“It’s just gut-wrenching.”
Gut が「腸」、wrench が「よじる」ですから、「腸をよじるような」悲しさ、辛さを表現しているのですね。リチャードは何度も深く頷いていました。日本語にも「断腸の思い」という言い回しがありますが、日英共通した身体的感覚なのですね。
自分の部屋に戻った後、ふと「断腸の思い」というフレーズの語源が気になって調べました。「語源由来辞典」というサイトに詳しい説明があったのですが、こんな悲しい語源だったとは…。今回のケースにあまりにもあてはまるため、またまた涙が溢れました。
昔、同じく家族に不幸があった知人の女性から、こんなことを言われました。
「どんなに悲しくても、お腹はすくのよね。それに気付いた時、ああ、私達はちゃんと食べて生きて行かなきゃいけないんだなって思ったの。」
生き残った者は、どんなに辛くても前進しなければならない。ちゃんと食べて、ぐっすり眠る。そういう基本的なことを重ねて行くしかないんだよな、きっと。
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