2010年12月20日月曜日

It’s raining cats and dogs! 土砂降りだよ!

週末から雨が降り続いています。カリフォルニアの北部では、豪雨に見舞われて土砂崩れ警報を受けている町もあるそうです。

中庭に降りしきる雨を眺めながら、元ボスのエドに、
「Rain cats and dogs って古い言い回しがありますけど、今でも使うんですか?」
と尋ねてみました。すると、
「ああ、しょっちゅう聞くよ。竜巻で巻き上げられた犬や猫が空から降ってくるほどの嵐、っていう絵をイメージしてるんだけど、違うかな?」
それは竜巻の凄さであって雨の降り方とは関係ないよな、と心の中でけちをつけながら同僚リチャードに同じ質問をしたところ、やはり普通に使っているフレーズだとのこと。
「ちょうど今朝、語源を書いたメールが回ってきたんだよ。転送するね。」

このメールによると、
「昔の家は気密性が低く、屋根を葺いたワラの中が一番暖かかった。犬や猫はよくその中に忍び込んで眠ったが、大雨が降るとこれが上から落ちて来た。」
が語源だというのですが、どうも信憑性に欠ける気がします。猫はともかく、犬が屋根に上るだろうか?

色々調べたところ、一般に受け入れられている説は五つ以上(迷信から来ている、ギリシャ語から来ている、とか)あり、ウィキペディアでは「語源不明」とされています。しかしどれもこれもピンと来ない。どこか無理があるんだよなぁ。

調べを進めるうち、ようやく私にも納得できる回答が見つかりました(正しいという保証はないですが)。

このフレーズが初めて公式に使われたのは、「ガリバー旅行記」のジョナサン・スウィフトが1738年に出した “A Complete Collection of Polite and Ingenious Conversation” だそうで、ここにこんなセリフが出てきます。

“I know Sir John will go, though he was sure it would rain cats and dogs.”
「サー・ジョンなら行くだろう。土砂降りになることを彼は知っていたけれど。」

そしてその28年前、スウィフト自身の書いた詩にこんな一説があるそうです。

Sweeping from butchers’ stalls, dung, guts, and blood;
肉屋の屋台から糞やら内臓やら血が流されてきて、
Drown’d puppies, stinking sprats, all drench’d in mud,
溺れた子犬やら臭いを放つ魚やらが、泥の中でびしょ濡れだ。
Dead cats, and turnip-tops, come tumbling down the flood.
死んだ猫やカブのヘタが大水の中でぐるぐる暴れまわってる。

ものすご~くグロテスクだけど、これでしょ、これ!犬や猫が「押し流されてしまう」ほどの豪雨。「天から降ってくる」よりもよっぽど筋が通ってる。当時のスウィフトなら、「あぁ、あのガリバーの!」って感じで売れっ子だったに違いないし、自ら創作した表現を後に自著の中で「皆さんご存知の」ってノリで用いたとしてもおかしくない。

私はこの語源を信じることに決めました。

2 件のコメント:

  1. cats and dogs
    慣用句だと言われれば覚えるしかないのだが、確かにしっくりしないね。
    いくつかの語源があるという中からの一節ですが、ちょっとグロ。津波のようなものを想像してしまいます。
    同時に、cats dogs どちらにも全く通じないけども、雨足の強い場合、子供の頃、トタン屋根に当たる音を聞いて、その強弱を知ったものです。最近は集合住宅なのでよほどの強い雨でない限り、降っていること自体、気付かないほどです。
    犬猫押し流される、もしくは前述のグロだとしたら、中国語にオリジンがあるかもしれません。ちょっと調べてみます。

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  2. 一般に信じられている語源じゃないけど、僕にはこれが一番しっくり来たんだよね。というか、もう頭について離れない。

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