30ミリオンドルの契約書が、間もなくサインされようとしています。このプロジェクトのPMを私が務めることは、ほぼ確実となりました。一昨日、超多忙の中、契約条項のチェックを超特急でしてくれた弁護士の同僚ラリーに、今朝あらためてお礼を言いました。
「お安い御用だ。君にこんなすごいチャンスが飛び込んで来て、俺も興奮してるんだよ。君の履歴書上で、燦然と輝くプロジェクトになるだろうな。」
ラリーはニッコリ微笑んで、こう続けました。
“It’s going to be a feather in your cap!”
おお、またまた新しいイディオムを有難う!英辞郎では、「誇りとなるもの、自慢の種、手柄、立派な業績」などと訳されています。語源はどうも、ネイティブ・アメリカンが頭に立てていた羽根飾りのようです。殺した敵の数だけ羽を飾る、というあれですね。私の解釈では、これら一切をひっくるめて、「勲章」が一番ぴったり来る気がします。
“It’s going to be a feather in your cap!”
「これは君の勲章になるぞ!」
2011年5月6日金曜日
Final nail in the coffin とどめの一撃
昨日オレンジ支社で仕事していたら、同僚ジャックが神妙な面持ちでやって来ました。
「ちょっと話したいんだけど、いいかな?」
彼の部屋へ行くと、静かにドアを閉めたジャックが、
「ティムが解雇されたよ。」
と言いました。
ティムは上下水道部門のPMで、少し前に週30時間勤務に切り下げられたところでした。不景気のあおりで、業務量が激減しているため、こうなることは避けられなかったのでしょう。彼の持ち駒で、私も深く関わっていたプロジェクトがあるのですが、一ヶ月前に突然、無期限の中断をクライアントから言い渡されました。地元市とクライアントとの話し合いがこじれ、打開策が見つかるまで前に進めない、というのです。
「今思えばあの一件が、最後の (final)…。」
と言いかけた私ですが、良い表現を思いつきません。するとジャックがそこを引き取って、こう会話を締め括りました。
“That was the final nail in the coffin.”
直訳すると、「あれが棺の最後の釘だったね。」この表現、以前に何度も聞いているのですが、 “nail in the coffin” の部分がどうしてもしっくり来なくて、先週サンディエゴの同僚達に質問したところでした。「棺の中の最後の釘」と解釈すると、まるでお棺の蓋を開けて中に釘を一本放り込むようなイメージが浮かぶのです。前置詞の “in” が曲者。同僚リチャードによると、
「いや、そうじゃないよ。お棺の蓋に釘を打ち込む、という意味で in が使われてるんだよ。既に終末が見えている事態があって、そこへ最後のとどめを刺す、というフレーズだね。」
3年前のある日、私は上下水道部門への移籍を促され、迷っていました。その時私を今の環境部門へ引っ張ってくれたのが、大ボスのエリック、そして彼のボスのジョエルです。あの時彼らが動いてくれなかったら、私も今頃ティムのような目にあってたかもしれません。人生というのは、実力半分、運半分だな、と思わずにいられません。
「ちょっと話したいんだけど、いいかな?」
彼の部屋へ行くと、静かにドアを閉めたジャックが、
「ティムが解雇されたよ。」
と言いました。
ティムは上下水道部門のPMで、少し前に週30時間勤務に切り下げられたところでした。不景気のあおりで、業務量が激減しているため、こうなることは避けられなかったのでしょう。彼の持ち駒で、私も深く関わっていたプロジェクトがあるのですが、一ヶ月前に突然、無期限の中断をクライアントから言い渡されました。地元市とクライアントとの話し合いがこじれ、打開策が見つかるまで前に進めない、というのです。
「今思えばあの一件が、最後の (final)…。」
と言いかけた私ですが、良い表現を思いつきません。するとジャックがそこを引き取って、こう会話を締め括りました。
“That was the final nail in the coffin.”
直訳すると、「あれが棺の最後の釘だったね。」この表現、以前に何度も聞いているのですが、 “nail in the coffin” の部分がどうしてもしっくり来なくて、先週サンディエゴの同僚達に質問したところでした。「棺の中の最後の釘」と解釈すると、まるでお棺の蓋を開けて中に釘を一本放り込むようなイメージが浮かぶのです。前置詞の “in” が曲者。同僚リチャードによると、
「いや、そうじゃないよ。お棺の蓋に釘を打ち込む、という意味で in が使われてるんだよ。既に終末が見えている事態があって、そこへ最後のとどめを刺す、というフレーズだね。」
3年前のある日、私は上下水道部門への移籍を促され、迷っていました。その時私を今の環境部門へ引っ張ってくれたのが、大ボスのエリック、そして彼のボスのジョエルです。あの時彼らが動いてくれなかったら、私も今頃ティムのような目にあってたかもしれません。人生というのは、実力半分、運半分だな、と思わずにいられません。
2011年5月5日木曜日
A two-pronged approach 二方向からのアプローチ
別部門からの引き抜きの話を、直属の上司リックから大ボスのエリックに伝えてもらいました。彼の最初の反応は、
「シンスケにとってまたと無いチャンスなのは分かっている。でもうちの部門に籍を置いたままでも出来るだろう。」
でした。しかし、大規模プロジェクトを担当すれば今の業務の継続が難しくなるのはエリックにも分かっていて、数ヶ月先の移籍を前向きに検討するような雰囲気に変わりました。
水曜日にはアーバイン支社を訪ね、別部門のトップ二人(エリックとリサ)とミーティング。両部門の親分がどっちもエリックなのでややこしいのですが、二人は2時間かけて熱心に私を口説きました。
「今回のプロジェクトはうちの部門でも過去最大の仕事なんだけど、それ以外にも君の力を必要としている中規模のプロジェクトが四本くらいあるんだよ。どうしても来て欲しいんだ。」
夕方オレンジ支社に戻り、ボスのリック、そして大ボスエリックと三人でミーティングです。
「さあ、 Life after Shinsuke (シンスケが去った後の処し方)を話し合おうじゃないか。」
とリック。エリックは、
「とにかく急いで後任を探すことが先決だろう。」
と言います。するとリックが、
「複数の後任を育てつつPM達をトレーニングする、という二方向からのアプローチを考えているんですが。」
と返しました。この時彼が使った表現が、
“I’m thinking of a two-pronged approach.”
です。Prong(プロング)というのは、フォークや鹿の角のように枝分かれした先っぽを指し、数字の後に過去分詞のpronged をつけると、「〇本に枝分かれした」という意味になるのです。さっそく、私がこの実行計画を作成することになりました。
さて本日、ロングビーチ支社まで足を伸ばしました。エリックのボスであるジョエルのプロジェクト・レポート作成を手伝うためです。1時の待ち合わせだったのですが、前の予定が押していたらしく、私の顔を見るや否や、
「シンスケ、一緒にランチ行こう。昼飯食いそこねちゃったんだ。食べながら話そうじゃないか。」
と誘われました。近くのピザ屋まで歩く道々、プリマベーラを活用した人材管理の構想をぶちあげて、私にその中心人物になって欲しいとまくしたてました。どうやら引き抜きの話は伝わっていないのだということを、この時さとりました。さてどうするか。ここは単刀直入に話すしかない、と腹を決めます。ピザを三切れ食べた後、思い切って切り出しました。
「ジョエル、私の近況について話しておかなければなりません。別部門から、巨大プロジェクトのPMになって欲しいという話が来たのですが…。」
「ああ、そのことなら聞いてるよ。すごいチャンスじゃないか。頑張ってくれ。」
「有難うございます。でもそれはまだ話の前半部分にしか過ぎないんです。」
「残り半分は何だ。聞こうじゃないか。」
「はい、実は部門間異動の話も来ているんです。」
「なんだと?」
ジョエルの顔色が一気に曇ります。
「このPMの仕事を受けた後、彼らの部署へ異動してくれ、とも言われているんです。」
「とんでもない。そんなことはさせんぞ。うちはまだまだ君が必要なんだ!」
そしてやにわにブラックベリーを取り出すと、二つの親指で慌しくメールを打ち始めました。
「(別部門の)エリックの奴に、びしっと言ってやらないとな。」
帰宅して妻に、
「何だか知らないけど、気がついたらあちこちからラブコールがかかっていてね。モテモテなんだよ。まるでNFLの人気クォーターバックにでもなったみたいな気分。」
と浮かれて報告したところ、
「ハイそこまで。あまり調子に乗らない方がいいよ。」
とたしなめられました。
「シンスケにとってまたと無いチャンスなのは分かっている。でもうちの部門に籍を置いたままでも出来るだろう。」
でした。しかし、大規模プロジェクトを担当すれば今の業務の継続が難しくなるのはエリックにも分かっていて、数ヶ月先の移籍を前向きに検討するような雰囲気に変わりました。
水曜日にはアーバイン支社を訪ね、別部門のトップ二人(エリックとリサ)とミーティング。両部門の親分がどっちもエリックなのでややこしいのですが、二人は2時間かけて熱心に私を口説きました。
「今回のプロジェクトはうちの部門でも過去最大の仕事なんだけど、それ以外にも君の力を必要としている中規模のプロジェクトが四本くらいあるんだよ。どうしても来て欲しいんだ。」
夕方オレンジ支社に戻り、ボスのリック、そして大ボスエリックと三人でミーティングです。
「さあ、 Life after Shinsuke (シンスケが去った後の処し方)を話し合おうじゃないか。」
とリック。エリックは、
「とにかく急いで後任を探すことが先決だろう。」
と言います。するとリックが、
「複数の後任を育てつつPM達をトレーニングする、という二方向からのアプローチを考えているんですが。」
と返しました。この時彼が使った表現が、
“I’m thinking of a two-pronged approach.”
です。Prong(プロング)というのは、フォークや鹿の角のように枝分かれした先っぽを指し、数字の後に過去分詞のpronged をつけると、「〇本に枝分かれした」という意味になるのです。さっそく、私がこの実行計画を作成することになりました。
さて本日、ロングビーチ支社まで足を伸ばしました。エリックのボスであるジョエルのプロジェクト・レポート作成を手伝うためです。1時の待ち合わせだったのですが、前の予定が押していたらしく、私の顔を見るや否や、
「シンスケ、一緒にランチ行こう。昼飯食いそこねちゃったんだ。食べながら話そうじゃないか。」
と誘われました。近くのピザ屋まで歩く道々、プリマベーラを活用した人材管理の構想をぶちあげて、私にその中心人物になって欲しいとまくしたてました。どうやら引き抜きの話は伝わっていないのだということを、この時さとりました。さてどうするか。ここは単刀直入に話すしかない、と腹を決めます。ピザを三切れ食べた後、思い切って切り出しました。
「ジョエル、私の近況について話しておかなければなりません。別部門から、巨大プロジェクトのPMになって欲しいという話が来たのですが…。」
「ああ、そのことなら聞いてるよ。すごいチャンスじゃないか。頑張ってくれ。」
「有難うございます。でもそれはまだ話の前半部分にしか過ぎないんです。」
「残り半分は何だ。聞こうじゃないか。」
「はい、実は部門間異動の話も来ているんです。」
「なんだと?」
ジョエルの顔色が一気に曇ります。
「このPMの仕事を受けた後、彼らの部署へ異動してくれ、とも言われているんです。」
「とんでもない。そんなことはさせんぞ。うちはまだまだ君が必要なんだ!」
そしてやにわにブラックベリーを取り出すと、二つの親指で慌しくメールを打ち始めました。
「(別部門の)エリックの奴に、びしっと言ってやらないとな。」
帰宅して妻に、
「何だか知らないけど、気がついたらあちこちからラブコールがかかっていてね。モテモテなんだよ。まるでNFLの人気クォーターバックにでもなったみたいな気分。」
と浮かれて報告したところ、
「ハイそこまで。あまり調子に乗らない方がいいよ。」
とたしなめられました。
2011年5月2日月曜日
Glutton for punishment 仕事バカ
今朝ほど、先週「巨大プロジェクトのPMをやらないか」と誘ってきたリサからメールが届きました。今度の水曜、彼女のボスと三人でミーティングをしたい、とのこと。彼らは私を今の部署から引き抜こうとしていて、そうなると組織間での交渉になります。私個人にとっても、またとない昇給交渉のチャンス。同じ部門に長くいると、なかなか給料アップの機会が来ないのです。このミーティングは条件交渉になる予感がしています。
メールでの調整の末、アーバインのオフィスで12時から2時までのミーティングがセットされました。これは、ランチタイムもぶっ続けで仕事をする、という意味。当然、どこかから弁当を運び込んでもらい、食べながら話をするのです。リサはその後メールで、
「実は11時から、うちの部門の電話会議があるの。プロジェクトマネジメント・プログラムに関するディスカッションをするんだけど、これにも出られる?」
と尋ねて来ました。そして最後に付け加えたのがこの一言。
“…if you are a glutton for punishment. :)”
「あなたがもし glutton for punishment ならね。」
う~ん、さっぱり分からん。何だこのフレーズ?
というわけで、さっそく調べました。Glutton (グラトゥン)というのはもともとクズリというイタチ科の動物のことで、「大食漢」という意味に使われているそうです。Punishment は「罰」を意味する単語ですが、「虐待」としても使われます。二つを合体すると、「虐待を進んで受ける」という意味合いになりますね。英辞郎には、「いやな仕事を進んでする人」とあります。ふ~ん、何か、いい人っぽいじゃん…。ポジティブな言葉なのかな?
同僚マリアに、その辺のニュアンスを聞いてみることにしました。
「私は glutton for punishment よ。悲しいことに。」
「それって褒め言葉にもなるの?」
「普通はネガティブな意味にしか使われないと思うわ。大体、gluttony (暴食)はキリスト教の七つの大罪に数えられるくらいだから。」
「ふ~ん。僕もそういうタイプかもしれない。超忙しいタイミングで新しい仕事を頼まれても、よっしゃ!って燃えるんだよ。ちょっとマゾなのかも。」
「シンスケは絶対ノーと言わない人よね。確かにマゾ的なニュアンスはあると思うわよ、このフレーズには。」
「最近どうなってるかは分からないけど、僕から上の世代の日本のサラリーマンって、gluttons for punishmentが多かった気がするよ。」
20年ほど前、日本の中央官庁に出向して間もない頃、夜12時を過ぎ終電の時間が迫って来ました、隣の席の同僚から、
「3時から打ち合わせをセットしました。出て下さいね。」
と言われ、
「明日の午後のこと?」
と尋ねると、
「いえ、午前3時です。」
と真顔で答えられ、さすがに呆れて
「いや、出れない。終電で帰りたいから。」
と断りました。翌日上司から、「何で帰ったんだ?」とたしなめられ、ぶったまげたことがあります。
このエピソードをマリアに聞かせたところ、
「そういう人たちには、Glutton for Punishment って書かれた帽子をプレゼントしたくなるわね。」
明らかにネガティブなフレーズであることが、これで分かりました。「嫌な仕事をすすんでする人」という英辞郎訳は、少し綺麗過ぎる気がします。「仕事中毒」とか、「仕事バカ」くらいがしっくり来ると思うのですが、どうでしょう?
メールでの調整の末、アーバインのオフィスで12時から2時までのミーティングがセットされました。これは、ランチタイムもぶっ続けで仕事をする、という意味。当然、どこかから弁当を運び込んでもらい、食べながら話をするのです。リサはその後メールで、
「実は11時から、うちの部門の電話会議があるの。プロジェクトマネジメント・プログラムに関するディスカッションをするんだけど、これにも出られる?」
と尋ねて来ました。そして最後に付け加えたのがこの一言。
“…if you are a glutton for punishment. :)”
「あなたがもし glutton for punishment ならね。」
う~ん、さっぱり分からん。何だこのフレーズ?
というわけで、さっそく調べました。Glutton (グラトゥン)というのはもともとクズリというイタチ科の動物のことで、「大食漢」という意味に使われているそうです。Punishment は「罰」を意味する単語ですが、「虐待」としても使われます。二つを合体すると、「虐待を進んで受ける」という意味合いになりますね。英辞郎には、「いやな仕事を進んでする人」とあります。ふ~ん、何か、いい人っぽいじゃん…。ポジティブな言葉なのかな?
同僚マリアに、その辺のニュアンスを聞いてみることにしました。
「私は glutton for punishment よ。悲しいことに。」
「それって褒め言葉にもなるの?」
「普通はネガティブな意味にしか使われないと思うわ。大体、gluttony (暴食)はキリスト教の七つの大罪に数えられるくらいだから。」
「ふ~ん。僕もそういうタイプかもしれない。超忙しいタイミングで新しい仕事を頼まれても、よっしゃ!って燃えるんだよ。ちょっとマゾなのかも。」
「シンスケは絶対ノーと言わない人よね。確かにマゾ的なニュアンスはあると思うわよ、このフレーズには。」
「最近どうなってるかは分からないけど、僕から上の世代の日本のサラリーマンって、gluttons for punishmentが多かった気がするよ。」
20年ほど前、日本の中央官庁に出向して間もない頃、夜12時を過ぎ終電の時間が迫って来ました、隣の席の同僚から、
「3時から打ち合わせをセットしました。出て下さいね。」
と言われ、
「明日の午後のこと?」
と尋ねると、
「いえ、午前3時です。」
と真顔で答えられ、さすがに呆れて
「いや、出れない。終電で帰りたいから。」
と断りました。翌日上司から、「何で帰ったんだ?」とたしなめられ、ぶったまげたことがあります。
このエピソードをマリアに聞かせたところ、
「そういう人たちには、Glutton for Punishment って書かれた帽子をプレゼントしたくなるわね。」
明らかにネガティブなフレーズであることが、これで分かりました。「嫌な仕事をすすんでする人」という英辞郎訳は、少し綺麗過ぎる気がします。「仕事中毒」とか、「仕事バカ」くらいがしっくり来ると思うのですが、どうでしょう?
2011年5月1日日曜日
I'm breathing again ほっとひと安心
金曜の午後、オレンジ支社のエリックから電話がありました。間もなく終了する彼のプロジェクトの最終コスト予測を提出しなければならないのですが、最近になって4万ドルの請求書を下請け会社から受け取った、というのです。
「そんな大きな額の請求がまだ残ってたなんて知らなかった。下請け用には、あと1万ドル強しか積んでないよ。」
と私。
「その1万ドルは、もう行き先が決まってるんだよ。別に4万ドル積んでなかった?」
と動揺するエリック。
「うん、オンラインで最終予測コストの内訳を見てもらえば分かるけど、残りはあと1万だよ。」
「だとすると、4万ドルはまるまる利益から差し引かれることになるのか?」
「そういうことになるね。」
電話の向こうが静まり返りました。月末の、しかもこんなギリギリになって、ボス達に悪い知らせを届けなければならないとは。数百ドルならともかく、桁がケタだもんな…。
「絶対に、絶対に確かか?」
と緊張するエリック。
「ちょっと一旦電話を切るよ。データベースを調べてみるから。」
と私。
5分ほど調査した結果、4万ドルの請求書は既に先週処理されていて、最終予測コストに含まれていたことが分かりました。1万ドルというのは、その差っぴき後だったのです。エリックにメールしたところ、こんなメールが返って来ました。
“I’m breathing again.”
直訳すると、「呼吸を再開したよ。」となります。要するに、「ひと安心」とか「ほっとした」という意味ですね。
“I’m breathing again.”
「これでほっとひと安心だよ。」
この表現、いただきです。
「そんな大きな額の請求がまだ残ってたなんて知らなかった。下請け用には、あと1万ドル強しか積んでないよ。」
と私。
「その1万ドルは、もう行き先が決まってるんだよ。別に4万ドル積んでなかった?」
と動揺するエリック。
「うん、オンラインで最終予測コストの内訳を見てもらえば分かるけど、残りはあと1万だよ。」
「だとすると、4万ドルはまるまる利益から差し引かれることになるのか?」
「そういうことになるね。」
電話の向こうが静まり返りました。月末の、しかもこんなギリギリになって、ボス達に悪い知らせを届けなければならないとは。数百ドルならともかく、桁がケタだもんな…。
「絶対に、絶対に確かか?」
と緊張するエリック。
「ちょっと一旦電話を切るよ。データベースを調べてみるから。」
と私。
5分ほど調査した結果、4万ドルの請求書は既に先週処理されていて、最終予測コストに含まれていたことが分かりました。1万ドルというのは、その差っぴき後だったのです。エリックにメールしたところ、こんなメールが返って来ました。
“I’m breathing again.”
直訳すると、「呼吸を再開したよ。」となります。要するに、「ひと安心」とか「ほっとした」という意味ですね。
“I’m breathing again.”
「これでほっとひと安心だよ。」
この表現、いただきです。
2011年4月29日金曜日
Crackerjack スゴ腕
4月も明日でおしまい。今月前半は、別部門で行われたトレーニングのサポートに毎日出かけていました。これは直接収益を生み出す仕事ではないので、私の所属部門にとってはエラい出費です。自分の業績評価にも、どれだけプラスになるかは疑問でした。でも、助けを求められたら行かねばならぬ。それに、もしかしたらこれがきっかけで、別部門のプロジェクトにちょこっと参加させてもらえるかもしれない、という下心もありました。ボスのリックにも、
「これは営業活動だと思ってるんです。顔を知ってもらうのは良いことですからね。」
と説明してありました。蓋を開けてみると、トレーニング会場の隅に黙って座り、時々質問に答えてあげるというだけの仕事だったので、空振りだったかな、と拍子抜けした感がありました。
ところが、今週月曜。
「どうも有難う。あなたがトレーニングをサポートしてくれて、本当に助かったわ。ちょっと話したいんだけど、電話くれる?」
とリサからメールが入ったのです。リサというのは、今回私が助けた別部門の、南カリフォルニア地域ナンバー2。
「サンディエゴで、30ミリオンドルのプロジェクトがスタートするの。あなたにPMを任せたいんだけど、考えてくれる?」
これが、彼女がコンタクトしてきた本当の理由でした。受話器を握ったまま、一瞬固まる私。
「うちの部門ね、技術分野の人材は豊富なんだけど、プロジェクト・マネジメントを分かっている人はそういないのよ。しかもこれだけの規模でしょ。皆で頭を悩ませてた時、あなたの顔が浮かんだの。」
面白半分に石鯛狙って沖へ出たら、カジキマグロがかかっちゃった…。
アメリカでキャリアをスタートして8年半。この間、プロェクト・マネジャーを務めたことは一度もありません。プロジェクト・コントロールの仕事でだって、過去最高の契約額は10ミリオン。藪からぼうに、どデカい仕事が舞い込んで来たぞ。これを断り、今の仕事を淡々と続けて平穏に引退するか、それともこのチャンスに飛びついて実績を上げ、次々と大型プロジェクトを渡り歩くか…。突如として、二手に分かれた未来への道が、霧の向こうに現れたのです。
「とても興味があります。でもまずはプロジェクトの中身を知らないと、答えられません。プロジェクト・チームと話せますか?それに、スコープが書かれた書類を送ってもらえます?」
そして今日の午前中、ダウンタウンのオフィスでミーティングがありました。一時間ほど話してみて、プロジェクト・マネジメントのイロハを理解している人がチームにいないことがよく分かりました。このまま進んだら大変なことになるぞ。これは絶対自分が参加してコントロールしないと…。やる気がムラムラと湧いて来ました。
私の最大の懸念は、これからサインされる契約書が、法務部のチェックを受けてあるのかどうか、という点でした。ざっと草案を読んだところ、何だか怪しいのです。契約形態が書かれていないし、支払い方法についても記述が見当たらない。私の質問にチームの誰一人として答えられなかったことで、余計不安が募りました。ミーティング終了後、自分のオフィスに戻り、弁護士の同僚ラリーにこの件を話してみました。
「それはすごいチャンスじゃないか。良かったな。ところで、クライアントは誰?」
私がクライアント名を告げると、顔色が曇ります。
「あそこの契約書は、昔から穴が多いんだよね。」
「そのことなんだけど、僕も何だか不安なんだ。PMの座を引き受ける前に、契約内容をしっかり理解しておきたいんだ。もしも僕が契約書を持ってきたら、チェックしてくれる?」
「ああ、もちろんだ。いつでも持ってきてくれよ。」
そしてラリーがこう付け足しました。
“I’m sure you will be a crackerjack!”
「君ならきっとクラッカージャックになるよ!」
去りかけていた私の足が止まりました。
「え?何て言ったの?クラッカージャック?」
当然、説明を求めます。
「大昔から子供たちの心をつかんで話さない、お菓子の王様があるんだよ。」
「知ってる。僕も子供の頃、日本で食べたよ。おまけが楽しみでね。」
「お菓子の歴史上でも稀に見る大ヒットを飛ばしてね。アメリカじゃ知らない人はいないよ。それでこの名前は、エクセレンスを表すようになったんだ。つまり、褒め言葉さ。」
なるほど、彼が言ったのは、
「君ならきっとスゴ腕PMになるよ。」
ということですね。
「これは営業活動だと思ってるんです。顔を知ってもらうのは良いことですからね。」
と説明してありました。蓋を開けてみると、トレーニング会場の隅に黙って座り、時々質問に答えてあげるというだけの仕事だったので、空振りだったかな、と拍子抜けした感がありました。
ところが、今週月曜。
「どうも有難う。あなたがトレーニングをサポートしてくれて、本当に助かったわ。ちょっと話したいんだけど、電話くれる?」
とリサからメールが入ったのです。リサというのは、今回私が助けた別部門の、南カリフォルニア地域ナンバー2。
「サンディエゴで、30ミリオンドルのプロジェクトがスタートするの。あなたにPMを任せたいんだけど、考えてくれる?」
これが、彼女がコンタクトしてきた本当の理由でした。受話器を握ったまま、一瞬固まる私。
「うちの部門ね、技術分野の人材は豊富なんだけど、プロジェクト・マネジメントを分かっている人はそういないのよ。しかもこれだけの規模でしょ。皆で頭を悩ませてた時、あなたの顔が浮かんだの。」
面白半分に石鯛狙って沖へ出たら、カジキマグロがかかっちゃった…。
アメリカでキャリアをスタートして8年半。この間、プロェクト・マネジャーを務めたことは一度もありません。プロジェクト・コントロールの仕事でだって、過去最高の契約額は10ミリオン。藪からぼうに、どデカい仕事が舞い込んで来たぞ。これを断り、今の仕事を淡々と続けて平穏に引退するか、それともこのチャンスに飛びついて実績を上げ、次々と大型プロジェクトを渡り歩くか…。突如として、二手に分かれた未来への道が、霧の向こうに現れたのです。
「とても興味があります。でもまずはプロジェクトの中身を知らないと、答えられません。プロジェクト・チームと話せますか?それに、スコープが書かれた書類を送ってもらえます?」
そして今日の午前中、ダウンタウンのオフィスでミーティングがありました。一時間ほど話してみて、プロジェクト・マネジメントのイロハを理解している人がチームにいないことがよく分かりました。このまま進んだら大変なことになるぞ。これは絶対自分が参加してコントロールしないと…。やる気がムラムラと湧いて来ました。
私の最大の懸念は、これからサインされる契約書が、法務部のチェックを受けてあるのかどうか、という点でした。ざっと草案を読んだところ、何だか怪しいのです。契約形態が書かれていないし、支払い方法についても記述が見当たらない。私の質問にチームの誰一人として答えられなかったことで、余計不安が募りました。ミーティング終了後、自分のオフィスに戻り、弁護士の同僚ラリーにこの件を話してみました。
「それはすごいチャンスじゃないか。良かったな。ところで、クライアントは誰?」
私がクライアント名を告げると、顔色が曇ります。
「あそこの契約書は、昔から穴が多いんだよね。」
「そのことなんだけど、僕も何だか不安なんだ。PMの座を引き受ける前に、契約内容をしっかり理解しておきたいんだ。もしも僕が契約書を持ってきたら、チェックしてくれる?」
「ああ、もちろんだ。いつでも持ってきてくれよ。」
そしてラリーがこう付け足しました。
“I’m sure you will be a crackerjack!”
「君ならきっとクラッカージャックになるよ!」
去りかけていた私の足が止まりました。
「え?何て言ったの?クラッカージャック?」
当然、説明を求めます。
「大昔から子供たちの心をつかんで話さない、お菓子の王様があるんだよ。」
「知ってる。僕も子供の頃、日本で食べたよ。おまけが楽しみでね。」
「お菓子の歴史上でも稀に見る大ヒットを飛ばしてね。アメリカじゃ知らない人はいないよ。それでこの名前は、エクセレンスを表すようになったんだ。つまり、褒め言葉さ。」
なるほど、彼が言ったのは、
「君ならきっとスゴ腕PMになるよ。」
ということですね。
Face the music 潔く困難に立ち向かう
昨日の午後、カマリロ支社のケンという人から電話がありました。
「プロジェクト・マネジメントのソフトウェアの使い方を教えてくれるかな。最終予測コストの出し方が分からないんだ。」
彼のプロジェクトのデータを同時にコンピュータ画面に映しながら、電話で一時間ほど指導しました。
「げげっ。こんなにコストがかかるのか?いつの間にここまで恐ろしい事態になってたんだ?利益が2万ドルもそぎ落とされてたなんて!」
プロジェクトの終盤になるまで財務状況をチェックしないからじゃん。スタート時点からコントロールしてなきゃ駄目なんだよ…。ま、そんなことを言っても仕方ないので、出来る限りの改善策を提案してみました。
「う~ん。今後かかるコストをこれだけ絞っても、利益率が上がらないのか。」
とケン。
「そうだね。今までかかったコストが大きすぎるから、残りわずかで何とかしようと焦っても、大きな変化は起こせないよ。このレポートを提出したら、上層部から電話がかかってくるのは間違いないね。こうなったら出来るだけコンサバな予測をして、悪いニュースは一回で済ませる、という戦略を取った方がいいと思うよ。」
すっかり落ち込んでしまったケンは、
「分かった。とにかくこれで提出してみるよ。」
とため息をつきました。そして最後にこう付け足しました。
“Then I’ll face the music.”
「音楽と対面」する?これ、前に何度も聞いたフレーズ。ちょっと楽しそうな響きです。でも彼の置かれた状況を考えると、どうもそんなポジティブな意味には思えません。さっそくネットで調べたところ、「潔く困難に立ち向かう」という意味だと分かりました。何で音楽が困難なの?
語源は諸説紛々。ド緊張した舞台役者が演技を始める際、オーケストラ・ピットの方を向く、とか、兵士が軍の音楽隊の方を向くこと、とか。はっきりしているのは、この場合の「音楽」が、大変な緊張を強いられる場面を象徴しているということですね。
「プロジェクト・マネジメントのソフトウェアの使い方を教えてくれるかな。最終予測コストの出し方が分からないんだ。」
彼のプロジェクトのデータを同時にコンピュータ画面に映しながら、電話で一時間ほど指導しました。
「げげっ。こんなにコストがかかるのか?いつの間にここまで恐ろしい事態になってたんだ?利益が2万ドルもそぎ落とされてたなんて!」
プロジェクトの終盤になるまで財務状況をチェックしないからじゃん。スタート時点からコントロールしてなきゃ駄目なんだよ…。ま、そんなことを言っても仕方ないので、出来る限りの改善策を提案してみました。
「う~ん。今後かかるコストをこれだけ絞っても、利益率が上がらないのか。」
とケン。
「そうだね。今までかかったコストが大きすぎるから、残りわずかで何とかしようと焦っても、大きな変化は起こせないよ。このレポートを提出したら、上層部から電話がかかってくるのは間違いないね。こうなったら出来るだけコンサバな予測をして、悪いニュースは一回で済ませる、という戦略を取った方がいいと思うよ。」
すっかり落ち込んでしまったケンは、
「分かった。とにかくこれで提出してみるよ。」
とため息をつきました。そして最後にこう付け足しました。
“Then I’ll face the music.”
「音楽と対面」する?これ、前に何度も聞いたフレーズ。ちょっと楽しそうな響きです。でも彼の置かれた状況を考えると、どうもそんなポジティブな意味には思えません。さっそくネットで調べたところ、「潔く困難に立ち向かう」という意味だと分かりました。何で音楽が困難なの?
語源は諸説紛々。ド緊張した舞台役者が演技を始める際、オーケストラ・ピットの方を向く、とか、兵士が軍の音楽隊の方を向くこと、とか。はっきりしているのは、この場合の「音楽」が、大変な緊張を強いられる場面を象徴しているということですね。
2011年4月28日木曜日
Why the long face? どうしたの?
先月のこと、同僚ラリーがインド出身のウデイに、
“Why the long face?”
「なんで長い顔してんの?」
と尋ねる場面に出くわしました。ウデイはちょうど私に背を向けていたのですが、彼は知っている中でも群を抜いて丸顔です。一体どんな表情をしてるんだろう?と興味をそそられたのですが、顔を拝む前に彼が自分のオフィスに引っ込んでしまいました。後で聞いたところ、一ヶ月以内に解雇するぞという宣告をボスから受けたばかりだったとのこと。ひえ~。
すぐにネットでこの Long Face を調べたところ、「悲しそうな顔」という意味であることが分かりました。今日の午後オレンジ支社のスティーブンに、この表現について説明を求めました。
「悲しい時って、ちょっと長い顔になるでしょ。」
とスティーブン。
「え~?そうかな。僕はならないけど。」
「ほら、アゴがこう落ちて、長くなるじゃん。」
二人で悲しい顔をしてみました。うん、確かに若干長くなるかも。
「激しく泣いている人にも言う?」
「いや、そこまで感情的になってたら使えないな。」
「少し沈んでる時に使うの?」
「そうそう。」
「ふ~ん。ところで、このフレーズにはなんで動詞が含まれてないの?」
「それはね。Why do you have the long face? を省略してるんだよ。もう決まり文句になっててね。長い表現は聞いたことないな。」
一旦納得して席に戻ったのですが、もう一度スティーブンの席に行きました。
「じゃさ、本当に顔が長い人にこのフレーズ使ったらどうなる?君はどうしてウマヅラなの?って聞いたことにならないかな?」
普段あまり笑わないスティーブンに、これは思いのほかウケました。ひとしきり笑ってから真顔になり、
「そういう冗談を言うのは、近しい友達だけにしといた方がいいと思うよ。」
と、実に生真面目なコメントをくれました。
ちなみにインド出身のウデイは、社内の知人に電話をかけまくった結果、めでたく東海岸の支社に空きポストを見つけ、つい最近引っ越して行きました。
“Why the long face?”
「なんで長い顔してんの?」
と尋ねる場面に出くわしました。ウデイはちょうど私に背を向けていたのですが、彼は知っている中でも群を抜いて丸顔です。一体どんな表情をしてるんだろう?と興味をそそられたのですが、顔を拝む前に彼が自分のオフィスに引っ込んでしまいました。後で聞いたところ、一ヶ月以内に解雇するぞという宣告をボスから受けたばかりだったとのこと。ひえ~。
すぐにネットでこの Long Face を調べたところ、「悲しそうな顔」という意味であることが分かりました。今日の午後オレンジ支社のスティーブンに、この表現について説明を求めました。
「悲しい時って、ちょっと長い顔になるでしょ。」
とスティーブン。
「え~?そうかな。僕はならないけど。」
「ほら、アゴがこう落ちて、長くなるじゃん。」
二人で悲しい顔をしてみました。うん、確かに若干長くなるかも。
「激しく泣いている人にも言う?」
「いや、そこまで感情的になってたら使えないな。」
「少し沈んでる時に使うの?」
「そうそう。」
「ふ~ん。ところで、このフレーズにはなんで動詞が含まれてないの?」
「それはね。Why do you have the long face? を省略してるんだよ。もう決まり文句になっててね。長い表現は聞いたことないな。」
一旦納得して席に戻ったのですが、もう一度スティーブンの席に行きました。
「じゃさ、本当に顔が長い人にこのフレーズ使ったらどうなる?君はどうしてウマヅラなの?って聞いたことにならないかな?」
普段あまり笑わないスティーブンに、これは思いのほかウケました。ひとしきり笑ってから真顔になり、
「そういう冗談を言うのは、近しい友達だけにしといた方がいいと思うよ。」
と、実に生真面目なコメントをくれました。
ちなみにインド出身のウデイは、社内の知人に電話をかけまくった結果、めでたく東海岸の支社に空きポストを見つけ、つい最近引っ越して行きました。
2011年4月23日土曜日
That’s a good question. 良い質問ですね。
日常会話、特にプレゼンやトレーニングの場で、
“That’s a good question.”
「良い質問ですね。」
というセリフにしょっちゅう出くわします。ビジネス・スクール時代に、ある友人がこう言っていました。
「質問を理解出来ない場合とか、答えに窮するような鋭い質問を受けた際の時間稼ぎ用に、よく使われるフレーズだね。とても便利な切り返しだよ。」
実際のところよく注意して聞いていると、本当にそういうケースが多いことに気付きます。先日も、ダウンタウンのオフィスで行われたトレーニングに参加していた時、インストラクターのナンシーがこのフレーズを連発していたので、相当答えに詰まってるな、と可笑しくなりました。
ところで今日の昼過ぎ、カーラジオでNPRという公共放送にチャンネルを合わせました。A Way with Words という、英語を巡るリスナーからの質問に答える番組があるのですが、ちょうど司会の男女二人組が電話を受けたところでした。
「質問した相手から、That’s a good question. (良い質問ですね)と言われることが多いんですけど、どうも落ち着かないんですよ。だって私は、質問のクオリティを評価して欲しいなんて思ってないんです。ただ答えが聞きたいだけ。どうして人は、そんな切り返しをするんでしょうね。いえ、怒ってるわけじゃないんですよ。分かります?私の言いたいこと。」
ここで司会者の女性の方(マーサ)が話し始めたので、お、これは「時間稼ぎをしてるだけです」とか言うかもな、と期待してたら、彼女、なんとこう言ったのです。
“I know what you’re saying. You raised a very good po…. Never mind.”
「分かりますよ。とても良いポイントを挙げて下さっ…。なんでもないです。」
慌てぶりが、とっても可愛かったです。
“That’s a good question.”
「良い質問ですね。」
というセリフにしょっちゅう出くわします。ビジネス・スクール時代に、ある友人がこう言っていました。
「質問を理解出来ない場合とか、答えに窮するような鋭い質問を受けた際の時間稼ぎ用に、よく使われるフレーズだね。とても便利な切り返しだよ。」
実際のところよく注意して聞いていると、本当にそういうケースが多いことに気付きます。先日も、ダウンタウンのオフィスで行われたトレーニングに参加していた時、インストラクターのナンシーがこのフレーズを連発していたので、相当答えに詰まってるな、と可笑しくなりました。
ところで今日の昼過ぎ、カーラジオでNPRという公共放送にチャンネルを合わせました。A Way with Words という、英語を巡るリスナーからの質問に答える番組があるのですが、ちょうど司会の男女二人組が電話を受けたところでした。
「質問した相手から、That’s a good question. (良い質問ですね)と言われることが多いんですけど、どうも落ち着かないんですよ。だって私は、質問のクオリティを評価して欲しいなんて思ってないんです。ただ答えが聞きたいだけ。どうして人は、そんな切り返しをするんでしょうね。いえ、怒ってるわけじゃないんですよ。分かります?私の言いたいこと。」
ここで司会者の女性の方(マーサ)が話し始めたので、お、これは「時間稼ぎをしてるだけです」とか言うかもな、と期待してたら、彼女、なんとこう言ったのです。
“I know what you’re saying. You raised a very good po…. Never mind.”
「分かりますよ。とても良いポイントを挙げて下さっ…。なんでもないです。」
慌てぶりが、とっても可愛かったです。
2011年4月21日木曜日
Like pulling teeth 滅茶苦茶大変
今朝オレンジ支社で仕事してたら、同僚のクリスが契約担当のリアンに愚痴をこぼしていました。
“Getting an answer from her is like pulling teeth!”
「彼女から返事をもらうのは歯を引っこ抜くみたいなもんだよ!」
この Like pulling teeth というイディオムが、「極めて困難なこと」を指すというのは前から知っていました。でも、歯を抜くってそんなに大変かな?虫歯なんか、凧糸で縛って足の親指に結んでグイっと引っ張れば…。というわけで、直感的にはイマイチ飲みこめない。語源は一体何だろう、と調べてみたのですが、何も見つかりません。ただ「困難なこと」の一点張り。文例をいくつか拾ってみたところ、
Trying to get information out of that man is like pulling teeth.
あの男から情報を引き出すのはえらく大変だ。
Getting her to tell me about her childhood was like pulling teeth.
彼女に子供時代の話をさせるのは容易じゃなかった。
など、通常なら楽にこなせそうな件で苦労している場合に使う表現であることが分かりました。
と、ここまで書いたところで、Teeth が複数形であることに気付きました。おおそうか、一本じゃなかったのか。それなら話は別だ。一回に何本も抜かれたら、そりゃたまらんぞ…。
“Getting an answer from her is like pulling teeth!”
「彼女から返事をもらうのは歯を引っこ抜くみたいなもんだよ!」
この Like pulling teeth というイディオムが、「極めて困難なこと」を指すというのは前から知っていました。でも、歯を抜くってそんなに大変かな?虫歯なんか、凧糸で縛って足の親指に結んでグイっと引っ張れば…。というわけで、直感的にはイマイチ飲みこめない。語源は一体何だろう、と調べてみたのですが、何も見つかりません。ただ「困難なこと」の一点張り。文例をいくつか拾ってみたところ、
Trying to get information out of that man is like pulling teeth.
あの男から情報を引き出すのはえらく大変だ。
Getting her to tell me about her childhood was like pulling teeth.
彼女に子供時代の話をさせるのは容易じゃなかった。
など、通常なら楽にこなせそうな件で苦労している場合に使う表現であることが分かりました。
と、ここまで書いたところで、Teeth が複数形であることに気付きました。おおそうか、一本じゃなかったのか。それなら話は別だ。一回に何本も抜かれたら、そりゃたまらんぞ…。
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