今朝ほど、先週「巨大プロジェクトのPMをやらないか」と誘ってきたリサからメールが届きました。今度の水曜、彼女のボスと三人でミーティングをしたい、とのこと。彼らは私を今の部署から引き抜こうとしていて、そうなると組織間での交渉になります。私個人にとっても、またとない昇給交渉のチャンス。同じ部門に長くいると、なかなか給料アップの機会が来ないのです。このミーティングは条件交渉になる予感がしています。
メールでの調整の末、アーバインのオフィスで12時から2時までのミーティングがセットされました。これは、ランチタイムもぶっ続けで仕事をする、という意味。当然、どこかから弁当を運び込んでもらい、食べながら話をするのです。リサはその後メールで、
「実は11時から、うちの部門の電話会議があるの。プロジェクトマネジメント・プログラムに関するディスカッションをするんだけど、これにも出られる?」
と尋ねて来ました。そして最後に付け加えたのがこの一言。
“…if you are a glutton for punishment. :)”
「あなたがもし glutton for punishment ならね。」
う~ん、さっぱり分からん。何だこのフレーズ?
というわけで、さっそく調べました。Glutton (グラトゥン)というのはもともとクズリというイタチ科の動物のことで、「大食漢」という意味に使われているそうです。Punishment は「罰」を意味する単語ですが、「虐待」としても使われます。二つを合体すると、「虐待を進んで受ける」という意味合いになりますね。英辞郎には、「いやな仕事を進んでする人」とあります。ふ~ん、何か、いい人っぽいじゃん…。ポジティブな言葉なのかな?
同僚マリアに、その辺のニュアンスを聞いてみることにしました。
「私は glutton for punishment よ。悲しいことに。」
「それって褒め言葉にもなるの?」
「普通はネガティブな意味にしか使われないと思うわ。大体、gluttony (暴食)はキリスト教の七つの大罪に数えられるくらいだから。」
「ふ~ん。僕もそういうタイプかもしれない。超忙しいタイミングで新しい仕事を頼まれても、よっしゃ!って燃えるんだよ。ちょっとマゾなのかも。」
「シンスケは絶対ノーと言わない人よね。確かにマゾ的なニュアンスはあると思うわよ、このフレーズには。」
「最近どうなってるかは分からないけど、僕から上の世代の日本のサラリーマンって、gluttons for punishmentが多かった気がするよ。」
20年ほど前、日本の中央官庁に出向して間もない頃、夜12時を過ぎ終電の時間が迫って来ました、隣の席の同僚から、
「3時から打ち合わせをセットしました。出て下さいね。」
と言われ、
「明日の午後のこと?」
と尋ねると、
「いえ、午前3時です。」
と真顔で答えられ、さすがに呆れて
「いや、出れない。終電で帰りたいから。」
と断りました。翌日上司から、「何で帰ったんだ?」とたしなめられ、ぶったまげたことがあります。
このエピソードをマリアに聞かせたところ、
「そういう人たちには、Glutton for Punishment って書かれた帽子をプレゼントしたくなるわね。」
明らかにネガティブなフレーズであることが、これで分かりました。「嫌な仕事をすすんでする人」という英辞郎訳は、少し綺麗過ぎる気がします。「仕事中毒」とか、「仕事バカ」くらいがしっくり来ると思うのですが、どうでしょう?
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