昨日の朝、オレンジ支社で仕事していたら、同僚シェリルが通りかかって私の顔を見るやいなや、こう聞きました。
「リプリーブのこと、聞いてる?」
何?リプリーブ?初めて聞く単語だ。でも、彼女の表情から何を話そうとしているのか大体察しがつきました。
「ティムのこと?」
「あれ?ジャックに聞いたの?」
先日解雇宣告を受けた上下水道部門のティムですが、傷心を抱え荷物をまとめ始めた矢先に、
「やっぱり解雇取り消しね」
と突然の白紙撤回があったというニュースを、事情通の同僚ジャックから聞いたばかりだったのです。なんでも、サウジアラビアでメガトン級の設計プロジェクトがスタートしたそうで、全米各地のオフィスに、
「大至急エンジニアをかき集めてくれ!」
と号令がかかったらしいのです。
「ギリギリのところで失職を免れたとは言え、素直に喜べないわよね。お前なんか単なる将棋の駒 (Commodity) に過ぎないんだよ、という残酷なメッセージを受け取ったわけだから。」
う~ん、確かに複雑な心境だろうな。
「今回の緊急召集にしたって、何ヶ月分の業務量があるのか分からないらしいから、油断できないじゃない。昨日のミーティングで、ジャックがティムに会ったんですって。遠くに座ってたから話は出来なかったそうなんだけど、やってられねえよ、って感じのジェスチャーをしたそうよ。」
そうして去りかけたシェリルに、
「ちょっと待った。リプリーブって何?」
と聞いてみました。
「刑の執行を延期することよ。」
おお、執行猶予のことね。こういう時に使うんだ。知らなかった。シェリルが言ったのは、こういうことです。
“Did you hear about the reprieve?”
「執行猶予の件、聞いた?」
今日、サンディエゴの同僚リチャードにこの件を話したところ、
「奥さんから離婚しましょうと切り出された直後に、でも住むところが決まるまで一緒に暮らしましょうって言われたようなもんだよね。」
と、見事なたとえ話でティムの心境を描写してくれました。
2011年5月19日木曜日
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