先日の電話会議で、司会のボブが、
「誰か他に意見はないかな?」
と尋ねたところ、普段滅多に発言しないマリアが「ちょっといいですか。」と話し始めました。並み居る上層部に対して意見を言うなんて大した勇気だなあ、と感心していたら、最後に一言こう付け足したのです。
“That’s just my two cents.”
直訳すると、「それが私の2セントですが。」となりますが、これ、実に頻繁に聞くフレーズなんです。意見を述べた後、謙遜してそう言うのが常で、要するに、大して価値のある内容じゃなく、ちょっとした個人的見解なんですよ、と遠慮がちに締めくくる際に使われます。two cents の語源ですが、アメリカでは「ポーカーをする際に積まなければいけない掛け金の最低額だったから」という説が信じられているようですが、アメリカより前に、既にイギリスでも two pennies という表現があったようで、「郵便を送る際の最低額の切手が2ペニーだったから」という説が濃厚みたいです。
先日、久しぶりにオレンジ支社へ出張した際、私の陣取っているキュービクルの二つ隣に座っているスティーブンに、このイディオムの使い方について質問してみました。
「two centsは複数なのに、どうして That is my two cents. って単数扱いの be 動詞が使われるの?」
「2セント(日本円で約2円)分の価値しか無い意見、A two cents’ worth opinion というのを縮めてるんだよ。この場合の Opinion (意見)は単数だからね。」
「偉い人に対して使うの?」
「いや、上司だけじゃなく、同等の立場が相手でも使うね。」
「そうか、まあ同僚相手にだって謙遜することはあるもんね。じゃさ、謙遜しないで済む場面ではどんな言い方があるかな。」
その時、私とスティーブンに挟まれたキュービクルで、ずっとコンピュータに向かって無言で仕事をしていたダグが、満を持したように会話に割り込んで来ました。
“Let me give you my million-dollar suggestion.”
「俺の百万ドルの提案を聞かせてやろう。」
一同爆笑。私はたまにしかこの支社に行かないし、ダグも現場に出かけて不在がちなので、二人は滅多に顔を合わせません。この一年近く、隣にいながら何となく挨拶しそびれて会話ゼロが続いていたのですが、これで一気に関係がほぐれました。
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しばらくです。
返信削除なるほど、cents and dollars いろいろな表現があるんですね。かつて、百万ドルの夜景と言われた香港ですが、その百万ドルは果たしてUSドルなのかHKドルなのか、という話を覚えています。だいぶ違うもんねぇ・・・・。
ううむ。正解はどっち?夜景の価値が為替相場に左右されるというのは考えにくいので、香港ドルだと思うんだけど…。
返信削除by シンスケ