2012年8月19日日曜日

We did our due diligence. 誠意は見せたわよね。

私の担当するプロジェクトの契約額は、現在35ミリオンドル。スタート当初からハイリスク・プロジェクトに指定され、本社のリスク・マネジメント部門から毎月レビューを受けていました。二ヶ月前、テリーのオフィスでの電話会議で、東海岸のジョンがこう言いました。

「シンスケ、テリー、君たちのチームは極めて慎重にプロジェクト・マネジメントを遂行している。過去一年間注意深く見てきたが、不安要素が何も見当たらない。リスク評価レベルを一段落とそうじゃないか。我々が毎月時間を使ってレビューする必要性は考えられないからな。」
なんと、異例のレビュー免除措置です。これには一同驚き喜んだのですが、後でサクラメント支社のサンディ(テリーのボス)が、

「私はプロジェクトの近況を知りたいわ。内々での電話会議を毎月出来ないかしら?」
と要望します。結果、テリーが主催する非公式のレビューが毎月第三金曜日に行われることになりました。

ところが彼女、どうしたことか、先月はこの電話会議をすっぽかしてしまいます。どこか外部の会議に出かけていて、すっかり忘れていたのだと。
そんなことがあったので、今月はあらかじめ彼女に念押しした私。ところが彼女、超多忙のため、またもすっぽかします。後で彼女のオフィスを訪ねた時、これはもともとサンディが要請した会議なんだから、せめて彼女には近況報告しておくべきでは、と進言しました。私が言い終わらぬうちに、テリーは受話器をつかんでサンディに電話をかけていました。そして不在と分かるとメッセージを残し、

「念のため携帯番号にもかけるわね。」
と言った後、即座に携帯番号にかけ直します。またも応答が無かったため、もう一度メッセージを残して切り、こちらを振り向いてこう言いました。

“We did our due diligence.”
「デューデリジェンスはしたわよね。」
この間、約30秒。この人、ほんとに仕事が速い。でも、今の発言の意味は何だ?デューデリジェンス?
そういえば数ヶ月前、かっての大ボスだったアルがウィスコンシンからやって来た時、南アフリカから戻ったばかりだ、という話をしてくれました。この時の彼の出張目的が、その「デューデリジェンス」だったのです。我が社が買収しようとしている会社の資産内容、経営内容を丹念に調べ上げ、買収予定額が適正かどうかの判断に役立てる、という仕事。へえ、そういうのをデューデリジェンスっていうのか、と曖昧に納得していたのですが、今回のテリーの発言で、理解がぐらつきます。
で、さっそく調べてみました。

メリアン・ウェブスターのオンライン辞書には二つ意味が書かれていて、二番目が買収前の財務調査、そして一番目がこれでした。
"The care that a reasonable person exercises to avoid harm to other persons or their property."
「分別ある人が、他人やその所有物に害が及ぶのを避けるために払う配慮」
なるほど。そもそもdue は「当然払われるべき」という意味。Diligence は「勤勉」とか「努力」ですね。当然払われるべき「努力」を払った。つまりテリーが言いたかったのは、サンディに払うべき配慮は払った、ということですね。私の和訳はこれ。

“We did our due diligence.”
「誠意は見せたわよね。」

クールな表現をひとつ憶えました。

4 件のコメント:

  1. (自分サイドが)やるべきことは、やった、という感じでしょうか。
    デューデリジェンス、M&Aチームがよく言うのを聞いて、はー、どんな意味なんだろと思ったものです。
    でも、第一義が、誠意だったわけですね。
    写真がクール。誠意(征夷)大将軍!

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  2. そっちの方が訳としては近いかもしれません。あえて意訳してみました。

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  3. いつも、為になっております。

    PMも、要は”人”なんでしょうね。

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  4. そうですね。洋の東西を問わず、気配りや気遣いは重要ですね。

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