2012年8月12日日曜日

Maybe I missed my calling. 職業間違えたかも。

金曜の昼、二週間ぶりに同僚ディックとバーガーラウンジへ行きました。前回のランチでは、私が新たな職務を引き受けるかどうか悩んでいるという話で終わっていたので、彼が「あの件どうなった?」と聞いてきました。やることにしたと告げると、「おめでとう」と祝福されました。

「部下が出来るとは言っても、給料査定やら解雇通告やらはしなくて済むポジションだからね。その分気が楽だよ。」
と私。その時、ディックには直属の部下が15人もいることを思い出しました。

「部下がそれだけ大勢いたら、全員有能というわけにはいかないでしょ。中には問題児もいたりするんじゃない?給料上げてくれとしつこく訴えて来るとかさ。」
「ああ、そりゃ何人かは扱いにくいのもいるね。」
「最近、他の社員がいくらもらってるか、割と簡単に分かるようになったでしょ。あれ、ちょっとまずいよね。」
職種も経験年数も似通った二人の社員の報酬に大きな開きがあることが分かったりすると、感情的なしこりを生む可能性があります。うちの会社は短期間に吸収合併を繰り返したため、同じ職場でも出身会社は様々。金払いの良い会社から来た人とそうでない会社から来た人とで給与に大きな差が出るのは珍しいことではありません。ここ数年のシステム改善の結果、誰でもプロジェクトの財務データにアクセス出来るようになり、同僚がいくら稼いでいるか簡単に分かるようになってしまったのです。

「誰かを名指しで、あいつはこんなに給料もらってるじゃないか、不公平だって文句言ってくる奴もいるよ。」
「やっぱりね。そういう時はどう対処してるの?」
「僕は大抵こう言うんだ。彼と君との能力を正当に較べるため、表を作って来てくれって。技術分野だけでなく、コミュニケーション能力だとか指導力だとか、業務を遂行するために必要な全ての能力を網羅した表をね。それから周りの社員たちに客観的に採点してもらえって。もしもその表が埋められないと言うのであれば、正当な判断のための情報が不十分だということになり、二人の報酬の違いが不当だという主張の裏づけにならない。単なる言いがかり、という話になるだろう。」

私はひどく感心してしまいました。さすがに部下を大勢指導しているだけのことはあります。
“You know what, Dick? You sound like a court lawyer.”
「ディックさあ、今の、まるで法廷弁護士みたいだったぜ。」

と褒めると、笑顔になった彼は、自分はもともとアナリティカルな人間なんだ、と言い、
“Maybe I missed my calling.”

と続けました。
「コーリングをミスしたかも」という発言ですが、この「コーリング」が何かを知らないと、全く意味が分かりませんね。

ずっと以前、オフィスをシェアしていた同僚のデニスが、ウガンダの学校建設プロジェクトにボランティアとして参加することにした、そのために一時休職する、と話してくれたことがありました。驚いた私がその動機を尋ねたところ、彼がこう答えたのです。
“I’m just following my calling.”
「コーリングに従ってるだけだよ。」

デニスは敬虔なクリスチャン。このケースでは、「神のお告げ」ということになります。つまり、

「神の思し召しに従っているだけだよ。」
ですね。

さて、ディックの発言にあった「コーリング」ですが、調べてみたら、「天職」つまり「天から授かった職業」という意味もあったのです。要するに彼が言いたかったのは、こういうことですね。
“Maybe I missed my calling.”
「職業間違えたかも。」

0 件のコメント:

コメントを投稿