「おお、いいところに現れた。ヘルプ頼む!」
と助けを求めて来ました。こういうケースはサービス残業に発展することが多いのですが、今回も夜11時過ぎまでしっかり働かされました。まあこういうピンチにしっかり人助けしておくと、新しいプロジェクトを獲得した際にお声がかかる率が高くなるので、つい頑張ってしまいます(社内営業)。
さて、ジャックのリクエストと同時並行で同僚シェリルから頼まれたのが、スケジュールのレビューと修正。
「何かがおかしいのははっきりしてるんだけど、原因がさっぱり分からないのよ。」
社員の大半はマイクロソフト・プロジェクト(MSP)でスケジュール作りをするのですが、このソフト、実はとても危険な代物なのです。初心者にも使いやすい反面、ユーザーの不用意なミスを平気で見逃してくれちゃうため、完成品が全く使い物にならないケースが多いのです。まるで外面が良くて誰とでも友達になるけど、簡単に人を裏切る奴みたい。プロのスケジュラー達からは、蛇蝎のように嫌われています(建設事業のような複雑なプロジェクトにはお勧めしません)。今回シェリルが持ち込んできたのは、個別タスクのduration (期間)が「3 days」 のような整数なのに、WBSの上位にあるタスクのduration が「16.88 days」のような小数になってしまう、という問題。早速メールでファイルを送ってもらい、原因を調べました。で、分かったのが、そこかしこにconstraint(制約)が埋め込まれていたこと。彼女はタスクのスタート日を、自ら記入していたのです。
「ええっ?駄目なの?だってこのタスクがいつ始まるか100%確実に分かってたから、日にちをそのまま打ち込んだのよ。」
「日にちを記入した途端、制約扱いされちゃうんだよ。それ一発で、折角作ったスケジュールがまるまる全部使い物にならなくなるから、気をつけて。打ち込むのは期間だけにしてね。」
と指導します。
午後になって、コンストラクションマネジャーのトムがやって来て、更なる改造を要請して来ました。二人でしこしこ修正した後、様子を見に来たシェリルがこう言いました。
“Have you guys doctored the schedule?”
「スケジュールをドクターしてくれた?」
「スケジュールをドクターしてくれた?」
は?何を聞かれたかよく分からなかったので、解説を求めました。シェリルは笑いながら説明してくれました。
「要するに、病気にかかってたスケジュールを治療してくれたか?ってことよ。」
「へえ。ドクターを動詞として使うこともあるんだね。」
「俗語だからね。あまり正式な場面では使わないわよ。」
これは面白い表現だと思いました。私の和訳はこれ。
“Have you guys doctored the schedule?”「スケジュールを治してくれた?」
これって、私が昔MSPを使ってた頃に、同じ様なことが有りましたね。
返信削除システムがオカシクなるのも、病気みたいなもんですね。
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返信削除MSPはきちんと基礎を習ってから使うことをお勧めします。時間かけて作っても、全く役に立たないどころか間違いを直すのに無駄な労力を費やす破目になることが多いので。
返信削除アドバイスありがとうございました。
返信削除MSPは、昔は気に入って積極的に使ってましたが、最近4年ぐらい使ってません。
そちらでは、今でもメインなんですね。
はい、大多数の社員はMSPを使っていて、その99%が使用法を間違ってます。便益よりも弊害の方が大きい気がします。
返信削除日本では、多くの会社がMS-EXCELで、工程管理してます。
削除そういう意味では、MSPを使われてるというのは、すごいと思います。
ちなみに、私が最近使ってるのは、
http://kouteizu.webi.co.jp/ です。
情報ありがとうございます。使いやすそうなソフトですね。業界にもよると思うのですが、大規模な建設プロジェクト(空港や鉄道が良い例)の場合、一日の遅れが何百万ドルもの損失につながるので、スケジュール管理はPMの仕事の肝になります。だからプロのスケジュラーという職業があるのですね。スケジュールは工程管理の他、「誰がいくら賠償責任を負うか」を決めるためのツールという役割を担っているのです。「どのタスクをいつやるか」より、「どのタスクがどのタスクの開始時を左右しているか」の方がずっと重要で、そこが少しでも間違っていると、訴訟の際に「証拠不十分」となってしまいます。それだけにスケジュラーは毎回のアップデートに神経を尖らせるのです。と~っても疲れます。
返信削除すごく、責任重大ですね。
削除ちょっと日本では考えにくいです。
ブラック・ジャック って、恐怖コミックスなんですね?!
返信削除私も知りませんでした。ウィキペディアをチェックしたら、「連載当初は主人公の容姿や手術シーンに人間の血や内臓などが描かれる事から、当時流行であった恐怖マンガ的作品として扱われ、秋田書店の少年チャンピオンコミックスでは“恐怖コミックス”に分類されていた。」と書いてありました。
返信削除なるほど。
削除こんなのに関わられてたのでしょうね。
返信削除大変ですね。
http://www.ngcjapan.com/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/644
いえいえ、私はこんなワールドクラスのプロジェクトに関われるほどの大物じゃありません。大林組さんが建設に携わったので、きっと日本の優秀な技術者の方々が偉業を成し遂げられたのでしょう。
削除今度、5年で60億のプロジェクトを受注すべく、取り組み中です。
返信削除楽しみですね!
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