2011年8月13日土曜日

Take a stab at it. 試しにやってみる

ここ二週間ほどは残業続きでした。チームで取り組んでいたプロポーザルの締め切りが一昨日にあったのです。午前中にオレンジ支社のシェリルがクライアントのオフィスまで出かけて、直接提出して来ました。ああ、やっと終わったね!とひと安心したのも束の間、昨日の朝、彼女から電話がかかって来ました。
「ジェリーの作った積算資料が、最終版と微妙に食い違ってたのは覚えてるでしょ。クライアントから裏づけ資料を要求された場合に備えて、今のうちにきちんと作り直しておいた方がいいと思うの。だけど、彼に頼んでもすぐにやってくれるかどうか怪しいのよね。」

このプロポーザルは三部門混成チームで取り組んだもので、一緒に仕事するのは初めて、というメンバーが多かったのです。ジェリーもその一人で、シェリルは妙に遠慮しています。あなたの資料はおかしいから修正してくれ、と単刀直入に依頼しても角が立たないほどには親密な関係になっていない。それで、付き合いも長くエクセル表作りに定評がある私に電話してきた、そんなところでしょう。ここで彼女が使ったのが、次の表現。

“Can you take the first stab at it?”

このフレーズ、過去に何度も聞いているのですが、正直、意味が分かっていませんでした。 “Stab” というのは「ナイフでブスッと刺す」ことだと理解していたので、どうしてこういう場面で刺すとか刺されるとかが出てくるのかな、と毎回不審に思っていたのです。

いい機会なので、ネットで “take a stab at” の語源と意味を調べてみました。意味は「試しにやってみる」で、この場合のスタッブ(stab)は、「試み」という意味で使われています。なんでまたそんな大胆な転換がOKなのかについては、あまり詳細な記述が見つかりませんでした。ある人は、
「獲物が死んでいるかどうか確かめるため、ハンターが長い棒の先で倒れた動物の身体を突いてみたことから、試みという意味になった。」
という説を唱えています。う~ん、ほんとかな。

ま、スタッブの方はそれで良いとして、なんでここで take という動詞が使われるのかについて疑問が残ります。Take って、「何かをつかんで持っていく」というイメージだったので、「試み」を「持っていく」では意味が通りません。さっそく近くにいた同僚ジョッシュに聞いてみました。

「そういう意味の “take” じゃないよ。この場合は “take a chance” と同じ用法だと思うよ。」

え?それでオシマイ?しかもなんか納得いかないし…。

ジョッシュはいい奴だけど、英語の解説をお願いするべき相手じゃないことはこれで分かりました。で、帰宅してオックスフォードの辞典を開きます。なんと、 take の意味が42種類(!)も載ってました。ざっと読んだ限りでは、Take a bath. や Take a break. に代表される、「経験する」「行う」が最も近いのではないかと思われます。そんなわけで、私の和訳はこれ。

“Can you take the first stab at it?”
「試しに原案作ってみてくれる?」

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