数週間前から、会議中に何度も「ノーマンクレイチャー」という言葉を耳にするようになりました。
「ノーマンクレイチャーを知らない人にも分かるように書いておかないといけない。」
とか何とか。
え?誰?
咄嗟に、男性の名前(姓はクレイチャー、名はノーマン)だと思いました(ノーマン・ロックウェルみたいに)。でも、議論の文脈を辿ってみると、どうも意味が通らない。
そのうち出席者が口々にこの単語を発するようになったため、今更「それ何?」とは聞けなくなり、会議後にネットで調べることにしました。ところが、スペルが分からない~っ!綴りを何パターンも試したんだけど、まるでひっかかりません。
仕方ないのでその日は諦め、先日オレンジ支社に行った際、今やすっかり私の英語の先生となっている若き同僚、スティーヴンに聞いてみました。
「綴りはNomenclature、専門用語って意味だよ。例えばさ、僕がFSって言ったら、周りの連中はフィージビリティ・スタディのことだってすぐ分かるけど、社外の友達を相手にそんな言葉を使ってもちんぷんかんぷんでしょ。ぼくらの専門分野のノーマンクレイチャーに含まれる単語だから、専門外の人には使わない方がいいって話。」
「それって集合名詞なの?」
「そうだよ。FSひとつをとってノーマンクレイチャーだ、という人もいるけど、本来はおかしいと思う。」
「ふ~ん。この単語、一般的に使われてるの?僕は最近まで一度も聞いたことなかったんだよね。学校でも習わなかったし。この支社の社員全員が知ってると思う?」
「うん、皆知ってると思うよ。」
「じゃ僕だけじゃん、知らないの。」
「もう知ったからこれで全員だよ。」
スティーブンが微笑みます。
席に戻り、再度ネットで確認します。語源はラテン語。nomen がname, clare がto call。合わせると「名前をつける」という意味なるのだと。学術的な用語体系を指すようです。立ち上がってスティーブンにそのことを伝えると、
「それは知らなかったな。ひとつ勉強になったよ。」
スティーブンにしてこれだから、150人以上いる支社の連中全員、こんな雲を掴むような単語を、きっと語源も知らずにそのまま記憶しているのでしょう。そのことが私には不思議でなりません。
2011年6月30日木曜日
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