観葉植物の水遣りに来ている外部業者のメアリーと、久しぶりに顔を合わせました。
“How are you doing?”
と声をかけたところ、彼女が大きくひとつ息を吸ってからこう答えました。
“It’s coming down to the wire!”
「ワイヤーのところまで来てるわ!」
はぁ?何を言われたのか一瞬分からず、残響を手繰り寄せて頭の中で再現してみました。でもやっぱり分からない。メアリーは言葉を切らず、来月デルマーで開催されるフェアに出品する鉱物の話を始めました。彼女とご主人は鉱石採掘が趣味で、あちこちで掘り出した石をイベントで展示したりコンテストに出品したりしています。その締め切りがもうすぐなのよ、と言うのです。う~ん、それでもやっぱり分からん。なんなんだ?「ダウン・トゥ・ザ・ワイヤー」って?
同僚マリアに尋ねたところ、
「時間切れ間近ってことよ。スポーツ番組でよく聞くんだけど、接戦のまま間もなく試合終了のホイッスルが鳴る、っていう場面で使われるわね。」
「へえ、そうなんだ。でも何でワイヤーなの?」
「そんなの知らないわ。」
といつものマリア節。しょうがないので、自分で調べました。
語源はどうやら、昔の競馬らしいです。今みたいに高速度カメラでゴールシーンを撮影するなんてことは出来なかったので、係官が着順を見定めやすいよう、ゴールラインの上方にワイヤーを張っていたそうです。数頭が最終コーナーを回り、もつれるようにゴール目前まで迫ってきている状況を指しているのが、今回のフレーズ。メアリーは出展作品の用意で大わらわ。それでも容赦なく締め切りが迫って来ている。果たして、優勝しそうな展示品をそれまでに用意できるのか?ま、そんな感じでしょう。
“It’s coming down to the wire!”
「大詰めを迎えてるの!」
ところで、今回あらためて不思議に思ったんだけど、マリアってイディオムの語源に全く興味が無いみたいなんです。調べるそぶりも見せず、「わかんないわ」で済ませちゃう。自分が逆の立場だったら(日本で働いていて、外国人社員にことわざの解説を頼まれたりしたら)、きっと焦って調べると思うんだけどなあ。
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マリア節
返信削除そうですか、言葉は使うけど語源なんてどうでもいいわ、ってところですね。わたくしも中国語で「これって、なんでそういうの?」と妻に聞くと9割9分、「不知道!」(知らない)。もっとも、言外には「自分で調べろよ」って感じが見え見えですが。
そうなんだよね。イディオムの語源に興味を持つアメリカ人って、周りにあまりいないんだ。子供の頃から使っている言葉って、あらためて調べようなんて気にならないみたい。こっちは学習者だし、丸暗記出来ない年齢にもなってるので、根っこを押さえないと自分の言葉にならないんだよね。
返信削除初めまして。NomenclatureのSpellを探していて貴方のBlogに遭遇しました。 おーーーーと納得する事ばかりです。
返信削除私も語源にとても興味があり、英語の訳のわからない言い回しに首をかしげる事も多々あります。。。。特にTXなので!そういう変な言い回しやことわざを集めた本見たことありますか?
解説付きですごく笑えたのと同時に勉強になったのを覚えています。がんばれ!
コメント有難うございます。昔、テキサス界隈には特有の言い回しが沢山あるよ、とアメリカ人から聞かされたことがあります。一冊そういう本を上司から頂いたこともあります。アメリカにも「お国ことば」みたいなものがあるんだということを学びました。珍しい表現があったら教えて下さいね。
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