2012年1月28日土曜日

In a pickle 抜き差しならぬ状況

二ヶ月に一回ほどのペースで、同僚リチャードと晩飯を食べに行きます。昨夜も炉辺焼き「おとん」へ。鶏のつくね、焼きハマグリ、子持ちししゃもなど、アメリカ人が普段食さないような料理を頼み、彼の反応を見て愉しみます(大抵の物は彼の絶賛を浴びるので、ちょっと拍子抜けなんだけど)。

最後に「締め」として、えびの天むすをリチャードに、私はおかかのおにぎりを注文しました。付け合せに出てきた赤紫色の物体を見て、彼が初めて動揺を見せます。
「こ、これは一体…?」
「あ、それは柴漬けってやつだよ。」
英語で何て言えば良いか分からないので、ピクルスの一種だと言いました。恐る恐る一口かじった後、これはうまい、と満足げなリチャード。

「そういえばさ、in a pickle ってイディオムがあるよね。よく耳にするんだけど、どういう意味なの?」
と私。「ピクルスの中にいる」状況というのはイメージしにくいのです。
「困った状況にいる、苦境に立たされている、ってことだよ。ほら野球でさ、走者が一、二塁間に挟まれちゃうことあるでしょ。あの状況も in a pickle って言うんだ。」
「うん、聞いたことあるよ。でもさ、大体なんでそれがピクルスと関係あるの?」
「いやあ、それは分かんないなあ。」

帰宅して、さっそく調査してみました。

そもそもpickle (ピックル)は、漬物自体を指す場合も、漬け汁を指す場合もあるようです。漬物という意味だと、in a pickle は「一本の漬物の中に」となり、意味不明です。漬け汁のことだとすると、冠詞の a が邪魔になる。じゃあ何だ?

どうやらずっと昔に、pickle だけで「苦境」を指すようになったみたいです。だから可算名詞なのですね(苦境は何度でも訪れるので、数えられないといけない)。そもそもは中世オランダ語の表現から来ているらしく、長期保存のために食糧を漬け汁に漬ける行為が「何かを困った状態に置く」ことに変わったのだとか。ま、食べる側の我々からすれば全然困った話じゃないんだけど、野菜に言わせれば、あまり嬉しい仕打ちじゃない。

リチャードと店を出る前、何か具体的な使用例は無いか話し合いました。飲み屋で知り合った女性を家に連れ込んでよろしくやってたら、前触れも無く、今付き合ってる彼女が部屋に入って来た!こういう場合がまさに、

“I was in a pickle.”
「抜き差しならない状況だった。」

だそうです。う~ん、あまりピンと来ないなあ…。

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