我が社では、どんな会議でも出だしに Safety Moment (安全行動喚起に役立つ個人の体験談を披露する会)をすることになっているのですが、今回は建築部門のマネジャーが、こんなエピソードを紹介しました。
「先週クライアントとの会議のためにシカゴへ飛んだんだ。空港から目的地に向かってレンタカーを運転していたら、いきなり繁みから鹿が飛び出して来て、気が付いたら衝突事故さ。幸い怪我はなかったんだけど、とんだ目に会ったよ。あれはどう考えても防ぎようが無かったな。」
これを受けてシェリーが、
「どんな事故でも詳細に分析してみると、防ぐ手立ては必ずいくつか見つかるものです。」
という趣旨の切り返しをしたところ、このマネジャーが半ばいきり立って反論します。
「真昼間に見通しの良い道路を制限速度以下で走っていたんだぜ。前方には充分気をつけてたし。一体どうやったら防げたって言うのか、聞かせてもらいたいな。」
「前後の行動など、事故の背景を充分に調べなければきちんと答えられませんが、何かしら対策は導き出せるはずです。たとえば運転する時間帯を変えるとか。」
間髪を入れず、会議テーブルの反対側の端に座っていた男性社員がこんな言葉を発しました。
“It’s easy to be Monday-morning quarterbacking!”
「月曜の朝のクォーターバックは簡単だよ!」
え?月曜?くぉーたーばっく?なんだそれ?「月曜の朝のクォーターバックは簡単だよ!」
講習終了後、ボスのリックに解説を求めます。
「それはよく使われるフレーズだよ。ほら、プロフットボールのゲームは大抵日曜の晩にあるでしょ。月曜日の朝のスポーツ番組で、あそこはこういう攻撃をすべきだったとか何とか、解説者たちが侃侃諤諤やってんの見たことない?そこから来てる言い回しなんだ。クォーターバックは試合をコントロールするポジションで、彼の動きひとつがゲームの流れを大きく変えてしまうこともある。だから解説者たちはクォーターバックになり切って、俺ならああしたこうした、とケチをつけるんだ。このフレーズは、過ぎたことを振り返って文句をつけるのは簡単だっていう意味だね。」
な~るほどね~。
「同じ意味合いで、hindsight is 20/20 という表現もあるよ(Hindsightは「後知恵」)。後になって出来事を振り返る時は、急に視力が両眼2.0 になるってね。」
私の疑問はこれですっきり解消したわけですが、危機管理に一家言あるリックは更に続けます。
「僕もシェリーに賛成だな。大事なのは、どこまで真剣に安全対策を考える気があるかってことだと思うよ。防ぎようがなかったって言って諦めてしまえばそこで思考がストップするからね。防ぐ手立ては必ずあるよ。実行するかどうかは別として、鹿が嫌いな超音波みたいなのを出す機械を車に設置するって手もあるんだし。」
「ええっ?そんなモノがあるんですか?」
あとで調べたら、本当にそういう装置、売ってました。うちのボスってすげ~!
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