2011年10月20日木曜日

That will raise hell! 大騒ぎになるぞ!

昨日はダウンタウン・サンディエゴのオフィスで、プロジェクトマネジメント・トレーニングの講師を務めました。終了後、同僚ディックから、
「俺が今まで受けた中で最高のトレーニングだったよ。」
と褒めてもらい、上機嫌。
「良かったら、一緒にまたバーガーラウンジへ行かない?」
と誘われたので、二人でお気に入りのハンバーガーを食べに行きました。

「能書きの羅列に終始せず、具体的な解決策をひとつひとつ紹介したのがすごく良かったね。しかも専門的な話に偏らなかったから、頭にすんなり入ったよ。」
とディック。
「どうもありがと。ところでさ、Headquarters (本部)って単数なの?それとも複数なの?ISOの本部がスイスにあるって話をする時、 “The ISO’s headquarters is in Switzerland.” って言って良いのかどうか迷ったんだよね。だってもしも複数なら is を使えないはずでしょ。かと言って are を持ってくるのも気持ち悪いし。どっちが正しいわけ?」
「う~ん。俺には分かんないな。」
「え?分かんないの?」

バリバリのアメリカ人で、とりわけ言葉を慎重に選びながら話すタイプの彼でさえ答えられないんだから、私が迷うのも当然でしょう。
「英語って本当に難しい言語だと俺は思うよ。」
とディック。

極上バーガーを頬張りながら、私が最近聞いた噂をディックに披露しました。
「来年の初めから、北米の全支社を対象に、会社が二日間に渡るプロジェクトマネジメント・トレーニングを始めようとしているらしいんだ。もちろんそれ自体は歓迎なんだけど、問題は、トレーニング後のテストに合格しない者はPMの座を下ろされるって話。いくら技術的能力に長けていても、プロジェクトマネジメントの知識がない奴は引っ込んでろっていうメッセージだよね。」
美味そうにもぐもぐ動かしていた口を開いて、ディックがこう言いました。

“That will raise hell.”
「そりゃ地獄を持ち上げるぞ。」

ええ?地獄?何のこと?

一瞬スルーしかけたのですが、思い直してこのフレーズの意味を聞いてみました。彼が言葉を尽くして説明してくれたのですが、どうも良く分かりません。総合すると、どうやら「大騒ぎになる」ということらしいのですが、「何でそういう表現をするのかは分からないよ」とのこと。

帰宅後あらためて調べてみたところ、

“Raise Cain”
「Cainを蘇らせる」

というのが元らしいです。Cainはアダムとイブの息子のひとりで、この世で最初の殺人者。「ケインとアベル」というお話でも知られています。このCain をこの世に呼び戻せば(raise)大変な騒ぎになる、ということで、「大騒ぎを起こす」という意味の慣用句になったわけ。これが後に “Raise devil” とか “Raise hell” などの変化形を生み出したのだそうです。ディックはそもそもの語源を知らなかったため、クリアな説明が出来なかったのですね。

ランチのシーンに戻ります。

私ももぐもぐしながら、
「ヘルには定冠詞の The が付かないんだね。世の中に地獄はひとつしか無いっていうのがその理由なの?」
と質問すると、
「ああそうだね。宗教によっては二つ三つあるかもしれないけど、キリスト教的にはひとつだよね。」
とディック。

そういえば、昔誰かに聞いた話で、死後地獄に行ったら三つ部屋があった、というジョークがありました。一つ目が火炎地獄で、人々が業火に焼かれて悶え苦しんでる。次が氷地獄で、恐ろしい寒さの中で人々が凍えている。三つ目が肥溜め地獄で、汚物のプール上で浮き袋につかまった人々がタバコを吸ってる。あ、ここにします、と案内人に告げて浮き袋を借りた時、監視員が笛を吹いてこう叫びます。
「はい、休憩終わり。全員潜れ!」

3 件のコメント:

  1. まさに地獄に行ったらどこまでも苦労するわけだね。
    hellといえばすぐに思い出すのは、Kissのアルバムタイトル。Hotter than hellとか、ぜんぶ「地獄」シリーズだったと思う。邦題もそれに合わせてあった。いろんなことがありそうな、Hellですな・・・。

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  2. デリヘルというのはまた違う種類のヘルらしいね。

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  3. そうきたか・・・。
    そのhellはいいかも。

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