2011年10月8日土曜日

He is a dog. ちゃっかり者

昨日の朝、ロングビーチ支社で品質管理を担当しているアサーフから、PMのマークと私に宛ててメールが届きました。
「マークのメキシコ・プロジェクトのファイルは全てネットワーク・フォルダーに保存してね。」

私はこのプロジェクトの予算策定を手伝ったので、その際に作ったエクセルファイルを持っています。
「了解。でも僕はロングビーチのサーバーにアクセス権が無いんだ。メールでファイルを送るから、代わりに保存しといてくれる?」
と返信します。マークにccを入れて。これに対しアサーフが、ネットワーク・フォルダーのアドレスをメール本文に貼りつけて、
「ここに飛んで保存してくれれば良いんだよ。」
と返して来ました。おっと、これは意図が伝わってないな。
「アサーフ、そのリンク開かないんだよ。僕は他の支社の人間だから、アクセス権が無いんだ。」

数秒後、IT部門のジェフからメールが飛び込みます。
「シンスケ、マークのプロジェクト・フォルダーにアクセス出来るようにしたよ。」
おお、速い!と思ってよくよくメールの下方を見ると、私の最初の返信に素早く反応したマークが、ジェフに問題解決を依頼していたのです。

その数分後、アサーフがジェフに、
「ジェフ、シンスケにアクセス権をあげてくれないか?」
とメールを送ります。関係者全員をccに入れて。
「アサーフ、既に処理済だよ。マークに依頼されたんだ。」
と答えるジェフ。暫くして、アサーフがこれに返信。

Mark is a dog.

ええっ?「マークは犬だ。」って?どゆこと?確か「裏切り者」っていう意味だよな。でもそうだとちょっとズレてる。誰かに聞かなきゃ。

あいにく、ラリーもリチャードもマリアも不在。金曜の午後って人をつかまえにくいんだよな…。オフィスの中を暫くうろついたところ、製図担当のジェフ(IT担当と同じ名だけど別人)がコンピュータに向かってガリガリ働いていたので、質問してみました。

「う~ん、それは状況によって色々変わる表現なんだよな。」
「ポジティブなの?ネガティブなの?」
「大抵はネガティブだけど、声のトーンとか顔の表情とかで微妙に意味が修正されるよ。」
「たとえば今回のようなケースではどういう意味になるの?」
「おそらく、裏切り者、と強く糾弾してるわけじゃないだろうね。ちゃっかり者って感じかな。俺がせっかくシンスケを助けようとしてたのに、それを横取りしやがって!みたいなね。」
「ふ~ん。他にどんな使い方がある?」

ジェフは暫く考えて、いくつか例を挙げました。
「たとえば行きつけのバーに入ったら、自分の友達がスーパーモデル級の美女と並んで座ってたとするよ。後で聞いてみると、ちょっと声をかけたら意気投合してそのまま話し込んじゃったんだ、と言う。こういう時、 “You are a dog!” (うまくやりやがったな!)って冷やかすね。」
「なるほど。他には?」
「そうだな。今日、俺が前から欲しかった商品が、ある店でセール対象になってるとするね。5点しかないから、急がなきゃならない。でも俺は昼休みまで仕事が入っていて行けないんだ。それを聞いたシンスケが、午前中に店へ走って最後の一点を買っちゃったとするだろ。で、もう売り切れたぜ、と言われた俺が、 “You are a dog!” って言う。こずるい野郎だな!って。」
「う~ん、微妙だね。どっちにしても狡猾な感じがするね。」
「あと、女性が自分の女友達に、 “He is a dog. Stay away with him.” と言うと、あいつはカラダ目当ての遊び人なんだから近づいちゃ駄目よ。という意味になる。」

まいりました。この単語は使いにくい!
「Stop dogging me. って言えば、俺のことを批判するのはもう止めてくれ、という意味になるよ。」
ああ、もう止めてくれ!

「そもそもさ、犬は人間の一番の友達 (Dogs are man’s best friends.) って言うじゃない。なのにどうしてそういうずる賢いイメージの表現に犬が使われるのかな。」
と私。
「さあ、それは俺にも分からないよ。言われてみれば確かに不思議だね。これまで考えたこともなかったな。」
「オッケー。じゃ、そのことは後々ゆっくり調べてみるよ。邪魔したね。」
そうして彼のオフィスを去りかけ、最後にこう言いました。

“It’s Friday. Don’t work like a dog!”

2 件のコメント:

  1. what a pity!
    犬って、そんなにかわいそうな表現されてるんだね。ベストフレンドでありながら・・・・。
    犬も歩けば棒にあたる
    犬死に
    八犬伝
    お父さん犬(ソフトバンクCM)
    犬山道雪、犬塚志乃、犬・・・・

    犬の復権につながるような、表現をぜひ探し当ててください。

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  2. 犬死か…。悲しい単語だなあ。こうしてみると、日本語でも犬はネガティブな意味で使われることがあるのね。今のところ、彼らの復権につながるような英語表現は見つかっていません。

    それにしても犬塚志乃って…。笑ったよ。

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