昨夜は、同僚ジョシュを誘って「和ダイニングおかん」へ行きました。彼が貸してくれたDVDを返しがてら、うまい和食に舌鼓を打ちつつ映画談義を愉しもう、という企画。
借りたDVDというのが、黒澤映画「影武者」、それに三島由紀夫の生涯と作品を描いた「Mishima: A Life in Four Chapters」です。ジョシュは、日本の名画を何百も観てきたという日本映画通。黒澤、小津、伊丹、と映画監督の名を次々に挙げて彼らの作品について論じてくれました。ちょっと感心したのが、俳優や歴史上の人物の名を、日本式に苗字から先に言うこと。
タケダシンジェン(武田信玄)
ミシマユキコ(三島由紀夫)
と、ちょっとずつ間違っているのが可愛いんだけど。
私に貸したDVDについては、
「ミシマの作品を読んだことのない人にはちょっと厳しいかもね。」
なんてカッコいいコメントまで加えたりして。これで日本へ行ったことは無い、というのだからビックリ。
最近のハリウッド映画は最低だ、と日頃から毒づいていて、日本映画の優れたところは体制に迎合しないことだ、と持ち上げます。
「たとえばさ、ハリウッド映画でウェイトレスが主人公だった場合、決まってびっくりするほどの美人で、しかも生活レベルもそこそこだったりするでしょ。有り得ないよね。日本映画だと、現実の厳しさを正直に表現してくれるんだよ。後悔や挫折、日々の細かい気持ちの揺れさえも、観客に伝えようとする。ほんと最高だよ、日本映画は。」
なるほどね。そう言われてみれば確かにハリウッド映画は、全く現実味の無い話を臆面も無く延々と見せるよな。
「アメリカじゃ、マスマーケットにウケる映画しか作らなくなってるんだよ。資本主義の行き着く先は、結局そういうことなんだ。こないだカンザス州に行く用事があったんだけど、ショッピングモールに入ったら、ここはカリフォルアか?と見紛うほど店のラインナップが酷似してたんだ。何でも均質化しちゃってるんだよね。」
この時ジョシュが使った表現が、これ。
“They are all homogenized.”
ホモジナイズド。均質化。う~ん、クールな単語だねえ。
「日本だったら、北海道、本州、それに九州、と行く土地土地で景色が違うだろ。」
なんで日本に一度も行ったことがないのにそんなこと知ってんの?と不思議になって、彼の興味の源泉を尋ねてみました。
「それは自分でも分かんないよ。ただ日本が好きなんだ。」
この後、幕末から明治にかけての歴史談義になり、私がペリー来航の話題を持ち出したところ、さっと顔色を変えて苛立ちを露にしました。
“I hate that guy. He coined the term “Gunship Diplomacy” that makes me embarrassed as an American”.
「あいつなんか大嫌いだ。砲艦外交なんて言葉を作りやがって、同じアメリカ人として恥ずかしいよ。」
そして、吐き捨てるようにこう言いました。
“He’s such a fxxkin’ asshole!”
「あいつはホントに大馬鹿野郎だよ!」
まるでペリーと面識があるみたいな言い草。笑いました。
2011年10月28日金曜日
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