会社組織に属しているとはいえ、私の職の安定性には何の保証もありません。コンスタントに結果を出し続けるだけでは不十分で、それを上手に売り込んでいかないと、気がついた時には日照り状態、そして突然失職。そういう運命が待っているのです。
重要なのは、「忙しい時こそ営業努力を惜しまない」こと。仕事に追われている時は「少し負荷を減らしたい」という心理が働くため、顧客開拓の意欲が鈍ります。で、気がつくと大きなプロジェクトが複数同時に終焉を迎え、閑古鳥が鳴き始める。売り込みを始めてから実際にプロジェクトが開始するまでは大抵数ヶ月かかるため、焦って動いてもすぐには忙しくならないのです。
実は今、丁度そんな状態。インド出身の同僚ウデイと食堂で話していた時、そんな実情をちょっと吐露したところ、
「アンダースと話してみたら?つい最近、巨大プロジェクトをゲットしたんだよ。もしかしたらチームに入れてもらえるんじゃない?」
と有難い助言をくれました。
さっそく、上下水道部門のナンバー2であるアンダースのオフィスを訪ねました。
「最近ゲットしたってプロジェクトのこと、聞きたいんだけど、いい?」
コンピュータに向かっていた彼は、こちらをにこやかに振り向いて快く説明してくれました。これは、7年間で予算250ミリオンという、久しぶりの大規模プロジェクト。これくらいのスケールになると、スケジュールや予算の管理をしっかりしないと、コケた時の損害が大きくなります。彼の説明が終わったらそこんとこをぐっと売り込もうと、待ち構えながら話を聞いていました。すると彼が突然プロポーザルのページをめくり、まるでこちらの心を読んだかのように、
「君の名前はとっくに入ってるよ。」
と組織図を指差しました。
なんと、私の名前が組織図の上の方にちゃんと入ってるじゃありませんか。下手な売り口上を聞かせる前に分かって良かった!
「スタートはいつ頃?」
「明日はクライアントとの初打ち合わせなんだ。すごくスケジュールのタイトなプロジェクトになると思う。だからプロジェクト・コントロール業務はとても重要で、君には期待してる。ただ、前裁きにしばらく時間がかかりそうなんだ。各種調整に4、5ヶ月は必要かな。」
それから彼は、こう付け加えました。
“The clock has not started ticking aloud yet.”
直訳すれば「時計はまだ音をたて始めていない。」ですが、要するに、プロジェクトが「本格的に始まっていない」ことを言いたいわけですね。
これはビジュアルの浮かんでくる詩的な言い回しで、いたく気に入りました。今後、多用しようと思います。
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