2012年6月5日火曜日

Nothing is written in stone 最終決定ではない

先月アーバイン支社が閉鎖し、社員は揃ってオレンジ支社二階の空きスペースに引っ越しました。アーバインのオフィスマネジャーだったリサは先週の木曜、サンディエゴにいるミケーラとシャノンと私を電話会議に招集しました。

「突然なんだけど、辞職することにしたの。」

三人あっけにとられ、十秒ほど無言で顔を見合わせました。リサが高齢のお母さんを自宅で介護していたのは知っていたのですが、ボケの症状が進み、仕事との両立が難しくなった、とのこと。でも、本当にそれが理由なのか?きっとミケーラもシャノンも同じことを考えていたでしょう。

たまたま昨日からオレンジ支社に出張することが決まっていたので、本人に会って直接聞いてみることにしました。
「三ヶ月前くらいだったかしら。上層部から収支報告の件で圧力がかかったことがあったでしょう。」
とリサ。確かにそんなことがありました。私もその件に関わっていて、非常に不愉快な思いをさせられた憶えがあります。
「あの時ね、こんなところでは働けないな、としみじみ思ったの。私のポジションにいたら、どんな会社でも大なり小なりあることなのかもしれないけど。でも私、自分の生き方に合わないことは出来ない性質なのよ。」

会議室のテーブルを挟んで二人、30分ほど語り合いました。
「母の面倒は、ほとんど妹に任せて来たの。申し訳ないな、私がもっと支えなきゃ、と考えていたところだったから、ちょうど良いタイミングだったのね。皆と別れるのは辛いけど、これは私の使命だと思ってるの。時々は連絡取り合いましょうね。」

今日の昼前、ボスのリックのオフィスでチーム・ミーティングをした時、全米のあらゆる支社で副社長クラスの首切りが進んでいるという話を聞きました。オレンジ支社では部門ごとのオフィスマネジャーを排除し、全部門を統括するポストを作る動きがあるようだ、とリックが告げた時、リサの選択は時宜に適っていたのかもな、と思いました。理不尽なレイオフにあうよりも、自分から去った方がよっぽどましですから。

リックはこう続けます。

“Nothing is written in stone.”

直訳すれば「何も石に書かれていない」ですが、なんじゃそりゃ?です。後で自分の席に戻って調べたところ、Written in stone の語源には諸説ある模様。そもそもはCarved in stone だったのが転じたらしく、「石に刻み込まれた」つまり「もう変更出来ない」、「最終決定」という意味。

“Nothing is written in stone.”
「最終決定じゃないからね。」

先行き不透明な状況は、暫く続きそうです。

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