2011年11月23日水曜日

なぜ感謝祭に七面鳥を食べるのか?

明日はサンクスギヴィング・デー(感謝祭)。親戚一同が一年に一度大集合して食事する、アメリカ人にとっては非常に大事な祝日です。我が家はというと、今年は友人一家に招かれていて、ターキー(七面鳥)料理を頂きます。毎年誰かしらの家に招待され、ご馳走としてふるまわれるターキー。

昨日同僚エリカと電話で話した時、彼女は感謝祭にターキーは食べないと言ってました。
「好きじゃないのよ。味が。」
そう、ターキーって格別美味しいわけじゃないんです。これは私の好みだけの問題じゃないことが最近分かって来ました。何人ものアメリカ人に聞いてみたのですが、味が大好きという人に会ったことは皆無。肉はパサついてるし、皮にも全然旨みが無い。比内鶏や名古屋コーチンを横綱とすれば、序二段くらいかな。しかもこの鳥は見た目が滑稽なまでに醜く、

“That’s a real turkey!”
「そいつはひどい失敗作だな!」

“She acted like a complete turkey.”
「あの子、とんでもないバカみたいに振舞ってたわよ。」

などというネガティブな表現に使われるほどの鳥なのです。これを感謝祭のディナーの時だけ特別扱いする。なぜか?当然、感謝祭の由来や趣旨と関連があるはずです。二人の同僚に尋ねてみました。

まず、身近なところでシャノン。
「大家族で取り分けても余るほど大きいからじゃないかしら。」

次に、物知りのディック。
「ターキー業者のマーケティングの成果じゃないかな。」

埒が開かないので、ネットでリサーチ。結果、諸説紛々であることが分かりました。いくつか紹介します。

ピルグリム(清教徒)が東海岸に入植し、収穫を祝った際(これが感謝祭の起源説として有力)にターキーを食べたから、という説。しかしこれが書かれたのは最初の感謝祭から22年も後のこと。しかも、ピルグリムたちは様々な種類の鳥をまとめて「ターキー」と呼んでいた、とも言われている。

ベンジャミン・フランクリンが「ターキーは敬意を払われるべき鳥だ。」と唱えていて、ターキーをアメリカのシンボルにすべきだとまで訴えていた。だから、というのが二番目の説だが、感謝祭との繋がりは不明。

三番目の説はこれ。イギリスのエリザベス女王一世が、祝祭には決まってカモを食べていた。自国を攻撃しようと向かっていたスペインの船が謎の沈没を遂げた時も、これを祝ってカモを食べた。で、カモはイギリス人に愛される食べ物になり、収穫を祝う際に食されるようになった。ピルグリム達がアメリカに渡った際にこの伝統を継承しようとしたのだが、カモが見つからず、そこらに沢山いた七面鳥で代用した。

う~む。まったくもって釈然としない。大体、サンクスギヴィングの起こりからして統一見解が無いようなので、これ以上の詮索は無意味なのかもしれません。

今朝テレビをつけると、
「明日は一年で一番私の好きな日です。」
とホワイトハウス前でスピーチするオバマ大統領が映っていました。娘二人を脇に従え、リバティとピースと名づけられた二羽の七面鳥の救済を承認する旨を発表しているのです。(参照記事:CNN: Obama spares two turkeys, continuing White House tradition

大統領がターキーに恩赦を与えるというのは、この時期の恒例行事らしいです。毎年この日だけで、4500万羽も食卓に上ってるらしいですから、二羽だけ救ってもどうかと思うんだけど、それより何より、それだけ夥しい数の人が、ただ伝統だからというだけで、美味くもないターキーを食べている、という事実の方が驚きです。

{追記}
友人宅でご馳走になったターキーですが、これがかなり美味かった。料理の方法によるのかも…。

4 件のコメント:

  1. ターキーといえば、水ノ江滝子。それからストライク三つかな。
    おいしくないのにみんなが食べるのは確かにマーケティングの勝利もしくは、正月のおせち料理における、数の子みたいなもんかな?(数の子ファンの方、ゴメンナサイ)

    ちなみに、鳥関係では有名な北京ダック。
    先ごろ、真空パックで出回る北京ダックの「粗悪品」事件でマスコミはもちきり。もっとも、この手の話題には事欠かないので、妻も「またか」といった感じです。

    パサパサ肉のターキーなら、やはり味付け、たれ(たれにつけるかどうか知らないけど)勝負!という感じがしますね。

    返信削除
  2. アメリカ人にとってのターキーは日本人にとってのおせちである、ってのは沢山の人が唱えている説。人によるけど、僕はおせちを美味しいと思ったことがない。お雑煮と磯辺焼きの方が好きだなあ。

    今年のターキーは、グレービーソースとクランベリーソースの二種類で頂きました。意外にも、クランベリーソースとの相性が抜群なのだな。

    鳥といえば、北京ダックを忘れてました。あれも調理法の勝利だよね。映画「タンポポ」で、スリの老人が美味そうに頬張るシーンが好きです。食べたいなあ。

    返信削除
  3. 初めまして卓郎と申します、ターキーってどんな味昔食べた記憶ではあぶらっけのないぱさぱさの肉質だったとおもいますが調べてるうちにこのブログに辿りつきました。偶然にも小学校の同級生女子がサンディエゴに住んでいます。バイトしている学生さんは作り方でちがうと言ってます。

    返信削除
  4. コメント有難うございます。確かに作り方次第という感じはします。その淡白さは、「全身が鶏の胸肉」。きっちり味付けをすれば美味しくなるのかもしれません。今年は家族でやや高級なお店に行って、「絶品」と評判のターキーを試す予定です。

    返信削除