月曜日はハロウィンでした。今年は友人宅に招かれ、子供たちはコスチュームを纏って夕闇の中、近所の家々を回りました。
この日の昼、ダウンタウン・サンディエゴのオフィスでプレゼンがありました。同僚ステヴ(スティーヴンを縮めたニックネーム)が全米各地へ出張した際に経験した不思議な話を披露する、というのです。写真や地図がふんだんに使われたパワーポイントのスライドをめくりながら、彼は次のような怪談・奇談を語り始めました。
ネイティブ・アメリカン居住区に作られた巨大迷路
自分に憑いた悪い霊を振り払うために歩くのが目的だが、ゴールに着く前に死んだ人の名を口にしてはいけない。その霊がやってきて貴方にとり憑いてしまうだろう。
巨大ナマズの怪
ある沼に体長10mを超えるナマズが住んでいて、住民は主としてあがめている。ある子供が落ちて溺れた時、背中に乗せて岸まで届け、はっきりと、子供から目を離してはならない、と親をたしなめた。
幽霊ホテル
アラスカ沖に住民わずか90人の小さな島があり、一軒だけあるホテルは幽霊が出ることで有名。自分も半信半疑だったが、明け方までドアを叩く音が続いて眠れなかった。隣にある墓地から毎晩亡霊がやって来て悪さをすると信じられている。
プレゼン終了後、どうしてステヴがこんな珍しい体験を重ねているのか不思議になりました。早速、彼のオフィスを訪ねます。
「ステヴ、君は人類学者(Ahthropologist)だって言ってたよね。具体的にはどういう仕事をしてるの?」
「国立公園でインフォメーション・センターを作る際、上映するスライドやパンフレットが必要になるでしょ。そのためには地域の文化や歴史の調査をしなきゃならない。そういう仕事を請け負うことが多いね。」
「発掘調査もやるの?墓を掘り起こすとかさ。」
「うん、それもたまにあるね。」
「へえ、面白そうだな。でも出張が多そうだね。」
「一箇所に一ヶ月以上滞在して徹底的に調べる、というケースがほとんどだね。」
「なんだかインディ・ジョーンズみたいだなあ。」
彼はニッコリ笑って頷き、あたりをキョロキョロうかがってから声を落とし、いたずらっ子のような表情でこう言いました。
「あまり大きな声じゃ言えないけど、僕はうちの会社で一番楽しい仕事をしてると思うよ。」
彼のプレゼンの中に、人間の顔をした大鹿が森に住んでいて、これが守り神と信じられている地域がある、というエピソードが出て来ました。
「残念ながら、その守り神を実際に目撃したという人に会うことは出来ませんでしたが、ネットで探したところ、人間の顔をした羊を発見しました。」
そう言って不気味な写真を映した途端、背後から高い声。
“We know how THAT happened!”
「これは原因がはっきりしてるわよね!」
振り返ると、中年社員のメリーがにんまり笑っていました。一同爆笑。私はこのコメントがドカンとツボに入ってしまい、3分くらい笑いが止まりませんでした。
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