2012年11月26日月曜日

オクラホマミキサー

先日、CBS局の60 Minutes という番組で、ロドリゲス(Rodriguez)というデトロイト生まれのミュージシャンを特集していました。アメリカ国内では究極の「無名シンガー」で、小さなアパートでひっそりと暮らしているのですが、どういうわけか遠く離れた南アフリカ共和国で、国民的スターの扱いを受けているという話題。

70年代に展開した反アパルトヘイト運動と時を同じくして彼が放ったロックソングの数々は、社会の不正に対する抵抗を歌ったものが多く、これが当時の国民の気持ちの高ぶりと激しく共鳴したのだそうです。コンサート中にステージ上で自殺した、という噂まで広く信じられていて、まさにエルビスもビートルズも超えた伝説のスーパースターなのです。
アメリカ人が誰も知らないのに、南アフリカで聞けば百人が百人ロドリゲスを知っているのだと。坂本九の「上を向いて歩こう」がアメリカで「Sukiyaki」として大ヒットした、というのとは訳が違うのです。

さっそく、南アフリカ出身の若き同僚ウェインにこの話題をぶつけてみました。
「ロドリゲスでしょ。もちろん知ってるよ。超有名じゃん。」

「いや、アメリカ人は誰も知らないよ。」
私が番組の内容を解説すると、わざと大げさに反応してるのかと疑うほど激しく動揺するウェイン。

「ええっ?嘘でしょ!アメリカでもスーパースターなんだとばかり思ってた!」
ロドリゲス自身も最近まで自分の人気を知らなかったのだそうで、招待されて南アフリカを訪れたところ、何万という人々に熱狂的な歓迎を受けてびっくり仰天したとのこと。

さて本日、サンクスギビングの連休が明け、4日ぶりに出勤。経理のダイアナが実家のあるオクラホマに帰省してた、というので、
「オクラホマミキサー知ってる?」

と尋ねました。すると、ポカンとした表情で、
「何それ?」

「え?オクラホマミキサー知らないの?フォークダンスだよ。日本の少年少女は全員知ってるよ。」
そんなダンスは聞いたことが無いわ、と首を傾げるダイアナ。調べたところ、原題は「Turkey in the Straw(わらの中の七面鳥)」。オクラホマ州との関係は不明です。こんなタイトルをつけたのは一体誰だ?どこかの体育の先生か?

ダイアナには申し訳ないけど、もともとオクラホマに関しては何の知識も無いので、オクラホマミキサーを消去しちゃったらもう何も話題が見つかりません。会話を早々に打ち切って席に戻る私でした。とにもかくにも、誤解含みとは言え「オクラホマ州は日本で超有名」という印象だけは彼女に伝わったと思います。

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