Wall Street Journal 紙に、”The New Rules of Flirting” という記事がありました。
このFlirt (フラート)というのは(「う」の口で「あー」と発音するので、「フルート」に近い音です)、異性の気を惹くようなちょっとした言動を指すのですが、この記事によると、使い方を誤るとやっかいな展開になるとのこと。
同僚リチャードは、先日総務のヴィッキーに会った時、
「その服いいね。」
と褒めたそうです。
「彼女、サンキューって笑って立ち去ったんだけど、暫くしてからだんだんドキドキして来てさあ。」
気を惹くために軽口を叩く以外に、こうして服やアクセサリーを褒めたりするのもFlirt の一種なんだそうです。
「下手するとセクハラと取られちゃうからね。誤解されたら困るな、って心配になっちゃったよ。」
昨日の午後、同僚ステヴと、この話題でちょっと盛り上がりました。
「セクハラっていうのはさ、そもそもは上下関係が絡んでたんだよね。」
俺と○○しなければクビにするぞ、っていう極めて直接的な脅しに代表される行為ですね。彼はずっと以前、会社で講習を受けた際、部下が上司にセクハラ行為をするというのは言葉の定義からして有り得ない、と教わったそうです。
「講習が終わった途端、一緒に出席してた上司に皆でよってたかってエロいこと言いまくったよ。その人は皆と仲良しだったから、笑ってたけどね。古き良き時代だな。今じゃそんな真似は自殺行為だよ。最近じゃ上下関係に関わらず、相手が気分を害するような言動は全てセクハラに認定されちゃうからね。」
今の我々の職場は女性が過半数。誰かの服でも褒めようものなら、「シンスケって私のことジロジロ見てたんだ。いやらしい!」
とか何とか噂を広められ、それが人事の耳に届いて一巻の終わり、てなことになるかもしれません。コワイコワイ。
先日、同僚ディックからこんな話を聞きました。前の会社の同僚(男性)が、ランチタイムに別の男性社員と一緒にレストランへ行ったそうです。その時、綺麗な女性が数人入って来たので、思わず二人でそっちを見たのですが、この場面を同僚の女性が目撃します。
「あの人は、店に入ってきた女性を嫌らしい目で見つめてました。きっと私達女子社員のことも性的な対象としてじろじろ見ているに違いありません。不愉快です。」
と人事部に訴えられ、それが元で彼の社内での評判は地に落ちたそうです。
「それはひどい話だなあ。」
と呆れ顔のステヴ。確かにここまでいくと、「ゾッとする話」ですね。
「でもさ、だからと言ってFlirt を職場から排除しちゃうってのも何だか味気ないよね。」と私。
「会社にいられなくなるよりはましでしょ。とにかくFlirt は厳禁。これに限る。」
とステヴ。
「じゃあさ、もしもシェリル(ステヴの隣に座ってる仲良しの同僚)が長い髪をばっさり切って来たとするよね。それも無言でやりすごすの?」
「いや、髪切ったね、とは言うよ。友達同士だし。」
「それで、褒めたりしないわけ?」
「もちろん褒めるよ。」
「おいおい、何て言って褒めるんだよ?Flirt 厳禁って言ったばかりじゃん。」
と俄然興味をそそられる私。するとステヴは両手の親指を突き立て(Two thumbs up, すなわち大絶賛のポーズ)、
“Cool!”
と声を張りました。
なぁるほどぉ。「クール!」と一声叫ぶだけならポジティブで爽やかな印象だし、性的な含みなど一切感じられません。
「素晴らしいじゃないか。それなら友達としての親密さもきちんと表現した上で、セクハラの嫌疑もすっきり回避出来る。これからどんどん使わせてもらうよ!」と感心する私に向かい、親指を二本突き立てたまま「どや顔」で何度も頷くステヴでした。
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