2012年10月4日木曜日

Snippet ほんのさわり

同僚と話していると、こんな発言をたびたび耳にします。

“Let me give you a snippet.”
Snippetを話すね。」
このSnippet (スニペット)はIT用語として知られていて(実際は「スネペ」と聞こえます)、よく「プログラム言語の中で簡単に切り貼りして再利用できる部分のこと」と紹介されます。でも、これが日常会話でも結構頻繁に使われているのです。一体どういう意味なんだ?

ふと今日の午後、この疑問を思い出して同僚シャノンにぶつけてみました。
「スネペってさ、概要(Summary)のこと?たとえばさ、セミナーに参加してきた人が会社に戻ってスネペを話す場合、セミナー全体のあらましを話すわけ?」

「違うわ。そういう使い方をする人もいるかもしれないけど、間違いね。ほんの一部、という意味よ。」

「え?そうなの?」

そこへ、隣のキュービクルからステヴ(人類学者)が上半身だけ振り向いて補足します。
Snip (スネプ)は短く切り取る、という意味だから、Snip it (スネプ・イット)を縮めた結果そういう単語になったんだと思うよ。」

な~るほど。「ポストイット」みたいな感じね。
「一番いいところって意味になるの?」

「ううん。切り取り方はその人の自由よ。つまんない部分を切り取る人もいるかも。」

と、シャノン。それで分かりました。私の和訳はこれ。
“Let me give you a snippet.”
「ほんのさわりだけ話すね。」

「じゃさ、何か例は無い?ほら、ステヴはよく人類学系の調査に出かけるでしょ。それを僕らに話してくれるっていう想定でさ。」
するとステヴは「いいのがあるよ。」と言って全身をこちらを向けて話し始めました。

「こないだの調査でさ、一緒に組んだ年長の専門家がいてね。彼が食事中に自分の体験談を披露してくれたんだ。」
コロラド川沿岸の砂漠の村に、砂に穴を掘って住んでいる部族Sand People(サンドピープル)がいるのだと。彼らの身長は1メートルに満たない。巨大な頭部と短い四肢、そして太鼓腹が特徴。滅多に姿を現さないが、水を溜めた鉢を地面に置いておくと、夜中に穴から這い出してくる。ある家の地下にサンドピープルが棲みついてしまい、夜な夜な物を盗んで行くため、その専門家が呼ばれて彼らを追い払ったのだとか。

「ええ?それ、ホントの話なの?」

「彼は大真面目だったよ。」

「じゃ、その人はサンドピープルを目撃したわけだね。」

「そう言ってたよ。姿かたちはテレタビーに似てるんだって。」

「て、テレタビー?」
う~ん、強烈な話だなあ。

“That’s a snippet of my field trip.”
「それが僕の出張話のほんのさわりだよ。」

思いっきり眉唾っぽいんだけど、お陰でsnippet の意味が理解出来たのでした。

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訂正です。
文化庁のウェブサイトによると、「さわり」とはもともと義太夫などの「聴かせどころ」つまりクライマックスを意味する言葉だとのことです。「ほんのさわり」は間違った日本語だったのですね。すみません。「ほんの一部」と訂正させて下さい。
(09/30/14)

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