2012年10月26日金曜日

Rock Star Syndrome ロックスター症候群

食堂で熟練PMのダグと立ち話をしていた時、CBS 60 Minutes という番組の話題になりました。先月末にシュワルツェネッガーのインタビューがあったのですが、これを観た後、何とも落ち着かない気分になったのです。自伝の中で過去の浮気の数々をあっさりと認め、まるで「もうそれは済んだことだから」ってな調子で淡々と語る元ターミネーターに、インタビュアーのレズリー・ストールが、

「振り返らずに前だけ見て突き進む、というのがあなたのモットーですよね。でもそのモットーがご自身の結婚生活をぶち壊し、奥さんの人生を滅茶苦茶にしたんじゃないですか?」
とチクリ。答えに窮して口ごもる筋肉男を、じわりじわりと追い込んで行くストール。最後のあたりでは、もう正視に堪えないほどの「いじめ」の構図が完成していました。

「特にシュワルツェネッガーの擁護をするつもりは無いんだけど、あのインタビューはフェアじゃないと思うんだよね。だってさ、大した成功体験を持たない人間が、俳優としても実業家としても、そして政治家としても大成功した人物に、お前は次々と迫り来る甘い誘惑に打ち克って聖人君子を通すことの出来ない弱い人間なんだぞって責めてるわけでしょ。そういうアンタはどれほど立派な人間なんだよ、ってムカつくんだよね。」
自説を吐露し終えてから、はっとしました。ダグってガチガチのクリスチャンじゃん。浮気なんか絶対許さない人だよな。これはまずい、お叱りを受けちゃうかも、と身構えていたら、

「それは確かにそうだな。」
と、あっさり同調してくれちゃいました。さも感心したように何度も頷いてから、こう続けます。

NFL(フットボール)の選手でも、引退した人の大半が破産や離婚を経験するっていうしね。とかく成功者ってのは堕落しやすいんだな。」
そこで彼の口から飛び出たフレーズが、これ。

“That’s Rock Star Syndrome.”
「それはロックスター症候群だよ。」
おお、新しい言い回し!一度莫大な富や名声を手にした人間は、キャリアの終焉後も過去の栄光に囚われて虚飾の余生を送ってしまう。そして平凡な現実とのギャップをうまく処理出来ずに、身を持ち崩して行く…。わりと色んなケースで使えそうな英語表現だと思いました。ちょっとネットを調べてみたら、日本に短期間滞在した外国人はあまりにもチヤホヤされるものだから、帰国後このロックスター症候群に陥りやすい、という記事までありました。

さて、シュワルツェネッガー。最近は自伝の売り込みのためにあちこちのテレビ番組に出ているようなのですが、あるトークショーでは、MCの男性にさんざん浮気の告白を笑いものにされた上、こんなことまで言われてました。

「いっそのこと、過去の世界に自分を送り込んで、若き日のシュワルツェネッガーを抹殺しちゃったらどうです?」
映画「ターミネーター」の筋に引っかけてからかったのだろうけど、それはいくらなんでも失礼だろ~!

2 件のコメント:

  1. 完全なひがみにしか聞こえませんね。
    クリスチャン全員が君子でもないでしょうし。
    ただ、離婚や浮気が当然のように感じるのはいかがなものかと。

    ロックスター症候群ね。先週Bluenote tokyoでマンハッタントランスファー見てきたけど、4人のなかでアランポール(背の高い男性)は、ちょっと「あぶない」感じでした。前述の症候群というよりは、「もう無理」って感じ。
    ステージは、かけた音符を自分の耳が拾う状態でした。ちょとさびしい。

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  2. ええ~っ?彼ら、まだいたの?ステージに立ってるだけでも敬意を払うに値するんじゃない?ま、ブルーノートに大枚はたいた上でそういうパフォーマンスを見せられちゃ、がっかりだけどね。

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