2012年7月24日火曜日

Sidebar オフレコの話

毎週月曜のランチタイムには、フロリダのプロジェクトのスケジュール会議があります。東海岸の午後3時からなので、カリフォルニアでは12時になるわけ。クライアントのポールとダグが電話会議をセットし、私がウェブ上で最新のスケジュールを見せながらPMのルーが解説する、という段取り。

完全無遅刻を信条とする私は、いつものようにきっかり一分前に電話をかけました。ところが主催者の二人は、私の名前を確認した後、なぜか急に沈黙してしまいます。少し遅れて参加したルーやトムが、
「あれ?誰もいないの?」
と焦って呼びかけたのですが、ポールもダグも応答しません(面白いので私も黙ってました)。

彼らは電話器をミュートにしていたに違いなく、暫くしてノイズとともに現れ、皆に詫びました。この時ポールが使った言い訳が、これ。

"We were having a sidebar."
「サイドバーをしてたんだ。」

これはちょくちょく耳にするフレーズなのですが、全く意味が分かりません。ブログ本文の脇で他の情報を掲載したエリアのことをサイドバーと呼びますが、それだとこの場合、とんちんかんです。それともお酒を飲むバーのことかな?う~ん、まさかね。小学校の校庭でよく見る「うんてい」は横木で出来た遊具だけど、ポールやダグが電話会議に遅れるほど夢中になって遊ぶとも思えない。

さっそく同僚リチャードに意味を尋ねました。
「それは裁判用語だね。ほら、裁判官が、検事と弁護士を呼び寄せて陪審員たちが聞き取れない程度の声で話すシーンがあるでしょ。あれのことだよ。」

へえ。そうなの。じゃあ皆に聞かれたくない話をひそひそしてたってことかな。きっとsidebar conversation の省略形だな。

「でもさ、バーって何なの?裁判官の席の横にバーなんか無かったよね。」
「裁判官たちのいるエリアと傍聴席の間を隔てる柵があるでしょ。あれのことだよ。それでバーの内側全体を、司法界と見なしてるんだ。ほら、Bar Exam (司法試験)って言葉があるでしょ。Bar を Pass するということは司法界で働く資格を得る、という意味になるんだよ。」

なるほどね。でも、「サイドバーをしてたんだ」という言い回しがやっぱり理解出来ない。で、弁護士の同僚ラリーのオフィスを訪ねます。

「う~ん、そうだね、サイドバーという物自体は存在しないよね。裁判が行われる場所の脇で話す、という意味だと思うな。実際、裁判官席の横だけじゃなく、手前で会話することもあるからね。大事なのは、証人や書記に聞こえないように気を遣って小声で話す点なんだ。特に、書記に聞かれると記録されちゃうからね。記録に残らないような話をしたい場合に使われる言葉だね。」

これで分かりました。私の和訳はこれ。

"We were having a sidebar."
「オフレコの話をしてたんだ。」

ちなみにリチャードによれば、サンディエゴのダウンタウンにサイドバーというバーがあるそうです。司法界とは何の関係も無さそうです。

6 件のコメント:

  1. アメリカは、広いですね。
    時差がすごい。
    日本では感覚的に考えられないですね。

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  2. 前回のフロリダ出張中にハワイの人の仕事も手伝ってたのですが、一日の長いことったら。カリフォルニア時間で朝5時から夜9時くらいまでぶっ通しで働いてました。睡眠不足でハイになりました。

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  3. もちろん、ダウンタウンのほうの「サイドバー」での「サイドバー」(オフレコ)のほうが、楽しそうです。
    って冗談を言う間もないくらい、ヘビーな一週間でした。
    新橋あたりで、サイドバーを探します(苦笑)。

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  4. 穴場見つけといて下さい。オフレコで教えてね。

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  5. sidebarってこういう意味があったんですね。ちなみに映画業界でsidebarといえば、映画祭の独立部門(例:カンヌ映画祭の公式コンペ部門に対して、監督週間など)のことを言います。考えてみれば便利に使えそうな言葉ですよね。

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  6. それはまた特殊な語彙ですね。勉強になります!

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