一昨日は久しぶりに同僚ディックとランチへ行きました。彼は一言一言しっかり考えながら話す男で、一緒にいると、必ずと言って良いほど新しい英語表現を学べます。
今回の話題は映画。アメリカって最近、考えさせられる映画が少ないよね、という話で意気投合。薄っぺらな作品を立て続けに何本も観ると、ハリウッド映画はもう暫くいいやって気になる、と。
「トランスフォーマーだってさ、作り方によってはもっと深い作品にも出来たはずだと思うんだよね。」
と、ディック。その次に彼が言ったセリフにピクッとなりました。
“I’m tired of cheesy happy endings.”
「cheesyなハッピーエンドにはもううんざりだよ。」
このチーズィー(字義通りには「チーズっぽい」)という単語、以前から何度も聞いているのですが、どういう場面で使われるのかがよく飲み込めずにいました。昔、上司のリンダに、高速道路設計チームの新しいロゴを見せたところ、
“That’s cheesy.”
とコメントされ、どうしてここでチーズが出てくるの?と意味を尋ねたのですが、何か「説明する価値も無い」みたいな対応をされて釈然としないまま諦めた経験があります。このロゴは、高速道路が地平線まで続いた先に太陽が照っている、という素人くさいデザインで、褒めるのはもちろん、こき下ろす価値すら無いようなものでした。
今回ちゃんと調べてみて分かったのですが、19世紀のイギリスでは、チーズそのものが小さかったこともあり、cheesy は「良質な、高級なもの」を指す言葉だったそうです。
後にチーズがアメリカに渡ると、商品が大型化するとともに、もともとの意味は薄れて行ったそうです。その後、アメリカの学生の間で「無知でまぬけな人」という俗語として流行り、これが「安っぽい、質の悪い」という意味に変わったのだと。
これまでに私が聞いた様々な用例を総合すると、「クサい、ダサい、安っぽい、陳腐な、ひねりのない」という和訳が適していると思うのですが、今回のディックのセリフに限って言えば、「ベタな」が一番しっくり来る気がします。
“I’m tired of cheesy happy endings.”
「ベタなハッピーエンドにはもううんざりだよ。」
2012年3月18日日曜日
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