先週木曜にカマリヨ支社へ出張した時、PMをひとりずつ会議室に呼び、彼らのプロジェクトの財務分析結果を見せながら対策を話し合いました。ベテランPMのサリーの順番が来て、一緒にいたジェシカが緊張を見せます。私の計算によると、サリーのプロジェクトにはかなりの額の損失が見込まれるのです。しかもそれは、これからいくら頑張ったところでとても取り返せるようなレベルの額ではない。もしもこの数字を使って月次レポートを提出したら、その途端にマネジメント層が激しく反応するであろうことが予想されました。
彼女は私の話に深く頷いていましたが、
「分かったわ。どうも有難う。ジェシカ、この数字でレポートを修正してくれない?今晩提出するから。」
と言って席を立ちました。サリーが事の重大さをどれほど深く理解しているのか、その表情からはつかめませんでした。
月曜の朝、カマリヨの経理担当ウェンディからメールが入ります。
「サリーのプロジェクトの分析結果だけど、詳しく説明してくれない?」
少し置いて、支社長のトムからもメールが入ります。
「シンスケ、このメールを見てくれ。至急、対策を相談したいんだ。」
スクロールして行くと、アメリカ西部の大ボスであるチャックを含めたお偉方の間を往復する、「ど~ゆ~ことや?きっちり説明せえ!」という緊迫したやり取りが綴られています。もう、蜂の巣をつついたような大騒ぎ。
ほらね、だから言ったじゃん。
昼前、ジェシカから電話が入りました。すぐに気付くほど、声に張りが無い。どうしたの?と聞くと、
「う~ん、なんて言ったらいいか…。」
と少し言いよどんだ後、
“Shit hit the fan.”
「糞が扇風機に当たったの。」
と早口で吐き捨てました。一瞬聞き流しそうになったけど、慌てて尋ねます。
「え?今なんて言ったの?」
ジェシカが力なく笑いながら、解説してくれました。
「聞いた通りよ。糞が扇風機に当たったらどうなる?」
「そりゃ飛び散るよね。」
「部屋中にね。」
「ひどいね。」
「そう、ひどいのよ。」
つまり、サリーのプロジェクトの損失(糞)が関係者全員に降りかかって大騒ぎになっている、という意味ですね。日本語にも同じようなイディオムがあるんじゃないの?と言われたけど、こんな悲惨な表現は思いつきません。「しっちゃかめっちゃか」くらいかな?
昨日の晩帰宅して、妻にこの話をしたところ、
「いやだ、私ドキドキして来た。」
とおかしな反応を見せます。
「ほんとに計算間違いしてない?分析結果にミスがあって、それが原因で偉い人たちが大騒ぎになってたら大変じゃない。」
ほんと、家では信用ないなあ…。
でもちょっとドキドキしてきた。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿