2014年2月25日火曜日

The Optimist Creed 楽観主義クラブのモットー

先日、我が社の北南米地域を統括する人物が辞職したというアナウンスがありました。例に漏れず、

He decided to pursue new opportunities.
彼は新たな道を探すことにしました。

という説明付きでしたが、そんなのウソに決まってる、絶対クビになったんだよね、というヒソヒソ話が会社の至る所で交わされました。トップがこういう目に合うのだから、下っ端にいつ何が起こっても不思議ではない、という不安がじわりと広がります。最近じゃ社員が二人以上集まると、どうしても不満や愚痴が多くなって、会話がどんどんネガティブになっていく傾向があるのですが、これは良くないなあ、と感じいました。

日曜日、ある日本人の知人と話す機会がありました。この人は「どんな苦境もプラスに転じてしまう」しなやかさを備えていて、私より年上なのにずっと顔色が良く、ポジティブなオーラに包まれていました。誰かにひどい仕打ちを受けた時でも、

「きっと俺は、前世でこの人にむごいことをしてしまったに違いない。俺が殿様で、彼の前世が植木職人。枝の剪定が気に食わないからと打ち首にしてやったため、今、その仕返しを彼がしてるんだ。本当に申し訳なかった。でも、これでチャラね。」

なんて思うのだそうです。

沢山元気をもらった私。月曜の朝、同僚ジムと会った際、

「ジム、僕は今日からbitch and moan (文句たらたら言うの)やめたよ。リラックスして、ここで皆と働けていることにひたすら感謝して生きることに決めた。」

と告げると、彼が激しく同意を表明し、

「あ、そうだ、The Optimist Internationalっていう組織、知ってる?オプティミスト(楽観主義者)が集まって、次の世代を幸せにしようって団体なんだけど、彼らのCreed をコピーしてあげるね。」

と、小さな紙を持ってきてくれました。Creed(クリード)というのは日本語だと「信条」になると思いますが、この場合、「モットー」の方が近い気がします。

The Optimist Creed (楽観主義クラブのモットー)

十カ条からなるこのモットーは、Promise Yourself (自分に約束しましょう)から始まっていて、

To be so strong that nothing can disturb your peace of mind.
何事にも心の平和を乱されることのないくらい強くなることを。

なんて感じの文章が並んでいます。締め括りの十カ条目が、これ。

To be too large for worry, too noble for anger, too strong for fear, and too happy to permit the presence of trouble.
不安と無縁なほど人間が大きく、怒る必要もないほど高潔で、恐怖も感じないほど強く、ごたごたが起きることなど許さないほど幸せでいることを。

「いいねえ。大賛成!これ、いただくよ。」

ジムにお礼を言い、机の隅にこの紙を置きました。

入れ替わりに若い同僚ジェイソンがやって来て、私の隣の部屋を指さし、ヒソヒソ声でこう言いました。

「なんでドアもブラインドも閉めてんだ?」

隣のオフィスには、最近LA支社から転勤して来た副社長のストゥーがいます。彼の部屋には廊下に面して大きな窓がついているのですが、彼はブラインドを下ろして中が見えないようにしているのです。おまけにドアまで閉め切っているので、まるで極秘のプロジェクトに携わっているかのよう。

LAの連中は皆こうだった。誰も彼もSecretive (秘密主義)でさあ。」

と、憎々しげに語るジェイソン。そういえば、彼も去年ロサンゼルスから転勤して来た一人です。確かにストゥーは常に難しい顔をして、いかにも「お偉方」というオーラを周囲に発していてるし、部屋を閉め切るという行動は、「下々の奴らと拘わってるヒマなどない」というメッセージと取れなくもない。でも、こんな些細なこともネガティヴなコメントに繋がってしまう今の状況は良くないな、と思った私は、

「中で服でも着替えてるんじゃないの?」

とかる~い受け応えをしました。するとジェイソンが笑って、

“He might be butt-naked there.”
「ケツ出してたりしてな。」

と吐き捨ててから立ち去りました。


それから暫く、コワモテの副社長が部屋で尻をむき出しのまま仕事しているイメージが頭について離れず、ずっと笑顔で過ごすことが出来ました。

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