木曜の晩は、七人の同僚(エド、マリア、リチャード、アルフレッド、サラ、スー、ジェイソン)と「和ダイニングおかん」へ集合。Japanese
Dinner Night (日本食の夕べ)という企画を催しました。これは不定期に開いているイベントなのですが、
「次はいつやるの?」
という質問が来るくらい、皆が楽しみにしてくれています。その熱気は、主催している私も「なんでそこまで?」、と首を傾げるほど。日本式の家庭料理に私が喜ぶのは当然だけど、バリバリのアメリカ人たちまでが興奮するのは、ちょっと意外なのです。激甘照り焼きチキン(胸肉)とか肉厚衣の天ぷらだとかを日本食の代表だと思っている彼らにとって、「いかの姿焼き」とか「鰻巻き」など、これまで見たこともないような料理を味わうのは刺激的な体験みたい。
「シンスケがいなかったら何を注文していいかも分からないからね。連れて来てもらって、本当に嬉しいんだ。」
と皆が口ぐちに感謝の気持ちを表します。
去年転職してきたスーは、今回初参加。次々と運ばれて来る料理をまじまじと見つめながら、質問の連続です。
「シンスケ、これは何なの?」
「タコがワサビでマリネートされてるんだよ。ピリッとして、日本酒との相性がイイんだ。」
「この細いピンクのパスタは?」
「こんにゃくという名のおいもが原料で、サーモンの卵をまぶしてあるんだよ。」
私は料理の専門家でもないし、魚や野菜の英語名を全て習得しているわけでもないので、段々と答えるのが面倒くさくなって来ます。焼うどんの上に散りばめられた鰹節がゆらゆらと踊る光景を目にしてうろたえるスーに、
「そうは見えないかもしれないけど、実はこれは生き物でね、高熱に悶え苦しんでるんだよ。」
などとホラを吹いたりします(このホラ、大抵のアメリカ人が冗談とは受け取らず、恐怖に凍り付いた表情でさらにじ~っと見つめるので笑えます)。
「この箸、中華料理屋のと違うけど、日本式なのか?」
と元ボスのエドが尋ねます。我々がよく行くチャイニーズ・レストランの箸は先端まで太いのです。
「日本の箸は、先を細く仕上げてあるんです。そのせいで、小さな物も上手につかめるんですよ。」
と答える私。皆が一斉に、
「いやいや、かえって難しいんだけど…。」
と反論します。よく見ると、アメリカ人の彼らは「つかむ」のではなく、「のせる」ために箸を使っているため、「先が細いと食べ物が載っからないんだよ!」とのこと。なるほどねえ。
「そうだシンスケ、どうやって箸を上手に使えるようになったか、スーに話してあげてよ。」
と、遠くの席からマリアが叫びました。え?何の話?と一瞬戸惑いましたが、これはずっと以前に披露したエピソードなのだと思い出しました。
「僕がまだ5歳くらいだったかな。ラーメン丼一杯に盛られた小豆をね、もう一方の丼にひとつひとつ箸で移動させる、という訓練をさせられたんだ。背後では自分の好きなテレビ番組が始まろうとしていて、小豆をひとつ残らず一往復させたら観ていいよ、と言われてね。それはもう必死だよ。毎晩これをやっているうちに、いつの間にかスキルが身についてたんだ。両親には感謝してるよ。」
感心して何度も頷くスーの顔を真剣に見ながら、
「今じゃ、飛んでいるハエも箸で捕まえられるからね。」
とアクション付きでキメる私。うわあ、それはすごいわねえ、と素直に驚く彼女に、冗談だよと言うのも面倒くさいので、そのまま信じこませておくことに決めました。
アメリカ人の皆さんに、日本文化の奥深さを存分に堪能して頂いた夜でした。
ベストキッド、懐かしいね。
返信削除米国の人たちには、どれくらい記憶にあるのだろう?
40歳以上の人は大抵知ってるね。最近リメークもあったし。ジャッキー・チェンが師匠だったから、カンフー映画になっちゃったけど。
返信削除今日、カミさんとこのエントリーの話をしていて、「お父さんがTVを触って、今見てただろっ!って言った逸話は、米国で披露したのだろうか?」って話題になった。
返信削除話してみた? そして皆のリアクションはどうだった?
あの話は一度もしたことないよ。すっかり忘れてた。前ふりが長いので、じっくり話す環境が整っていないとね。英語でやってウケるかどうかも自信ないなあ…。
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