先週はアルバカーキへ出張。クライアントとのミーティングをつつがなく終え、木曜の晩、デンバー支社から来ていたトッドと空港のバーで帰りの便を待ちながら話し込むうち、彼のチームがプロジェクト・コントロールのサポートを必要としている、という話題になりました。
「一度デンバーに来て、君のグループがどういう形でPM達を助けてやれるかプレゼンしてくれないかな?おそらく40件くらいのプロジェクトはサポートが必要だと思うんだ。」
これは願ってもない話です。うちのチームには、これまで関わっていた大型プロジェクトが終焉を迎え、目の前に日照りが迫っているメンバーが数人いるのです。部下たちにプロジェクトをあてがうのは上司の仕事。しかし私自身が大忙しなので、なかなか社内営業に時間が割けずにいました。そんなところへ、大量の仕事が転がり込んで来そうなのです。ま、アルバカーキのプロジェクトに参加しなかったらこういう話も無かったのだから、今回の仕事を請けたこと自体が営業になったのかもしれません。
さて、アルバカーキを去る日の午後、サンディエゴ・オフィスのストゥー(スチュアートの愛称)からメールが届きました。彼は最近、ロスでの大型プロジェクトを終え、私の隣の部屋に移ってきた初老の男です。海軍出身で、かなりハイランクまで上った実力者らしく、わが社では副社長。短く刈り込んだ銀髪。眼光鋭く、重役用の黒い椅子に深々ともたれて話す格好が、やや威圧的。その彼が、こう書いて来たのです。
「プリマベーラでスケジューリングが出来る人を大至急必要としている。やってもらえないか?」
一分ほど考えてから、
「ある程度の時間は都合出来ると思います。でも現在出張中なので、明日サンディエゴに戻ったら詳しい話を聞かせて下さい。」
と返信します。すると、
「有難う。You are a
lifesaver. (助かった。)」
というメールが届きました。いや、まだ引き受けるとは言ってないんだけどなあ、と思いながらも、そのままにしておきました。
翌日の朝ストゥーの部屋を訪ね、詳細情報を聞かされて仰天する私。なんと、400件以上の建設プロジェクトを同時進行で管理してくれ、というのです。それも、スケジュールだけでなく、コストも。
「三月の初めからスタートする巨大プログラムなんだ。プロジェクト・サイトは全米各地に分布している。君が飛び回る必要はないから安心したまえ。今のところ三年契約だが、恐らく延長される。君はこの先何年も、食い扶持を心配せず済むぞ。」
これはとんでもなく嬉しい話です。しかし規模が規模ですから、手放しでは喜べません。そもそも一人で管理出来る業務量なのかどうかも怪しいし、現在関わっているプロジェクトを全て誰かに引き継いだとしても、満足の行く成果が出せるかどうか分かりません。
「もう少し業務内容が詳しく分かるような資料を送っていただけませんか?」
私としては極めて真っ当な質問をしたつもりだったのですが、この返答に何故かカチンと来たようで、ストゥーは顔をこわばらせました。
「内容はたった今話しただろう。私が君から聞きたい返事は、この仕事を引き受けるのか、それとも断るのか、のどちらかだ。」
こういう高圧的な態度、好きじゃないんだよな。ネイビーの将校出身者だからって、誰に対しても尊大な物言いが許されると思ってるのかな。もしもこの調子で向こう何年間もこき使われたら、たまったもんじゃない。
「プロポーザルに使われたと思われるパワーポイントのスライドが、モニター画面に映ってましたよね。あのファイルを送って頂くわけにはいきませんか?内容をもっとよく理解したいので。」
すると、苦々しげな表情で私の顔を睨みつけていたストゥーが、こう答えたのです。
“Only if you can buy me lunch.”
「昼飯おごってくれるならな。」
予想外の発言に私が面喰っていると、ようやくストゥーがニヤリと笑いました。
「ま、よく考えて返事してくれ。」
え?どーゆーこと?今のは本気だったの?それともジョーク?判然としないまま彼の部屋を後にしたのでした。
何だかよく分からないけど、やぶからぼうに膨大な量の仕事が飛び込んで来たみたいです。世の中、一瞬先に何が起こるか分からないものですね。これからどうなるのか、楽しみです。
ドラマだったら「ふっ、なかなか食えないオッサンだぜ」とでも言うところだね。しかし、この先の食い扶持がわんさかあるってのは頼もしいね。日本では、あのソニーがPC部門を切り捨てるって話だゼ。
返信削除http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20140217-00030854-toyo-nb
それそれ!その表現を探してたんだよ。まったく食えないオッサンなんだよね。
返信削除経済状況はなかなかにキビシイね。生き残りをかけて日々精進を続けなければ…。