2014年1月8日水曜日

Go figure! ゴーフィギュア!

木曜の午後、大雪のデトロイトを発ってサンディエゴへの帰途に着きました。デトロイト界隈のハイウェイは一面真っ白。空港へ向かうノロノロ運転の一時間半に、3件も事故を目撃しました。一度などは二台前を走行していた小型車が、半ば強引に合流を試みるSUVを避けようとハンドルを切った途端にバランスを崩し、まるでフィギュアスケートの演技みたいにゆっくりと円を描いてから、右隣の車線でこちらを向いて止まりました。その横を通り過ぎながら、背中が凍り付きました。

飛行機に乗り込み、雪に覆われた滑走路を小さな窓から眺めつつ、果たしてこんな「激スベリ状態」のランウェイを走って大丈夫なのかな、と不安になりました。飛行機がツルツル滑って別の飛行機と激突、という事態だってあり得るじゃないか!

ところがどっこい、搭乗機は難なく離陸したのです。「俺様がこれくらいの雪でビビると思ってんのか?見損なうんじゃねえ!」と粋がる機長の鼻息が聞こえるようでした。

さて、離陸直後から眠りに落ちていた私。そろそろカリフォルニア上空というタイミングで、呟くような機長のアナウンスが鼓膜を震わせます。

「・・・当機はサンディエゴに着陸できない模様です。これからオンタリオへ向かいます。」

え?なに?どして?寝ぼけまなこで顔を見合わせる妻と私。二人に挟まれる格好で、12歳の息子は熟睡中。時計は夜10時を指しています。

「たしか今、サンディエゴには降りないって言ったわよね。理由聞いた?」

「いや、寝てたから分からない。」

到着予定時刻に遅れること約30分、飛行機は夜11時半ごろオンタリオ空港(サンディエゴの北西、車で2時間の距離)に着きました。航空会社がチャーターした大型バスに乗り込み、サンディエゴ空港に着いたのは夜中の3時。そこでようやく謎が解けました。空港周辺が、濃い霧にすっぽりと覆われていたのです。10メートル先も見通せないほどの深さなので、管制塔が着陸を拒んだのですね。

それにしても、豪雪を物ともせず離陸した飛行機が、霧ごときで着陸できないなんて!

10日ぶりに出勤して同僚たちにこのエピソードを語った時、「霧で着陸出来なかった」というくだりで同僚サラが、呆れたような表情で

“Go figure!”

と言いました。え?フィギュア?

Go figureの “Figure”が “figure it out” というのを縮めたものだということは何となく分かります。直訳すれば、「自分でそれを解明せよ」ですね。でも、彼女のセリフにそんな意図があったとは思えない。

さっそく同僚リチャードに尋ねました。

「I'm not surprised. (驚くようなことじゃない)という意味を込めた感嘆詞だね。」

「え?そうなの?フィギュアと全然関係ないじゃん。」

「そうだね、確かに。大抵は皮肉っぽいコメントに使われるんだ。」

「ちょっと待って。もうちょっと解説してくれる?フィギュアしろ、つまり解明せよ、という言葉の意味と、皮肉っぽいコメントとがどう結びつくの?」

「もともとは、予期せぬ事態や不思議な出来事に際して使われた言葉だと思うよ。わけわからん、とかびっくりだね、という風に。誰かが解明しなきゃいけないような不可思議なことが起きている、という意味でGo figure を使ったんじゃないかな。それが今では、身の回りで往々にして起こる出来事に対するコメントとして、皮肉たっぷりに使われるんだ。」

「サラはどういう意味で言ったのかな?」

「声のトーンにもよるけど、十中八九、皮肉だね。出来事の不思議さを評しつつ、実は全然驚くようことじゃない、と言いたかったんだと思うよ。意外なほどすんなりと大きな危機を回避した後は、すぐまた別の危機が待ってるもんだしね。」

ううむ。もうちょっとで分かりそうなんだけど、イマイチつかめない…。仕方ないので、ネットでいくつか例文を拾ってみました。

She says she wants to have a conversation, but when I try, she does all the talking. Go figure.
彼女がお話したいと言うから応じてんのに、あっちから一方的に喋りまくるんだ。ゴーフィギュア。

The paint was really good, so they stopped making it - go figure, right?
そのペンキすごく良かったのに、製造中止なんだって。ゴーフィギュア。だろ?

The ONE day I call in sick at work, and the fucking boss, who happens to leave work early... sees me at the strip joint...go figure!!!
病気で休みますって会社に電話かけたんだ。そしたらあのクソ上司、その日に限って早退しやがって、ストリップクラブにいるところを見つかっちまったんだ。ゴーフィギュア!

It's a terrible movie and it made $200 million. Go figure!
ポンコツ映画なのに200億円も売り上げたんだ。ゴーフィギュア!

以上の例から判断するに、私の訳はこれ。

“Go figure!”
「なんでだよ!」


どうでしょう?

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