師走です。忘年会シーズンです。とはいえ、ここはアメリカ。「皆で集まって年を忘れようぜ」みたいなノリは全然見受けられません(というか、そもそもなんで年を忘れようとするんだっけ?)。
その代わりというわけじゃないと思うけど、会社主催の「ホリデイ・パーティ」があちこちで開かれます。「クリスマス・パーティ」と命名すると非クリスチャンの気分を害する恐れがあるようで、当たり障りの無い「ホリデイ」に落ち着いた模様。
その代わりというわけじゃないと思うけど、会社主催の「ホリデイ・パーティ」があちこちで開かれます。「クリスマス・パーティ」と命名すると非クリスチャンの気分を害する恐れがあるようで、当たり障りの無い「ホリデイ」に落ち着いた模様。
毎年ホリデイ・パーティへの招待状を三通も頂くのですが、実はこれが私にとっては悩みの種。楽しいのは楽しいんだけど、やっぱりパーティってシンドイんですよね。仕事を離れた場でアメリカ人の集団と英会話で盛り上がるってのは、やっぱりハードル高いんです。ノイズがひどくて英語が聞き取りにくいというだけの話じゃなく、アメリカ人のカルチャーによっぽど馴染んでないと、会話の内容が頭に入ってこないのですね。こないだのハロウィン・パーティでも「トリビア・クイズ」があり、「往年の人気テレビシリーズXXでヒロインを演じたXXが得意としていたXXは?」みたいなマニアックなクイズがポンポン出されました。周囲の盛り上がりを横目に、ただただ無言で途方に暮れる私。忍者の扮装だったので、誰にも気づかれなかったけど。
妻と相談の結果、今年はダウンタウン・サンディエゴ支社のパーティ一本に絞って出席することにしました。テーマは「ハリウッド・スタイル」。「夫婦で映画スターみたいに派手なお洒落をして現れてね」というお題を出されて一瞬くじけそうになったけど、同僚達が「ただスーツ着てけばいいんだよ」と軽く言うので一安心。問題は、他の招待状へのお断りを出さなければならないこと。特に自分のホーム・オフィスのパーティに出席しないというのは顰蹙だよなあ。そんな申し訳ない気分で総務のヴィッキーに、
「ごめんなさい。今年は欠席させてもらうね。」
とメールを送ったところ、
“It’s a shame!”
という返事が来ました。げげっ。Shame?シェイムって「恥」って意味だよな。なんだか恐ろしい勢いで詰られたけど、たかがパーティ欠席くらいでどうしてそこまで言われなきゃいけないんだ?
本日オレンジ支社で同僚フィルに、この件を質問してみました。
「あ、それは恥と全然関係ないよ。」
ん?どういうこと?戸惑う私。フィルによれば、「それは残念ね」くらいの軽~い気持ちから出たセリフだというのです。
「え?そうなの?僕はてっきり、あなたのしたことは恥ずべき行為だと責められてるんだと思ったよ。」
「全然違うよ。大体、パーティ欠席くらいでそこまで過激な反応する人いないでしょ。」
「そっか、おかしいと思ったよ。でもさ、だったらなんでシェイムなんて単語を使うかな?」
「う~ん。それは分からないなあ。考えたこともなかったよ。」
フィルの向かいで仕事をしていたクリスも、
「アメリカで生まれ育った僕達は日常普通に使っていて疑問も湧かないけど、確かに言われてみれば変だよね。」
同調します。
「じゃさ、君がコーチをやってる少年サッカー・チームが、格下チーム相手に惨敗したとするでしょ。試合後に君が選手達を集めて “It’s
a shame.”って言ったら、これは恥ずべき敗戦だ、と戒めたことにならないわけね。」
「ならないね。むしろ、みんな残念だったな、くらいの軽い慰めになると思うよ。」
「ええ~?じゃあ、お前ら何やってんだ!って本気で怒る時、シェイムは使わないの?」
「そういう場合は、I’m
ashamed of you. って言うね。」
なるほど。動詞のashame
が来るのか。どうして名詞のshame
を使うと途端に恥ずかしさが失せるのかについてはフィルもクリスも全く説明不能なことにビックリでしたが、一応納得。
そんなわけで、ヴィッキーのメールはこういう意味になりますね。
“It’s a shame!”
「それは残念ね!」
この後、Shame
という単語をあらためてオンライン辞書で調べたところ、いくつかある訳の最後に、
「残念なこと」
とありました。あらら、辞書にちゃんと書いてあったのね。全然気づかなかった。人に聞く前に、まずきっちり調べなきゃいけません。これは恥ずべきことですが、It’s a shame! とは言えないケースですね。
ひとつ利口になりました。
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