先日、オレンジ支社のアレクシスが相談を持ちかけて来ました。彼女のプロジェクトには建設現場の生物環境変化を追跡調査する業務が含まれていて、モニター要員が現場に出かけて生物の生育状況などを記録する必要があります。この分野、テクノロジーの導入が比較的スローで、ずっと紙に手書きという原始的形態を取っていました。この際、彼らにタブレットコンピュータを携帯させて現地で素早くデータをインプットしてもらい、これをデジタルのままデータベースにシンクさせる方法に切り替えたい、というのです。
「エクセルで様式を作ってもらえないかしら?ドロップダウン・メニューを組み込んで。」
「いいけど、他の方法も探ってみたらどうかな?」
「うん、でもあまりプロセスを複雑にしたくないのよのね。」
さっそく、元ボスでIT通のエドに当たってみました。
「エクセルでも可能だと思うけど、アクセスの方がいいんじゃないかな。なんなら俺がシステム一式作ってやってもいいよ。でも、市販のソフトも検討してみた方がいいぞ。」
実は私がPMをしている大規模プロジェクトでもタブレットを導入しているので、マネジメント・チームのセシリアにその詳細をヒアリングしてみました。結果、各メーカーのタブレット端末に対応していて、しかも使い勝手の良いソフトであることが判明。この情報をエドに送ったところ、翌朝彼が私のオフィスに立ち寄ってくれました。
「俺ならこっちのソフトを使うね。使用実績のあるソフトを使う方が、一から起こすよりもずっと効率的だからな。」
という意見。検討に時間を割いてくれて有難う、と丁寧にお礼を述べたところ、お安い御用だ、と微笑んだ後、こんなセリフを残して立ち去りました。
“There’s more than one way to
skin a cat.”
「猫の皮を剥ぐ方法はひとつじゃないからな。」
ええっ?何の話?と疑問の呻きを漏らす私。これには答えず、遠ざかりながら笑うエドの声が廊下に響きます。
15分後、同僚ジムが私の部屋に現れます。彼のプロジェクトの健康診断をするためのミーティング。議論が一息ついた時、さっきのフレーズについて質問しました。
「ああ、そうだね、確かにそういうイディオム、あるね。」
語源は全然分からない、とのこと。
「とんでもなく残虐な言い回しだよね。特に猫好きな人が聞いたら気分壊すよね。あ、そうだ、ジム、猫は好き?」
と私が尋ねた直後、彼がくしゃみを連発。暫く鼻をもぐもぐさせた後、
「ごめん。俺、猫アレルギーなんだ。」
ですって。うそだろ…。
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