2013年11月10日日曜日

Buzzword バズワード

先週、オレンジ支社で元ボスのリックと久しぶりに会いました。北米西部トップのマイクと来月話す機会があるかもしれないんだ、というニュースから話題がひろがり、30分くらい話し込んでしまいました。

「会社はThought Leadership に投資する方針だってマイクが言ってるんだ。」

この「ソート・リーダーシップ」という言葉に私が引っかかってしまったのが、長話の始まりでした。

最近この単語よく聞くけど、全然具体的なイメージが湧かないんですよ、と苦情を述べる私。大体、これって一般に流通して共通認識になってるんですかね?Think(思う、考える)の過去・過去分詞であるThought とリーダーシップをくっつけても、連想できるのはこんなセリフだけ。

“I thought I was a good leader but it’s turned out that I’m not.”
「自分はいいリーダーだと思ってたけど、そうじゃないことが分かった。」

そんな「思い上がりリーダー」のことだと言うならまだ受け入れられるんだけど、リックの説明によれば、

「特定分野の第一人者」

という意味らしい。

「それならTechnical Leaderでいいじゃないですか。Thought と関係ないし。」

「いやいや、これはThink の過去形じゃなくて、名詞のThoughtなんだよ。Ideaと同じようにね。いっそのこと、Idea Leaderって呼んじゃってもいいんじゃないかな。」

とリック。

「う~ん、それでもやっぱり私にはピンと来ませんね。」

うやむやなまま会話を締めくくり、帰途につきました。

金曜日の夕方、サンディエゴのオフィスに遅くまで残っていた同僚クリスをつかまえてこの話題をぶつけてみたところ、苦笑を浮かべて首を振り、両足をどかっと机の上に投げ出してこう言いました。

Buzzword(バズワード)って言えば分かるかな?」

「インテリっぽい響きがする専門用語だよね。」

「その通り。耳障りが良い割りには相手に真意が伝わらない業界用語ね。こういうのを社内で濫用するのは、ほんとに止めて欲しいんだよな。」

「ま、それはともかく、意味を教えてくれない?」

と笑いつつなだめる私。

「ある分野の業務経験が長いだけだと、Thought Leader にはならないと思うよ。特に技術系の仕事って、一足す一は二でしょ。単に技術面で優れていたってリーダーにはならないよね。このThought という単語には、その分野に革新的な進歩をもたらすような考えを持つ人、という意味が込められてると思うな。」

「ふ~ん。でもさ、Thought Leaderってフレーズからそこまで連想出来る人いるのかな。」

とケチをつける私。

「いや、ダメだろうね。この言葉はそのうち絶対廃れるよ。」

と決め付けるクリス。

「むしろInnovation(イノベーション)の方が合ってるんじゃないかな。」

私のこの提案に、クリスが食いつきます。

「それだ!Innovation Leaderの方が断然いいよ。君と僕でこれから広めようぜ。お偉方がThought Leader という言葉を使うたびに、それはイノベーション・リーダーってことですよね、って言い直すんだ。一年後くらいに、社長が方針演説でこの言葉を使ってたりしてな。それを聞いて、僕らが作ったんだよなってニンマリ笑おうぜ。118日、今日がその記念日だ!」

大興奮するクリス。

「いいねえ!それで行こう!」

と一応調子を合わせながらも、いまいち乗れない私でした。


だって、「イノベーション」もやっぱりバズワードっしょ。

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