2016年12月12日月曜日

Teething Problems 初期の不具合

1116日、オーストラリアの全支社が新PMツールの使用を開始しました。エンドユーザーたちを支援するため、Ninjaの称号を授かってシドニー支社に二週間張り付くことになった私。

気が付けば、最初の一週間が過ぎていました。着任から3日間はほとんど仕事の依頼が無く、アメリカから持ち込んだ通常業務を日々しこしこ処理していた私。大抵の質問は現地のスーパーユーザー達がきっちり堰き止めて解決してしまうため、なかなかおこぼれが回って来ないのです。それはそれで良いことなんだけど、高い出張費を払ってもらってただ座っているだけというのは、さすがに居心地が悪い。だからと言って忍びの者である私が、「仕事ありませんか」と御用聞きをするわけにもいかない。焦りを感じ始めていた四日目、遂にレスキュー依頼が舞い込み始めました。興奮して飛びつく私でしたが、既に地元のスーパーユーザー達がお手上げの課題が、そう簡単に解決出来るわけがない。いくらアメリカで修行を積んで来たからといって、そもそも実物に触れるのはこれが初めてなのです。分かったふりも出来ないし、あっさりと降参するわけにもいかない。なかなか厳しい試練が待っていたのでした。

実は技術的な問題に加え、オーストラリアのしきたりに不慣れであるからこその苦戦も多々ありました。例えば日付の表記。アメリカでは月、日、年の順に書くのですが、オーストラリアでは日、月、年の順になるのです。09/12/16という数字を見て、「あれ?これ、9月に提出されたことになってますね。エラーですね。」と発言してしまい、PMにきょとんとされたり。また、予算変更をアメリカでは一般にModification(モディフィケーション)と言うのですが、シドニー支社のPMがこれをVariation(バリエーション)と呼ぶのを理解出来ず、暫くすれ違いの会話が続いたり。クリスマス前から1月一杯は多くの社員が長期休暇を取ると言われ、なんでそんなに長く?と尋ね、「だって夏休みじゃない」と返されて「あ、そうか!」と驚いたり。

金曜の午後、デイヴという若い社員の席に行き、彼のプロジェクトの予算変更を助けました。何とか一連の作業を終え、彼が提出ボタンを押したところで任務終了。お礼を言われて気分よく席に戻ったのですが、わずか数分後に、

「さきほどの予算変更手続きには不備があります。撤回して再提出して下さい。」

という指示が下りて来ました。あちゃ~!慌ててデイヴとその上司に詫びを入れる、ニンジャ失格の私。旧システムから移行して来たプロジェクトの予算増額見込みに変更を加えたい場合、そのデータには触らず、まずは同じ額にマイナスをつけた数字を記入して前のデータを相殺し、更に一行加えて新たな数字を打ち込むのが正しいやり方。この手続きをすっかり忘れていた私は、移行データ自体を変更して提出させてしまったのです。

私のメールを読んだデイヴの上司ロジャーが、

「手続きがややこし過ぎるよ。クライアントに増額要求する気力も失せるってもんだぜ!」

と冗談混じりに返して来ました。そしてこう続けます。

“I am hoping it is just teething problems.”
「これが単なるティージング・プロブレムであることを祈るよ。」

ティージング・プロブレム?初耳だぞ。

さっそく調べたところ、Teething というのは赤ちゃんの歯が生え始めるプロセスのことで、これにプロブレムが付くと、その時期特有の「むずかり」になるそうです。つまり、新製品や初の試みなどにつきものの、初期トラブルのことですね。私の訳はこれ。

“I am hoping it is just teething problems.”
「これが単なる初期の不具合であることを祈るよ。」


街へ出れば、未だについつい歩道の右側を歩いて対向者とぶつかりそうになっている私。シドニー滞在も、いよいよ残り一週間。むずかりの時期が終わる前に帰路に着くことだけは避けたいものです。

4 件のコメント:

  1. 日本有数のスキーリゾートであるニセコスキー場では、最近ゲレンデに隣接したコテージをオーストラリアの富豪達にどんどんと買い占められているとの噂。向こうが夏の時期に日本にスキーしに来るらしいね。北海道人に言わせると、ニセコの雪質は最高で周囲に温泉も豊富にあり「こったらイイ場所はねっ」とのことだヨ。おそらくコテージもものすごく高価なハズ。

    これも、オーストラリアの人の豊かさを示す逸話だね。

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  2. シドニーの地価はここのところ狂ったように高騰してるそうだよ。中国の富豪たちが買い占めてんだってさ。缶蹴りで威勢良く遠征したら陣地に駆けこまれて缶蹴られちゃった、みたいな話だね。

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  3. 時差がなくて季節が逆というのがポイントなんだろうね。中国の富裕層もハンパじゃない金持ちがいるみたいだから、夏は避暑・冬は避寒できる場所は重宝するんだろうね。しかも便利な場所が好まれる。

    シドニー近郊のスキー事情もなかなかイイみたいだね。
    https://allabout.co.jp/gm/gc/78204/

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  4. なるほど。言われてみれば時差無しなんだねえ。スキーに全く興味の無い僕にとってはイマイチ共感出来ない金の使い方だけどさ。

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